電脳筆写『 心超臨界 』

悲観論か楽観論かの問いにはこう答える
私の知識は悲観的なものだが私のやる気と希望は楽観的だ
( シュヴァイツァー )

歴史を裁く愚かさ 《 「第二占領期」に入った日本——西尾幹二 》

2024-09-16 | 04-歴史・文化・社会
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社会党左派をさえ抱きこんで首相にかつぎ上げた当時の自民党執行部は、国際社会のリアリズムに完全に背を向け、自己満足的「国家内国家」をつくり上げて、非現実的唯我独尊に遊んだ点において、上九一式村の第七サティアンに立て籠った連中と、まさに時代の空気を共有していたといってよいのではなかろうか。


◆「第二占領期」に入った日本

『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p196 )
第4章 日本人よ、知的に翻弄されるな
1 「第二占領期」に入った日本

冷戦構造が解体した1990年頃から、緊張のゆるみとともに、世界には巨大事件が相次いだ。ドイツ統一、ソ連消滅、湾岸戦争、ユーゴの内乱――いずれも主舞台は東アジアからははるか遠くへだたっていた。

いつものように東アジアには変化は一番最後に訪れる。だから日本には変化への十分な準備期間があったはずだが、いまだ用意はまるきり出来ていない。少しずつ、局面の転換が迫りつつある。

冷戦構造の解体は、日本の場合には、国内に二つの異常事態を生んだだけだ。見境のない自社野合政権の出現とオウム事件である。どちらも冷戦のしめつけが去った気のゆるみから生じた痴呆症状である。

通例なら、冷戦の枠組みが消えたときに、さあ大変だ、日本は自分以外にもう頼れるものはないぞ、という緊張感が高まるのが正常な心の働きであると思うのだが、残念ながらわが国の場合にはまったくそうはならなかった。反対に、のほほんと呑気に、心たのしく気がゆるんで、前代未聞の前記二つの無警戒自由幻想心理を生んだ。

社会党左派をさえ抱きこんで首相にかつぎ上げた当時の自民党執行部は、国際社会のリアリズムに完全に背を向け、自己満足的「国家内国家」をつくり上げて、非現実的唯我独尊に遊んだ点において、上九一式村の第七サティアンに立て籠った連中と、まさに時代の空気を共有していたといってよいのではなかろうか。
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