電脳筆写『 心超臨界 』

人間は環境の産物ではない
環境が人間の産物なのである
( ベンジャミン・ディズレーリ )

かけがえのない家族 《 ばあちゃんの家計簿——片嶋リサ 》

2024-06-19 | 06-愛・家族・幸福
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散記事『榎本武揚建立「小樽龍宮神社」にて執り行う「土方歳三慰霊祭」と「特別御朱印」の告知』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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  世の中でいちばん大切なものは家族と愛
  ( ジョン・ウッドン )
  The most important thing in the world is family and love.
  ( John Wooden )


◆ばあちゃんの家計簿

第24回「香・大賞」発表――香老舗 松栄堂
( 09.09.14日経新聞(夕刊))

[ 銅賞 ]
「 ばあちゃんの家計簿 」 片嶋リサ 31歳(主婦)東京都

図書館で働いていると、本に染み付いた香りに敏感になる。本を開いた時に漂う、異国を思わせる香りや、時にはカビ臭さ。それぞれの歴史が、鼻だけでなく心までくすぐるようで、私は思わずページに顔を近づける。

ある日、嗅いだことのある香りに出会った。懐かしいような、つい最近も包まれたような。

思い出そうと目を閉じると浮かんできた光景、それは、狭い仏間だった。コタツの上には、大学ノート。

私は祖父母に育てられた。細々とおかず屋を営んでいた祖父母も、立ち退きにあってからは年金暮らし。かなり貧しかったのだが、少女の私には、それを思う心の余裕はなく、反抗ばかりだった。親がいないことで、自分だけが不幸だと思っていた。

祖母はずっと家計簿をつけていた。家計簿といっても、大学ノートに線を引いただけのもので、それはいつも、仏間のコタツの上に置いてあった。中学生の頃だったか、何気なくそれを開いてみた私の頬には、気付けば涙が流れていた。

『リサおやつ   50円』
『リサこづかい 300円』
『リサ文房具  100円』
『リサ床屋  1500円』

シャケ 200円、などと並んで、そこには毎日私の名前があったのだ。丸まった背中で私を育てる苦労と、その苦労を厭わない祖母の愛情が、震える文字から感じられて、涙が止められなかった。不幸ぶっている自分が、ただ恥ずかしかった。

嗅いだことがあると感じたのは、本に染み付いたお線香の香りだったのだろう。仏間にあった大学ノートと同じ香りが、偶然、懐かしい記憶を呼び起こしてくれたのだった。

私の体に染み付いている祖母の愛情は、時を越えて、今も私を勇気づける。目には見えなくても、香りとともに、ふと蘇って。

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【投稿メモ】
松栄堂では、第24回「香・大賞」入賞作品を全て収録した冊子
「かおり風景」を希望者にもれなくプレゼントしています。

 ■郵送・電話・HPでのお申し込み
  〒604-0857京都市中京区烏丸通二条上ル東側
  香老舗 松栄堂「かおり風景」N係
  TEL  075-212-5591 (平日9:00~17:00)
  FAX  075-212-5596
  「香・大賞」ホームページからのお申し込み
  http://www.shoyeido.co.jp/
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