電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

1本だけ孤立した木は下の幹が太く樹高も高くならず、風の力も受けにくく長寿になりやすい――渡辺直明さん

2010-03-31 | 09-生物・生命・自然
【 このブログはメルマガ「こころは超臨界」の資料編として機能しています 】


巨木・古木の寿命は?――強風や根の傷みが左右
【「ナゾ謎かがく」10.03.28日経新聞(朝刊)】

3月10日早朝、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮で神木の「大銀杏」が倒れているのが見つかった。雪や雨を伴う強風が原因とされるが、樹齢千年ともいわれ長年の風雪に耐えてきたはずの木が突然倒れたことは驚きをもって受け止められた。そもそも巨木や古木の寿命はどの程度あり、なぜ倒れてしまうのだろう。

「外観では樹齢はわかりにくい。過大に見られていることが多い」と樹木の再生などに詳しい東京農工大学FSセンターの渡辺直明・自然環境分野長は説明する。千葉県鴨川市で樹齢千年程度とみられていたスギの巨木が倒れたとき、年輪を見ると約280年だったこともあるという。

イチョウやスギは病気になったり虫がついたりしにくく、マツなどに比べ寿命は長い。それでも古木や巨木で幹の内部に空洞などがない健康な木はほとんどない。

倒木を調べると、木の半径に対して健康な部分の厚さの比率が3割を切っているという。だがこの比率を切っても立っている巨木や大木も多く、空洞が広がってもすぐに倒れるわけではない。

環境省などのデータベースに収録された巨木は6万8000本。地上1.3㍍の位置で幹の周囲が3㍍以上の木を巨木と定義している。鶴岡八幡宮の大銀杏は幹周6.7㍍だが、6㍍以上の巨木だけでも6298本が登録されている。

巨木や古木は神社や寺院に多い。周りに競争相手がなく広いスペースを独り占めできるために大きく育つようだ。「1本だけ孤立した木は下の幹が太くて樹高も高くならない。風の力も受けにくく長寿になりやすい」と渡辺分野長はみる。

秒速30㍍超の強風が吹くと健康な木でも倒れることがあるが、それ以外では根が傷んで倒れることが多い。老木は腐朽菌に侵され根が腐って倒れる場合がほとんどだが、原因は人間が作っていることも少なくない。

木の根は、枝の広がりのいちばん外側の下の地中にある部分で養分や水分をもっとも吸収する。根元から離れているため、工事などで気づかずに傷めていることも多い。建物などにぶつかり、根の広がりが一方向だけ止まっても倒れやすくなる。周囲の盛り土も根が深くなりすぎて悪影響が出る。

一方、少し離れたところに林があると、巨木は風だけでなく雷の被害も受けにくくなる。鎮守の森がそうした役割を果たすともいえ、地域の環境全体を保護することが巨木の寿命を延ばすことにもなる。

小玉祥司

【 これらの記事を発想の起点にしてメルマガを発行しています 】
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ミシシッピアカミミガメが増... | トップ | 例えばブタくらいの大きさの... »
最新の画像もっと見る

09-生物・生命・自然」カテゴリの最新記事