孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

子供を取り巻く環境  紛争・貧困・疾病

2008-06-23 13:32:48 | 世相

(スーダン北部の少女 砂漠をロバで水汲みに出かけるのが毎朝の日課 “flickr”より By Vit Hassan
http://www.flickr.com/photos/vithassan/132763499/)

最近目にした児童・子供に関する記事をピックアップしてみました。

【少年兵】
紛争が続くスーダンから。

*****【6月8日 AFP】スーダンのダルフール地方から隣国チャドの難民キャンプに逃れてきた子どもたちが誘拐され、武装勢力に売られたのち、少年兵としてスーダンに送られていると人権擁護団体が発表した。
難民キャンプの指導者らによると、子どもたちは「白昼堂々と誘拐され、近隣で活動する武装勢力に売られている」という。人身売買の対象になっているのは主に9-15歳の少年だという。*****

【栄養失調・コレラ】
世界で年間約970万人が5歳の誕生日を迎えられずに命を落とし、また、飢えが原因で約5秒に1人の子どもの命が消えています。
先日20日は「世界難民の日」でしたが、多くの難民を抱えるスーダンでは大きな困難が人々にのしかかります。
とりわけ、弱い立場にある子供達に。

*****【6月20日 毎日】ユニセフが支援する同国南部ジュバの「アルサバ子ども病院」。薄暗い病室のベッドで、サンデー・ポニちゃんが点滴を受けながら寝ていた。重度の栄養失調とコレラに苦しんでいる。体重はわずか6キロ。腕は折れそうなほど細い。目からは生気が失われ、体は微動だにしない。母マリエアさんが不安そうに見守る。
マリエアさんは野生の果物を探しては子どもに与え、自分は何も食べずに水を飲んだ。だが、母乳が出なくなり、生後間もないサンデーちゃんは栄養失調に陥った。約70キロの道のりを2日間夜通しで歩き続けて病院にたどり着いた。
病院での食事は持参が原則。付き添うマリエアさんは、隣の人の食事が幸運にも余れば分けてもらっている。彼女は懇願した。「子どもの命だけは」。それ以上は何も言わずにうつむいた。******

【マラリア】
蚊が媒介する伝染病「マラリア」で命を落とす人は世界で年間100万人以上います。このうち約8割はサハラ砂漠以南のアフリカに暮らす5歳未満の子どもだそうです。
スーダンでは、蚊帳のあるベッドで寝ている5歳未満児は約2割。
スーダン南部では年間約2万7000人の子どもがマラリアで死亡しているそうです。

*****【6月20日 毎日】スーダン南部・ジュバ中心部から約2キロのカトゥール診療所。医師は1人だ。待合室には高熱の子どもを抱えた母親たちが列をなしていた。
エマニュエラ・ロレンスちゃん(生後5カ月の女の子)。採血検査の結果、「マラリアですね」と医師。母親のシアナさんは覚悟していた様子でうなずいた。
診療所では薬は無料だが、在庫がなければ市場の薬局などで購入するしかない。治療薬は最低でも5ドル。平均的な家族が1週間暮らせる額で、貧しい人々には手が出ない。診療所は薬の補充を政府に要請したが、2週間たっても返事はない。
結局、薬をもらえなかったシアナさん。「子どもを助けたいけど、どんなに頑張っても薬を買う余裕はない」。しがみつくエマニュエラちゃんを抱き、静かに診療所を後にした。******

【エイズ】エイズに関する、当然とも思える報告

*****【6月20日 IPS】HIV感染率が10%を上回る社会に住む子供たちが教育を受ける機会は、通常の半分ぐらいしかないことが明らかになった。
親がエイズによって死亡すると、多くの子供たちは学校を離れることを余儀なくされる。それは、心理的なストレスが原因の場合もあるし、家庭の経済状況がそれを許さなくなる場合もある。
国連によれば、エイズによって親を亡くした子供の数は、2000年の850万人から2006年の1400万人まで急拡大しているという。こうした子供の80%はアフリカにいる。*****

【児童労働】
次は児童労働に関するエジプトからの記事ですが、別にエジプトに限らず広く途上国全般に見られる問題であり、エジプトより更に過酷な環境も珍しくはないかと思います。

*****【6月16日 AFP】国民の20%が貧困ライン以下、もう20%が貧困ライン上ぎりぎりの暮らしをしているエジプトでは、子どもは必須な働き手であり、子どもの労働は当たり前の光景となっている。
エジプトの子どもの10人に1人は、働かざるをえない状況にある。ユニセフは、エジプトの6-14歳児の就労人口を270万人(全15歳未満人口の10%)と推定している。
また、彼らの労働環境は劣悪な場合が多いという。
エジプトは世界10位の綿花生産高を誇るが、5月からの収穫期には約100万人の子どもが駆り出され、1日11時間労働をさせられていると、ユニセフは指摘する。
エジプトは1990年の「子供の権利条約」を批准している。
2年前にはスザンヌ・ムバラクエジプト大統領夫人が国際労働機関(ILO)と共同で「子どもの労働にレッドカード」キャンペーンを展開するなど、政府はたびたび啓発に力を入れているが、同条約の内容は無視され続けている。*****

【新日系人】
次の記事は日本が深く関わっている問題。フィリピンから
父親が引き取りにきてくれるだけ、まだ救いのあるケースでしょうか。

*****【6月20日 毎日】日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、母とともにフィリピンで暮らしていた日本国籍を持つ男児(8)が母に物ごいを強いられたうえ、結核を患い、路上で泣いて立ちすくんでいるところを昨年6月、孤児院に保護された。「新日系人」は数万人ともいわれ、厳しい暮らしを強いられる例も多い。
男児は両親の離婚後、03年に母とフィリピンに来た。姉2人は日本に残り、家族は離れ離れになった。
当初、母子は親類の家で暮らしていたが、日本でためた金が底をつくと友人の家を転々とし、最後はマニラ首都圏で路上生活をするようになった。
保護された時の男児は、あばら骨が浮き出るほどやせ、結核にかかっていた。物ごいを拒む男児に母は暴力を振るったという。
知らせを受けた父は今年3月、フィリピンに飛んできた。「この子は、これまで見たこともない輝くような笑顔を見せ、足にしがみついたまま離れなかった」と、孤児院職員のレルマさんは対面の様子を話した。*****


ほんの10日ほど振り返るだけで、このような記事が簡単に集められるというのは全く残念なことです。
日本も紛争・貧困・疾病に苦しむ人々・児童に向けた援助・支援の取り組みをこれまで行ってきています。
もちろん、国内にも資金を必要とする緊急の課題はいくらでもあります。
上記のような問題は第一義的にはその国の問題であり、途上国側の政治・社会システムが改善されない限り根絶ができない問題でもあります。

ただ、そうであっても、日本における人々の暮らしぶりを考えれば、まだまだ協力できる余地があるように思われます。
そして何よりも、単に政府が資金をいくら拠出するというだけでなく、ひとりでも多くの国民がこうした世界の現状に関心を向けるような取り組みが一番求められているように考えます。


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