シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ドリームガールズ

2007-02-02 | シネマ た行
そんなに興味はなかったんですが、ゴルーデングローブの作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、助演男優、助演女優賞を取ったということで、むくむくと興味が湧いてきたところへラッキーなことに試写状が届いたので行ってまいりました。

この作品が舞台ミュージカルの映画化というのは知っていたんですが、シンガーたちがライブで歌う場面以外はセリフのみなのかなと勝手に思っていんです。でも、それはワタクシの勝手な思い込みでした。シンガーが舞台で歌う歌に加えて、セリフの途中でいきなり歌いだしたりとか、ダンサーが登場してその後ろで踊ったりとかっていう典型的なミュージカルでした。それでも、登場する人たちがほとんどシンガーか作曲家という設定なので、歌い始めてもあのミュージカル特有の違和感は少なかったですね。

背景は1960年代のモータウンサウンドの黎明期から全盛期へ向かう音楽シーン。この「ザ・ドリームズ」は「ダイアナロスとシュープリームス」がモデルとなっているらしく、ビヨンセノウルズもかなりダイアナロスを意識していたと思う。ビヨンセは歌手としても女優としても特に好きというわけではないけど、やはり歌はすごくうまいし、美人だなぁと改めて感じた。彼女は白人っぽくしてるよりもこんなふうに黒髪にしてるほうがキレイだと思うんだけどなぁ。彼女が出ている映画は「オースティンパワーズ」しか見たことがないから、添え物的な役しかしないorできないのかなと思っていたら、結構がんばっていたと思う。彼女の歌がからまない作品も見てみたいと思った。

ゴールデングローブの助演男優と助演女優はエディマーフィジェニファーハドソンが受賞したが、確かに二人とも素晴らしかったと思う。エディマーフィはコメディアンだけど、歌もうまくて最近目立った活躍がなかっただけに嬉しかった。こういうコメディアンの人たちってたいがい歌とかもうまいですね。ジェニファーハドソンはアメリカの「アメリカンアイドル」という新人発掘番組から出てきた子らしいけど、彼女は役の上でビヨンセよりも歌がうまいという設定だったけど、実際彼女の声はとてもパワフルでビヨンセよりもうまいという設定にまったく無理がなかった。そして、歌だけではなくて新人なのに演技も非常にうまかったと思う。彼女が歌う「One Night Only」とビヨンセが歌うバージョンのどちらも良くて気に入りました。

今回、賞は取っていないけど、ジェイミーフォックス「Ray」のような変身演技ではないのに、まるで別人のようで成功するためには手段を選ばない男を巧みに演技じていた。

お話はミュージカルというジャンルの中でもかなりしっかりしていると思う。モータウンサウンドが黒人だけの音楽からテレビの普及と共に世界的なものへ広がっていく様子、成功の陰で傷つく者、初心を忘れて成功に溺れる者などがきちんと描かれていて、その合間にシンガーのパフォーマンスが随所にちりばめられていて飽きさせることなく2時間10分魅せてくれる。映画の中で、ローカルラジオの黒人局でしか流れなかった曲をメジャー局に流すというシーンがあるが、この映画も同じように黒人コミュニティばかりが見る黒人映画ではなく、多くの世界の人が見る黒人映画と言えるだろう。

オマケワタクシは映画でミュージカルを見ていていつも思うのですが、セリフから突然歌いだすとき、いきなり別で録った音源に口を合わせているようになるでしょ?あれが嫌いなんですよね。たとえ、歌に入ってもセリフと同じような音で歌ってくれたらもっと自然に感じるのにな。