孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

その健康状態に世界が関心をよせる米大統領の重責 ウクライナ情勢も、台湾問題も

2021-12-04 14:59:59 | アメリカ
(3日、ホワイトハウスでせきをするバイデン米大統領【12月3日 時事】)

【咳き込むバイデン大統領 世界が健康状態に関心】
アメリカ大統領ともなると、その健康状態は世界中の関心事。
ましてや史上最高齢で、かねてより健康不安が取り沙汰されているバイデン大統領ともなると、咳き込んだだけでそのニュースが世界に拡散します。

****せき込むバイデン氏「ただの風邪だ」 79歳、健康不安打ち消し****
史上最高齢の米大統領であるバイデン氏(79)が3日、演説中に声がかすれていたため、記者から「大丈夫ですか」と問われ、「ただの風邪だ」と答える一幕があった。ホワイトハウスは直後に新型コロナウイルスへの感染を否定する医師の診断内容を公表した。
 
バイデン氏は3日、雇用状況に関する定例の演説に臨んだが、普段よりも声が低音で、せき込む頻度が多かった。演説後に記者から「声が普段と違ったが、大丈夫ですか」と問われ、「新型コロナの検査も受けたが、ただの風邪だ。よくキスしてくれる1歳半の孫が(先に)風邪をひいていたんだ」と笑みを浮かべながら“健康不安”を打ち消した。
 
ホワイトハウスが公表した医師の診断内容によると、バイデン氏は鼻づまりや声のかすれといった症状があるが、新型コロナやインフルエンザの検査では陰性だった。今後は市販薬などで治療するという。
 
バイデン氏は11月に受けた定期検査で「引き続き健康で元気があり、大統領の責務を果たすのに適している」と診断されたが、背骨の摩耗などによって歩行がぎこちなくなっていると指摘されたほか、大腸の良性ポリープを除去していた。【12月4日 毎日】
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新型コロナはともかく、以前から囁かれている認知症の方はどうなんでしょう。アンチ勢力のフェイクでしょうか。
一応、通常の対応はクリアしているようにも。首脳会談などもこなしているみたいですし。
まあ、79歳ですから、年相応の機能低下はあっても不思議ではないでしょう。

「大丈夫かよ?」ということでは、まだ若いこの人も。

****ペッパピッグをお勧め、原稿がさごそ……ジョンソン英首相の演説に注目****
ボリス・ジョンソン英首相は22日、英産業連盟(CBI)の年次総会で演説したが、その内容が「しっちゃかめっちゃか」だったと注目を浴びている。

英北東部ポート・オブ・タインの会場から遠い英南部にある「ペッパピッグ・ワールド」を称賛したり、演説原稿のどこを読んでいたか分からなくなり20秒以上、沈黙したりと、かなり異例の演説だった。「ペッパピッグ」とはイギリス発の人気子供アニメ番組。日本でも放送されている。

あまりのことに英ITVの記者から「大丈夫なんですか」と質問されると、首相は「(演説は)うまくいった」と答えた。(後略)【11月24日 BBC】
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上記記事には動画が添付されていますが、あまり「大丈夫」ではないようにも。見ている方がハラハラする、ほとんど放送事故状態。
「ペッパピッグ・ワールド」は、とにかく何かしゃべらないと・・・ということで、頭に浮かんだものを・・・ということでしょうか。

【4年の次期大統領選で再選目指す・・・とは言うものの・・・】
話をバイデン大統領に戻すと、24年の選挙でも再出馬するとか。

****バイデン米大統領、24年の次期大統領選で再選目指す意向=報道官****
米ホワイトハウスのサキ報道官は22日、バイデン大統領が2024年の次期大統領選に出馬する意向を示していると述べた。

バイデン氏は79歳。このところ支持率が低下しており、民主党の間からも再選を目指すのか疑問の声が出ていた。【11月23日ロイター】
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まあ、現時点ではそのように言っておかないと、支持率低下の政権の求心力が更に低下しますから・・・。
ただ、実際のところは・・・当然、民主党内でも「次」が模索されており、それに付随して、「ハリス副大統領ではダメだ」といった議論も。

そのあたりは、また別機会に。

バイデン氏の再選を目指す意向については、思いがけないところから援護射撃も。

****2024年の出馬未定、バイデン氏は2期目を目指すのが正解=プーチン露大統領****
ロシアのプーチン大統領は30日、2024年の任期満了後に、さらに6年の任期を目指して出馬するかどうかはまだ決めていないと述べた。一方、バイデン米大統領が同年の大統領選で再選を目指すことを検討していることに賛意を示した。

プーチン氏は今世紀に入って以来、大統領または首相として権力を握り、ロシア政府の指導者としてスターリン以来の最長記録となっている。ロシアでは昨年、プーチン氏がさらに連続2期(計12年)務めることができる改定案が可決された。この改定がなければ、24年に退陣しなければならなかった。

モスクワで開催された投資フォーラムで、プーチン氏は大統領選に再出馬できるという選択肢があることで、政治システムの弱体化を防いでいると示唆した。

プーチン氏は「私が再出馬するかどうかは未定だが、立候補する権利の存在そのものが既に国内の政治状況を安定させている」と述べた。

一部のアナリストは、プーチン氏が24年に再出馬するという選択肢がなければ、機能不全に陥っていた可能性があると指摘していた。これはプーチン氏がバイデン氏との共通点として示唆していた。

プーチン氏は「バイデン大統領が再選の可能性について表明したことは、明らかに正しいと思う。選挙の準備を始めなければ、国の統治能力はかなりの程度損なわれると思うからだ」とし、「米大統領は私の意見を必要としていないが、バイデン氏の行動は明らかに正しいと思う」と語った。

プーチン氏は、特にウクライナ問題で米政府との関係が緊迫しているものの、バイデン氏とは良好な関係を築いていると表明。ロシア政府はここ数週間に、2度目の首脳会談を行う可能性について繰り返し言及した。

プーチン氏の報道官は今月、プーチン氏が24年以降も政権にとどまった場合にプーチン氏を大統領として認めるのをやめるとする米議員団の決議案について「不条理な」干渉だと非難した。【12月1日 ロイター】
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こちらは、バイデン氏がどうこうというより、自らの再選を正当化するための主張のようにも。

【ウクライナ情勢を安定化できるか  バイデン・プーチン首脳会談】
冒頭の米大統領の健康が世界中の関心事ということに戻りますが、アメリカが「世界の警察官」をやめようがどうしようが、その存在感の低下が取り沙汰されようが、世界各地で起きている、あるいは、これから起きるかもしれない紛争・トラブルに関して、米大統領の対応が極めて大きな影響力を持つという現実があってのことです。

上記記事でも、プーチン大統領との2度目の首脳会談に言及されていますが、ウクライナ・欧米とロシアの間で、互いに相手が緊張を高めているという非難合戦になっており、ロシア・ウクライナ双方が大規模な軍事展開を行っているとされるウクライナ情勢の今後を方向づける重要な会談となります。

“ウクライナ侵攻計画の「証拠」あり 米、ロシアに制裁警告”【12月2日 AFP】
“NATO外相理事会 閉幕 ロ侵攻なら「代償」との認識で一致”【12月2日 産経】
“アメリカとNATO緊張、クリミア併合の二の舞を警戒”【12月2日 Newsweek】

最近の複数の報道によれば、ロシアはウクライナとの国境地帯に約10万人の軍部隊を集結させており、戦車などの重量機材も配備しているとのこと。

上記のような見方は欧米側のものですが、一方、ロシアはウクライナ軍がウクライナ東部の親露派との停戦ライン付近に「12万5000人」の部隊を集結させていると主張。

欧米側が「クリミアの再現」を持ち出しているのに対し、ロシア側は2008年にジョージア(当時はグルジア)が「暴発」した当時と状況が似てきていると、ウクライナを牽制しています。

また、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を模索していることを念頭に、「NATOのさらなる東方拡大はロシアの根本的利益に抵触する」とも牽制しています。

こうした状況で、ウクライナ情勢が安定化するのか、破局に突き進むのか・・・
2日に、スウェーデン・ストックホルムで会談したブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相に引き続き、バイデン・プーチン両氏のオンライン首脳会談が予定されています。

****米露首脳がオンライン会談へ ウクライナ情勢協議****
ブリンケン米国務長官は3日、バイデン大統領が近くロシアのプーチン大統領と対話し、露軍が国境付近に部隊を展開して緊張が高まっているウクライナ情勢を協議すると明らかにした。

ロイター通信によると、オンライン形式での会談となる見通し。バイデン氏は同日、記者団に、詳細への言及を避けつつも、ロシアによるウクライナ侵攻を阻止するための「包括的な対策」を検討中だと述べた。
実現すれば、両首脳による直接対話は7月以来となる。

ブリンケン氏は「バイデン氏は(プーチン氏に)ウクライナの主権を脅かすいかなる攻撃的な行動に対しても、断固として立ち向かう決意を伝える」だろうと語った。

一方でブリンケン氏は、ロシアとの間で「より予測可能性の高い安定した関係」を築くことを望んでいるとも強調。米側としては首脳会談で緊張緩和に向けた道筋を探りたい考えだ。

露西部のウクライナ国境付近には9万人規模の露部隊が集結しているとされ、米国をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)諸国の間で懸念が強まっている。

ブリンケン氏は2日、スウェーデンの首都ストックホルムでラブロフ露外相と会談し、露軍がウクライナへ侵攻すれば「深刻な結果を招く」と警告し、部隊の引き揚げを要求。これに対してラブロフ氏は露側に侵攻の意図はないと主張する半面、この問題で協議を継続することで同意した。【12月4日 産経】
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【緊張を高める台湾情勢 バイデン・習近平首脳会談実施】
一方、目をアジアに転じると、現実味を増しているのが台湾への中国の軍事作戦の可能性。

こちらは、日本にとっても、安倍元首相の言うように「台湾有事は日本有事」かどうかはともかく、何らかの対応を迫られる重大な安全保障問題です。

この状況にあって、米中首脳は11月16日、オンライン会談を行っています。

****米中がオンラインで首脳会談 関係改善の糸口つかめたかが焦点****
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席の、オンラインによる初めての首脳会談が行われました。
米中の対立が深まっている中、トップどうしの会談を通じて関係改善の糸口がつかめたかが焦点です。

アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席のオンラインによる初めての首脳会談は、日本時間の16日午前10時前から始まり、国営の中国中央テレビによりますと、午後1時半ごろ終了しました。

会談の冒頭、バイデン大統領は「アメリカと中国の指導者には、両国の競争が意図しようがしまいが、衝突につながらないようにする責任がある」と述べたうえで、誤解や見込み違いが衝突に発展するのを防ぐための「ガードレール」の役割を果たす共通認識をつくる必要があると指摘しました。

そのうえで「われわれが懸念する人権問題や経済、自由で開かれたインド太平洋などについて議論する」と述べて、米中間で意見が対立する分野についても、会談で取り上げる考えを示しました。

一方、習主席は「中国とアメリカがそれぞれの発展を推進させ、平和で安定した国際環境を守るためには、健全で安定した両国関係が必要だ。両国は互いに尊重して平和的に共存し、協力してウィンウィンの関係を築くべきだ」と述べました。

そのうえで「私はバイデン大統領とともに、共通認識を形づくり、積極的に行動することで両国関係の前向きな発展を主導していきたい。これは両国民の利益のために必要であり、国際社会の期待でもある」と述べ、関係改善に期待を示しました。
米中両国は、安全保障や経済分野に加え、人権をめぐる問題などでも対立を深めていますが、気候変動対策などでは協力を模索するものとみられています。

中国との関係について、バイデン大統領はこれまで「新たな冷戦は望まない」という考えを示すとともに「衝突ではなく競争を望む」と強調してきました。

これに対して習主席も「協力が唯一の正しい選択だ」として、協力を呼びかけていて、トップどうしの会談を通じて関係改善の糸口がつかめたかが焦点です。(後略)【11月16日 NHK】
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結果的には、具体的な進展は特に見られませんでしたが、とにもかくにも両首脳が会談したこと自体が最大の成果といったところでしょうか。

上記会談を受けて国防当局者のハイレベル対話も検討されています。

****米中、国防高官対話で合意 長官級も模索か、米報道****
米ブルームバーグ通信は25日までに、米国と中国が国防当局者のハイレベル対話の実施で合意したと伝えた。

15日にオンライン会談したバイデン米大統領と中国の習近平国家主席は、軍事衝突回避の必要性で一致しており、国防長官級の対話を模索しているとみられる。
 
同通信によると、中国軍の制服組トップ、許其亮・中央軍事委員会副主席を含む高官対話が想定されている。ロイター通信によると、両国は8月、バイデン米政権発足後初めてとなる国防副次官補級の会談をオンライン形式で開いた。【11月25日 共同】
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ウクライナにしても台湾にしても、最後は米大統領の判断が大きな影響力を発揮しますので、バイデン大統領の「咳き込み」「しゃがれ声」に世界が注目するのも無理からぬところでしょう。

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