孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

あまり知られていない国、レソト王国の話

2007-07-05 16:25:59 | 国際情勢


レソト王国という国をご存知でしょうか?
先日ニュースを見ていたら「アフリカ最貧国の1つに数えられるレソトでは、30年に一度とされる渇水に見舞われている。国連によると、穀物の不作のため、190万人の国民のうち、40万人以上が食糧難に陥っているという。」との報道がありました。

「レソトってどこ?」ってことで調べると、南アフリカに囲まれた四国の1.6倍ぐらいの国で、国王のいる王国なんですね。


旱魃自体は、ある意味、よくある話と言えなくもないです。
レソトは地下水は豊富にあるそうですが、この大切な水は南アに輸出され、住民・農地にはまわらないとのこと。

この国の最近の情勢をみると、クーデター、憲法停止、国王廃位、国王復位という事件が毎年のように繰り返されている様子。
これだけ政争に忙しいと、国民のことなどかまっていられないだろうな・・・と推察されます。

めぼしい産業もない小国で繰り返される政争、旱魃に苦しむ国民、更にこの国はHIV感染者が1990年台以降激増、国民の約1/4がHIV感染者。
その為、1990年には220万人であった人口が、2006年現在、180万人と激減。平均寿命は60歳から35歳になってしまっており、農業生産も減り続けているそうです。
経済は南ア向けの繊維製品輸出と南アへの出稼ぎで支えられているとか。

渇水・凶作で食糧が不足する状況で、WFP(国連世界食糧計画)が支援活動を行っています。
国際支援については、その不十分さ・問題点をあげつらえばいろいろあるところでしょう。
しかし、救援活動の映像を観ながら、「今こういうWFPの活動がもしなかったら住民はどうするのだろうか?」「やっぱり、こういう活動というのは大切だね・・・」といつになく素直に思いました。
そんな殊勝な気持ちが消えないうちにと、WFPのホームページから雀の涙の寄付をしました。
普段えらそうなことばかり言って何もしないことへの免罪符でしょうか。

レソトと日本の関係で言うと、今年3月、2億円の無償資金協力(ノン・プロジェクト無償資金協力)を行うこととし、このための書簡が両国政府間でかわされたそうです。

ただ、正直言って、この国の将来にどのような展望を持てばいいのかわかりません。
ソト族で構成されるという民族的背景、イギリスのかつての殖民地政策の影響もあって今の姿があるのでしょうが、今後本当に自立してやっていけるのか?そもそも独立国家である必要があるのか・・・。

第二次大戦以降、“民族自決”の流れで多くの国が誕生し、ソ連やユーゴみたいな国が解体し、各地で民族紛争の火の手が絶えず・・・。
こうした流れの背後には、統治する側のひとつにまとめていくための意識の欠如、民族を超えた公正な政治の欠如、不平等な社会が一方であるわけですが、また、他方では、政治・経済・社会の諸問題を民族の違いというわかりやすいものにすりかえて、民族意識をあおり、いたずらに民族紛争を各地で激化させている面もあるのでは・・・
すべてに民族を優先させるような考え方には馴染めないものがあります。
民族紛争が激しい地域で、「昔はみんな仲良く暮らしていたのに・・・」という話をよく聞きます。

レソトは全土が1400m越える山国で、アフリカとは言っても比較的涼しい気候で、写真のような毛布をまとった帽子・長靴姿が一般的なカジュアルファッションのようです。
(写真は“flickr”より By Michel van den Burg)




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