今年も寝正月で終わるつもりだったのですが、せっかくの中国ですので職場の方に案内をしていただき済南市内の散策をしてきました。
済南は泉が多いことで有名で、泉城とも呼ばれているとのことです。
そうなると当然のことながら行き先は、その泉になることは自然な流れです。
まず向かったのは大明湖で、済南三大名勝の一つです。
広大な敷地に巨大な湖が横たわっており、46ヘクタールの大きさがあります。
東京ドームが4.6ヘクタールですので、その約10倍ですから規模がだいたい分かるかと思います。
場所によってはかなり水が汚かったりするのですが、済南ではデートスポットの第一だそうで、何が楽しくて寒い中を歩いているんだろうというカップルが目白押しでした。
湖と名が付いていますが実際は泉だそうで、複数の泉から流れ込んできた正真正銘の天然泉とのことです。

大明湖がある公園にはいくつかの建築物がありますが、こちらは超然楼です。
コンバトラーVには負けますが50メートルちょっとの高さで、登れば大明湖を一望できて大きさを実感できるだろうとは思ったのですが、有料なのでやめておきました。
この超然楼には夕方にショックを与えられるのですが、それは後の話です。
公園はさらに広く86ヘクタールもあり、その中で昔の民家が施設として展示をされていました。
こちらの秋柳人家はかなり裕福な家庭の住居のようで、複数の独立した房(部屋)が立ち並んでいます。
台所、仕事部屋、勉強部屋、父母の部屋、息子の部屋、娘の部屋といった感じで、それぞれが20畳ぐらいのスペースです。
実際はこれらの1つの房に1家族が住むなんてこともあったようで、そうなると江戸時代の長屋みたいなイメージと言ってよいかもしれません。
この大明湖の公園の3倍ぐらいの敷地をぐるっと水路が囲んでおり、そこを10の駅に分けて遊覧船が走っています。
屋形船みたいな感じで、かなりの混雑ぶりでした。
一昨年ぐらいから始まったとのことですが、ぐるっと一周をするのに100元、1駅で10元ですから中国の物価を考えればかなり高価です。
そんなこともあってか市民からはかなりの不満が集まっている、とのことでした。

こんな感じの水路をゆったりと進んでいきます。
目的地までは6駅だったのですが、1時間弱ほどはかかったと思います。
途中の駅で「船が疲れた」という理由で5分ほどの休憩もあり、そののんびり感が何とも言えないところがありました。
びっくりしたのは、途中に運河があったことです。
かなりの敷地面積を巡りますので高低差があるからなのかもしれませんが、ちょっと驚きです。
前後の門が閉まって閉じ込められた感じとなり、みるみるうちに水位が上がって遊覧船は浮上をしていきました。
こんなところにもコストがかかっているのでしょう。

泉の水は飲めるところもあるそうで、所々で水くみをしている人を見かけました。
そもそも中国では水道水をそのまま飲むことができませんので、そういったことも影響をしているのだと思います。
バケツに紐をつけてぶら下げて水をくんでいるところなどは日本では考えられないのですが、中国では生活の一部になっているようです。
遊覧船での目的地は、やはり済南三大名勝の一つである趵突泉がある趵突泉公园です。
天下第一の泉と呼ばれているそうで、七十二名泉の第一泉の位置づけとされています。
3箇所から水がわき出ており、大明湖とは違って水が澄み渡っていました。
ちなみにトップの写真は杜康泉で、耳元の金色のボタンを押すと飲める水が出てきます。

公園内では将棋をする人がいましたし、大明湖の公園でも草卓球があったり、市街でも裏通りに入ればテーブルを引っ張り出して麻雀をやっていたりするなど、以前は日本でもそういったことがあったのだとは思いますが、なかなか今では見られない光景です。
こちらは円形の駒で日本の将棋とはかなり違ったものですが、もしかしたら将棋ではないのかもしれません。
駒を差す度に周りから声がかかり、「そうじゃないだろ」みたいなやり取りがされているのだと思います。

そして最後は電飾に飾られた、大明湖の超然楼です。
日本でも城などをライトアップすることはありますが、建築物自体に電飾をつけてしまうセンスが全く理解ができません。
このあたりは感覚の違いなのでしょうが、ちょっとガッカリとさせられた夕映えの一コマでした。
正直なところ「水たまりを見て何が楽しいんだ」と思っていたのですが、行ってみれば意外に楽しめました。
中国の歴史にはさほど興味が無いので個々の建築物などに目を奪われることはありませんでしたし、どんよりとした曇り空だったのが残念でもあったのですが、ホテルと職場の往復のタクシーから眺めるのとはまた違った中国を体験した気分です。
ただやはり寒さには閉口をしましたし、朝方が氷点下8度でしたので日中も氷点下だったと思われ、写真を撮るためにカメラを構えるだけで指がもげるかと思ったぐらいでした。
食事をしてホテルに戻ってすぐに風呂に入ったことは言うまでもなく、この寒さだけは慣れることは無理みたいです。
慣れるのではなく耐えるのが正しい生き方のようにも思えますし、次のターゲットである万里の長城を考えるとちょっぴり憂鬱な今日この頃です。