孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国 桂林・張家界観光 変わる中国 変わらぬ中国

2019-07-23 14:32:26 | 中国

(高速鉄道の広州南駅)


【消えた? 中国南方航空名物「ワサビ」】

中国を観光しています。若い頃から、10回目ぐらいの中国旅行です。今回は桂林・張家界方面が目的地。

 

21日に中国南方航空で関空から広州へ。

実を言えば、このフライト、ちょっと期待はずれでした。

 

別に中国南方航空に問題があった訳ではありません。


以前、中国南方航空を使用した際に機内食で出てきた、蕎麦に付いている小袋入りのワサビが殺人的に辛く(不用意に口にすると、間違いなく咳き込み、呼吸困難にもなるという危険な代物)、今回も出会えるかな・・・と、かなり期待していたのですが、今回フライトではごく普通の(むしろ気の抜けたような)ワサビがすでに蕎麦に乗っかっていました。残念。

 

中国南方航空のある種「名物」にもなっていたのに・・・・。このワサビは、別に“いいもの”でなくても、印象付けることができれば効果があるという「広告」の基本を改めて示すものでした。

 

【消えた「漓江下り」のキャンディー】

広州着後、高速鉄道で桂林に移動。

冒頭写真は広州の駅構内の様子。とにかく圧倒的な人、ひと、ヒトです。

中国という国の日本とは異なる姿を感じさせてくれる光景です。

 

22日は桂林で、定番「漓江下り」を楽しみました。

桂林には29年前にも一度来たことがあり、「漓江下り」はその際にも。

 

当時の中国は、現在の目覚ましい成長以前の段階で、多くの街は素朴な感じでしたが、さすがに中国有数の観光地・桂林は外国からの観光客が多く、よく言えば華やかな、悪く言えば少し浮いたような感じの街でした。

 

今は中国の他の都市と似たような現代的な街です。

 

当時は、3回目ぐらいの海外旅行、初めての中国旅行で、見るもの、聞くものがすべて珍しく、よく“墨絵のような山水画の世界”と形容される「漓江下り」はとても印象深いものでした。

 

ただ、ちょっとこれは・・・・という場面も。

 

遊覧船のデッキのテーブルにキャンディーがたくさん置いてあり、川の岸辺から地元の子供たちが泳いでくると、欧米人観光客が船上からそのキャンディーをばらまく・・・という光景です。

 

終戦後の日本でもあったとされる「ギブミー、チョコレート」の世界です。

 

さすがに、現在はそういうものはなくなっています。これはよい変化でしょう。

だいたい、今どきの中国の子供たちは、両親から甘やかされ、そんなキャンディーには見向きもしないでしょうし。

 

船内の中国人観光客の子供たちは、親からもらったお菓子や果物をのべつ幕なしに食べています。

 

変化ということで言えば、基本的なこととして、29年前の観光客が欧米人であったことに対し、現在は圧倒的多数の中国人民に変わったということも。

 

【陽朔の壮大な野外水上劇「印象劉三姐」に感じる漢族歴史観 異様に高額な中国観光地】

「漓江下り」の終点である陽朔の市内を散策後、夜は壮大なショーを鑑賞。

中国を代表する映画監督で、北京オリンピックの開会式を演出したことでも知られる、張芸謀プロデュースの「印象劉三姐」ショーです。

 

内容は、この地の少数民族(トン族、ミャオ族、チワン族)をテーマにしたもののようですが、とくに物語性はそんなにないみたい。

 

とにかく“中国人好み”で、大規模・派手な舞台・演出の野外劇です。

 

ガイド氏が「舞台は2~3kmありますから・・・」と言っていましたが、そのときは「何言ってんだか」と思っていました。

でも、実際に入って納得。

陽朔の美しい山水画の世界をそのまま自然の舞台とし、さらにトン族の伝説の歌の名手「劉三姐」の話をモチーフとした大掛かりな水上ショーの舞台は2キロにわたる漓江水域とその背景にある12の山で構成されているそうです。

 

2kmぐらい先の桂林独特のカルスト地形の山々がライトアップされて舞台背景となっています。

観客は3000名ぐらいでしょうか。

(開幕前の観客席、水上舞台の様子)

演出は張芸謀らしく、大掛かりできれいですが、15年前からやっているショーで、その点では演出はやや“古い”ところもあるのかも。

 

内容・演出は別にして、ちょっと気になったことも。

 

ショーの中の少数民族は、おだやかに、平和的に暮らし、歌や恋を楽しみ・・・それを大勢の漢民族観光客が楽しみ・・・・でも、実際の中国の歴史は漢民族と少数民族の戦いの歴史でしょう。

 

ショーには、そうした現実世界は一切出てきません。

漢民族を頂点とする中華世界における調和的少数民族という世界観を反映したもののようにも。

 

日本人も、漢族にすれば、一種の少数民族でしょう。ベトナム、朝鮮、チベット、モンゴル、ウイグル・・・・も。

 

以前、西安の歴史博物館を観光した際に、漢や唐の時代、多くの少数民族がひとつの中国という国家のもとで強調し、文化・経済は大いに発展した・・・といった歴史観に違和感を覚えたことも。

 

そうした歴史観はあくまでも漢族中心の歴史観であり、漢・唐の統一は周辺少数民族にとっては侵略ともなります。

 

そうした世界観・歴史観の違いが、現在問題となているチベットやウイグルの問題の根底にあります。

 

****「ウイグルは空前の繁栄」中国政府が白書で反論 ****

中国政府は21日、新疆ウイグル自治区は「史上最高の繁栄の時期を迎えている」と主張する白書を発表した。

 

「社会は調和がとれ安定し、生活水準も改善が続いている」とした。100万人以上の少数民族ウイグル族が同地区で拘束され、欧米社会が「人権侵害だ」と批判していることに対し、白書を通じて反論した。

 

中国政府は今年3月にも白書を発表し、ウイグル族の拘束は「テロを予防するための職業訓練が目的だ」などと主張した。短い期間に2度も白書を出して反論するのは、習近平(シー・ジンピン)指導部が欧米社会の人権批判に警戒を強めていることの表れといえる。(後略)【7月21日 日経】

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美しく演出された少数民族の世界を見せるショーに、漢・唐の時代から変わらぬ漢族中心の視点を感じた次第です。

 

もうひとつ気になったのは、もっと現実的かつ現代的な中国の問題。

ショーのチケット代が馬鹿高いということ。

 

2kmさきの遠方までを舞台として、数百名が織りなすショーですから、階段状の客席のなかで、全体を見渡せる最後部の一番高いところがVIP席(屋根付きの個室)になります。

 

ステージに近い席は、人物は見えても、全体がよく見渡せないので安くなります。

 

私の席は、VIP席直前の最後部に近い“いい席”でした。

お値段の方も480元(約7800円)と結構なお値段。

 

こうした観光ショーもですが、中国では観光地の入場料が非常に高く、ちょっとしたところに入場するにも2000円ぐらいします。有名どころとなれば3000円以上。

 

日本では国宝に指定されている場所でもせいぜい数百円、多くの観光地は無料、あるいは200円前後で入れることに比べると、中国観光地の高額は異常です。

 

そんな馬鹿高い観光地に大勢の中国人観光客が押し寄せているのですから、中国人の懐具合も随分とよくなったものです。

 

今、陽朔から龍脊に移動する車内です。

今日の観光メニューは龍脊の棚田見学です。

 

もちろん美しい棚田は日本各地にも、またバリ島などアジア各地にありますが、やはり中国となるとその規模も・・・・といったところだろうと期待しています。

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