孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

インドネシア  有権者2億人超の「世界最大の直接選挙」

2024-02-14 01:56:44 | 東南アジア
(大統領候補プラボウォ国防相(72)(太ったほう)と副大統領候補のジョコ大統領の長男ギブラン氏(36)のキャラクター【2月11日 毎日】 「こわもて」プラボウォ氏のイメージも随分変わったものです。しかし、その本質が変わった訳でもないでしょうから・・・・)

【元陸軍高官プラボウォ国防相 イメージ戦略とジョコ政治継承でリード】
今日14日は、有権者2億人超の「世界最大の直接選挙」でもあるインドネシア大統領選挙が行われますが、現職ジョコ大統領の長男ギブラン氏(36)を副大統領候補とし、ジョコ大統領の政治を継承することをアピールしている元陸軍高官プラボウォ国防相(72)の優勢が報じられています。

****インドネシア、現職派が優勢 大統領選、14日投票****
インドネシア大統領選が14日投開票される。出馬した3人のうち、元陸軍高官プラボウォ国防相(72)が、複数の民間世論調査で過半数を占めて首位を維持。現職ジョコ大統領の長男ギブラン氏(36)を副大統領候補とし、若者層を中心に全世代で優勢だ。東南アジアの大国の外交路線がどうなるか、注目が集まる。
 
当選には過半数の票に加え、全38州の半数以上で20%以上を得票する必要がある。条件を満たす候補がいなければ、上位2候補による6月の決選投票にもつれ込む。
 
民間世論調査会社インディケータの1月28日〜2月4日の調査によると、プラボウォ陣営は他陣営を27.7ポイント以上引き離す。西ジャワ州など有権者が多い3州に加え、新首都建設が進むカリマンタン島でも優勢。新首都は全土でインフラを整備したジョコ政権の目玉事業で、プラボウォ氏が継承を掲げる。

外交面でも、経済的利益を重視して米中間でバランスを取ったジョコ氏の路線を継続するとみられる。【2月13日 共同】
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今回の大統領候補には、プラボウォ氏のほかに▽与党連合ナスデム党の候補、アニス前ジャカルタ特別州知事(54)▽ジョコ氏が所属する最大与党・闘争民主党が推すガンジャル前中部ジャワ州知事(55)――が出馬。得票率が5割を超えるペアがいない場合などは、6月26日に上位2組の決選投票となる。
 
地元の調査会社が1月28日〜2月4日、有権者1200人を対象に実施した世論調査によると、投票先を決めていない人を除いた支持率は、プラボウォ氏51・8%、アニス氏24・1%、ガンジャル氏19・6%だった。

それまでの調査では、プラボウォ氏が首位を保ちながらも支持率は3〜4割にとどまり、決選投票の可能性が高いとみられていた。しかし、投票日を目前にして、プラボウォ氏の支持率が5割を超える世論調査は複数あり、逃げ切るとの見方も出ている。【2月11日 毎日】
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人気の高いジョコ大統領の政治を継承することをアピールすることで支持を広げているプラボウォ氏ですが、前回、前々回の選挙ではジョコ大統領の対立候補として激しく争った経緯を考えると、前回選挙後にはジョコ氏と手を組み入閣し、更に今回はジョコ政治継承アピール、ジョコ氏も実質的にプラボウォを支援している・・・というあたりは(ジョコ氏、プラボウォ氏双方の政治姿勢として)やや奇異な感じもあります.

要するに、両者とも政治権力を握るという一点で動いているようにも。

プラボウォ氏は独裁体制を築いたスハルト元大統領期の陸軍幹部で、スハルト氏の元娘婿でもあり、過去に民主化活動家の拉致事件などの人権侵害に関わったとされ、強権的なイメージがあります。

従来選挙では元軍人の「強いリーダー」イメージをアピールしていましたが、今回選挙では交流サイト(SNS)などで親しみやすい「かわいいおじいちゃん」イメージを打ち出し、スハルト独裁政権の記憶がない若い世代の支持を引き寄せているようです。

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プラボウォ氏独走の背景には、若者からの支持獲得がある。政府発表のデータによると、有権者約2億500万人のうち半数以上が1981年以降生まれだ。

各候補は、若者が多く使う中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」などネット交流サービス(SNS)を使った選挙運動を強化。中でも、最年長のプラボウォ氏は、ダンスをする姿を投稿したり、本人を元にしたキャラクターを用いたりして、「親しみやすい」などと人気を集めている。 【2月11日 毎日】
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こうした豹変ぶりに「人気取り」「ポピュリズム」との批判もありますが、まあイメージが重視される現代の選挙というのはそういうものでしょう。ただ、政権獲得後に再び強権的な姿勢が表面化しなければいいのですが・・・・。


【期待が大きかった庶民派大統領ジョコ氏 任期中に民主主義後退の批判も】
2014年に発足したジョコ政権を巡っては、経済成長を実現する一方、独立捜査機関「汚職撲滅委員会(KPK)」の活動を事実上制限したこと、強引に首都移転を進めていること、本来は年齢で立候補資格がなかった長男についておそらく司法への影響力を行使して例外を認めさせたことなど、民主主義を後退させたとの批判もあります。

そのあたりは2023年11月8日ブログ「インドネシア  民主主義「後退」 イスラム主義台頭 「庶民派」ジョコ大統領の権力私物化」でも取り上げましたので、今回は省略します。


軍人やエリートではなく庶民派大統領として期待が大きかっただけに、失望も・・・・といったところでしょうか。


【首都ジャカルタはパンク寸前とも】
首都移転については、この種の多くの利害が絡む大事業はみんなの意見を聞いていたのではまったく前に進まない・・・ということも、また現実です。

インドネシア国内の議論については詳しく知りませんので、そのあたりの個人的評価は保留します。
首都ジャカルタが大きな問題を抱えていること自体は事実のようです。

****ゴミ山・水没進むエリアも…ジャカルタは“限界” 「人類史上最大」首都移転 日本企業にも期待*****
インドネシアで「人類史上最大」とも言われる首都移転のプロジェクトが進んでいます。人口過密で都市機能がパンク寸前の首都では、水没が進むエリアもあり、14日に行われる大統領選挙の争点にもなっています。

インドネシアの首都、ジャカルタ郊外にある町。ゴミが15階建てのビルの高さまで積み上がっていました。人口1000万人を超えるジャカルタのゴミが運ばれてくる東南アジア最大級のゴミ捨て場です。
足の踏み場もないくらい散らばるゴミ。生活している人もいます。

収容の限界であふれそうになっていますが、ジャカルタに空きがなく、毎日大量にゴミが届きます。
いま、首都ジャカルタは過密すぎる人口でパンク寸前と言われています。

地区によっては水没の危機も。海面からイスラム教のモスクの一部が見えていました。地盤沈下が原因です。沈下はすでに4年前に始まっていました。それが、あっという間に水の下に…。

地盤沈下の原因も人々の生活です。
住民 「お金がない時は料理にも使っているよ」

勝手に地下水をくみ上げたため地下に空洞ができ、年間10センチのペースで地面が沈んでいます。
そこで始まったのが首都の移転計画です。

ジャカルタから約1200キロ離れたカリマンタン島の森林地帯に新たな首都「ヌサンタラ」を建設するという壮大な計画です。私たちは、特別な許可を得てその建設現場に向かいました。

道を進むと、次第に増える工事用の大型トラック。至る所で土地の造成が進んでいました。森林を切り開き、広大な街を建設する「人類史上最大の首都移転プロジェクト」とも言われる大工事。今年8月から順次移転が始まる予定で、急ピッチで工事が進められています。

そして、VIP専用のキャンプ場もつくられていました。木の良いにおいがするグランピング施設。ジョコ大統領も泊まったということです。しかし、豊かな自然の裏返しか、多くの蚊がいました。

プロジェクトの総工費は約4兆5000億円。インドネシア政府はその8割を民間からの投資でまかなうとして世界から投資を募り、日本にも期待を寄せています。

インドネシア新首都庁 バンバン長官
「日本は技術と知識を持っています。最新の技術で環境にも優しくスマートな未来を描けます」

広大な開発予定地のうち、工事が進められているのはまだほんの一部。工事は夜も続けられます。
首都移転は14日、行われる大統領選の争点の一つ。移転推進派のプラボウォ国防相が、反対派のアニス前ジャカルタ州知事をリードしています。

中国との結びつきを強めインフラ整備をおし進めたジョコ大統領の後を誰が担うのか。国際情勢にも大きな影響を及ぼしそうです。【2月13日 日テレNEWS】
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