孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ミャンマー  首都でも国境地帯でも厳しい状況が報じられる国軍

2024-04-08 22:21:15 | ミャンマー

(【3月31日 日テレNEWS】 軍楽隊を戦闘に軍の歓迎式典に向かう新兵・・・のようですが、詳細は不明)

【徴兵手続き開始 逃げる若者】
ミャンマーでは少数民族武装勢力及び民主派武装組織と国軍の戦闘が続いていますが、3月28日ブログ“ミャンマー 軍事政権崩壊の可能性も見えてきた今、行うべきこと 都市部市民生活の様相”でも取り上げたように、兵士の離脱・投降もあって兵員不足を補う徴兵制実施までに追い込まれている国軍側の苦境が報じられています。

****ミャンマー国軍が軍事パレード 権威誇示狙うも徴兵制導入で反発拡大*****
クーデターで実権を握ったミャンマー国軍は27日、首都ネピドーで「国軍記念日」の式典と軍事パレードを実施した。権威を誇示する狙いがあるが、国軍は少数民族武装勢力との戦闘で劣勢が続く。兵員不足のため、徴兵制導入を決定したことで不安が拡大しており、国軍の求心力は低下の一途をたどっている。

国軍記念日は、1945年に日本軍に対して蜂起した日を記念するもので国軍が最も重視する行事の1つ。恒例の軍事パレードは午前中に開催されていたが、今回は夕方となった。

国内では昨年10月に3つの武装勢力が、クーデターに反発する民主派に呼応し、国軍に攻勢を開始した。既に少なくとも500以上の国軍拠点を制圧。中国の仲介で北東部シャン州の一部で停戦が実現したもようだが、西部地域などで戦闘が継続している。

戦況悪化に窮する国軍は2月、4月以降に徴兵制を導入すると発表した。18歳以上の男女が対象で、拒否すれば禁錮刑などの罰則がある。

既に徴兵を嫌う若者の国外流出が始まっており、パスポート申請窓口に希望者が殺到し、女性2人が窒息死する事故も起きた。最大都市ヤンゴンの会社員の男性(29)は産経新聞の取材に「国軍支配を容認できない上、徴兵されることは耐えられない」と言及した。兵役を避けるため、隣国タイで就労できないか考えているという。

強引に政権を奪取した国軍への支持は乏しく、民間団体が今月発表したミャンマー国民への意識調査(約2900人対象)によると、回答者の80%が民主化指導者のアウンサンスーチー氏を支持しているとしたのに対し、国軍トップのミンアウンフライン総司令官への支持は4%にとどまった。徴兵制に関しては「紛争を減らす」とした回答は1%で、7割以上が「激化させる」と回答した。【3月27日 産経】
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****国軍パレード、戦車現れず ミャンマー、戦力低下か****
ミャンマー軍事政権は27日、首都ネピドーで国軍記念日の軍事パレードを実施した。軍政トップのミンアウンフライン総司令官が出席したが、近年のパレードで登場していた戦車やミサイルは確認されなかった。国軍は昨年10月下旬から少数民族武装勢力の猛攻を受け、戦力低下が指摘されている。(後略)【3月27日 共同】
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“ミンアウンフライン総司令官への支持は4%%”・・・・つまり、ほとんどの国民が(おそらくは兵士の多くも)軍事政権崩壊を願っている状況では、戦闘継続はますます難しくなるでしょう。

以前も書いたように、かつてのアフガニスタン政権のように、国民の支持を得られない政権はあっけなく崩壊することもあります。

国軍は2月10日に徴兵制の開始を発表し、18歳以上の国民に年齢の上限を設けたうえで、毎月5000人を招集する計画を明らかにしていましたが、その徴兵の手続きが始まっています。

「水かけ祭り」後の今月17日(ミャンマーの正月)以降と見られていましたが、国内の混乱を受けて前倒しされたようです。

ただどうでしょうか・・・政権を支持していない人々を無理やり兵士に仕立てても、あまり期待できないようにも思いますが。場合によっては武器をもったまま投降し、今度は銃口が国軍側に向けられることも・・・。

****ミャンマーで徴兵手続き開始、別の町や海外へ逃げる若者…「貧しくパスポート申し込めない」声も****
国軍によるクーデターから3年が経過したミャンマーで、18歳以上の国民を対象にした徴兵の手続きが始まった。少数民族武装勢力などとの戦闘で劣勢の国軍は徴兵で兵力を補いたい考えだ。

対象年齢の若者らは、故郷から出て別の町で隠れて暮らしたり、少数民族武装勢力の支配地域や海外に逃れたりして混乱が広がっている。

最大都市ヤンゴン郊外の集落では3月下旬、対象年齢の住民が住む家を地元当局者が巡回し始めた。当局者は親たちに、子供の徴兵に応じるかどうか意向を確認する書類へのサインを求めた。

対象年齢の息子2人と暮らす女性(58)は「拒否すれば息子たちが処罰される」と恐れ、同意したという。「貧しくて、息子たちは国外に逃れたくてもパスポートを申し込むことさえできない。子供たちが兵役に行ってしまったら、自分は生きていけない」と涙を流した。

国軍は2月10日、徴兵を始める方針を発表した。対象は原則として18〜35歳の男性と18〜27歳の女性で、対象年齢の人口は1400万人以上に上る。兵役は2〜3年間に及び、月5000人を徴兵する計画だ。

独立系地元メディア「イラワジ」によると、3月29日にはヤンゴンを含む一部地域で、最初の徴兵対象者が軍の訓練施設に集められた。国営メディアは首都ネピドーで同日、184人の対象者が集められた様子を伝えた。国軍は地区ごとに徴兵を進め、くじ引きなどで人選していると報じられている。

兵役から逃れようと地元を出て、別の町で身を隠す若者らが相次いでいる。中西部の村で農業をしていた男性(33)は3月中旬、家を出てヤンゴン郊外の集落に逃れた。1泊3000チャット(約200円)ほどの簡易宿泊所で過ごす。

人目に付かないように食料の買い出し以外は外出せず、働くこともできない。古里の自宅には、生まれたばかりの娘と妻がいる。「所持金が尽きるまで隠れるつもりだ。お金がないから国外に出られず、正直言ってどうしたらいいか分からない」と語った。

若者らの一部は少数民族支配地域に逃れ、武装勢力に合流している。

海外脱出を目指す動きも続き、ヤンゴン市内のパスポート発給事務所には連日、大勢の人たちが申請に訪れる。海外就労の仲介会社を経営する男性によると、正規ルートだとパスポートの申請は半年待ちの状態だ。日本円で10万円ほどの手数料を取って、パスポートの早期発給を仲介するブローカーも多いという。

仲介会社の経営者は「お金のある人は当局者へ賄賂を渡したり、ブローカーを利用したりできるが、貧困層はどうすることもできず、家から逃げるしかない」と実態を打ち明けた。

混乱が広がる中でも、国軍のミン・アウン・フライン最高司令官は27日の国軍記念日の演説で「国家の平和と安定のために徴兵の実施が必要だ」と述べ、計画を推し進める考えを強調した。【4月1日 読売】
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【首都の軍施設がドローン攻撃を受ける】
3月27日の首都ネピドーでの「国軍記念日」軍事パレードに戦車・ミサイルが出てこなかったのは、首都防衛に兵力を向けているためとも言われていますが、その首都ネピドーの軍の本部とアラー空軍基地が民主派武装組織によるドローン攻撃を受ける事態に。

****ミャンマー首都の軍事施設を無人機で攻撃、反政府組織が発表****
ミャンマーの民主派政治組織「挙国一致政府(NUG)」は4日、首都ネピドーにある2カ所の軍事目標を無人機(ドローン)で攻撃したと発表した。(中略)

NUGは国軍施設2カ所に対し組織的なドローン攻撃を行ったとする声明を発表した。使用されたドローンや武器、標的が被害を受けたかどうかなどの詳細は明らかにしていない。

「ネピドーに対してドローン攻撃を同時に実行した。テロリスト軍の本部とアラー空軍基地の両方を標的とした。暫定報告では死傷者が出たようだ」と説明した。

ネピドーにあるNUGの武装組織「国民防衛隊」の報道官は、NUGの国防省の指示の下で攻撃を行ったと述べた。詳細には言及しなかった。

2つの非公式親軍メディアは、ドローンは撃墜され死傷者は出なかったと伝えた。

NPニュースは政府関係者の話として、ドローンは基地に到達しなかったが爆発が起こり、滑走路の一部に若干の被害をもたらしたと伝えた。親軍のテレグラムチャンネルは7機のドローンが撃墜されたとしている。

ニュースサイト「Mizzima」は16機のドローンが軍事基地の攻撃に、13機が空軍基地の攻撃に使われたと伝えた。

ニュースサイト「イラワジ」によると、ドローンを操作したとされるグループの報道官は軍政指導者の住居も標的だったとし、「さらなる攻撃を行う計画がある」と述べた。【4月4日 ロイター】
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国軍側は“東部からネピドーの空港などに向かって無人機が飛来したと発表。13機の撃墜を確認し、被害はなかったとしている。”【4月5日 共同】とのことですが、上記記事にあるように合計29機が攻撃に使われたということであれば、半数以上は撃墜できなかったということにもなります。

もちろん実質的被害は極めて軽微なものですが、首都の軍施設が攻撃を受けることの体制側の心理的影響や国民の軍へのイメージに大きな影響がありそうです。

【タイ国境で戦闘激化 タイ側に逃れた国軍兵士をチャーター機で救出】
事態に、隣国タイも警戒を強めています。

****ミャンマー民主派勢力など“ドローン”で軍に攻勢  戦火拡大で隣国のタイ軍も警戒強める****
クーデターにより軍が実権を握るミャンマーでは、民主派の抵抗勢力がドローン=無人機による攻勢を強めていて、隣国タイの軍は国境のパトロール強化を行うなど警戒感が高まっています。

ミャンマー軍事政権に抵抗する民主派組織は4日、傘下の武装勢力が首都ネピドーにある軍の本部や総司令官の自宅などを標的におよそ30機のドローンで攻撃したと発表。具体的な被害は明らかになっていませんが、民主派組織の幹部は「ドローンによって、どこにでも攻撃できるようになった」と強調しています。

一方、独立系メディアによりますと、タイとの国境に近いミャンマー東部カイン州でも武装勢力が軍の基地などをドローンで攻撃したということです。

これに対し、ミャンマー軍も空爆で激しく応戦していることから、タイ軍は5日、国境地帯で緊急のパトロールを実施するなど、警戒感を強めています。【4月6日 TBSNEWSDIG】
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そのタイ国境では・・・・少数民族武装勢力の攻撃でタイ側に逃れた国軍兵士がチャーター機で救出されたとか。

****ミャンマー国境で戦闘激化  タイの空港から兵士らを救出?ミャンマー軍がチャーター機を派遣****
ミャンマー東部の国境地帯では、少数民族武装勢力が軍の基地を占拠するなど攻勢を強めていて、軍事政権は、隣国タイの空港に臨時の航空機を派遣する異例の手段で兵士らの救出に動いています。

ミャンマーの独立系メディアによりますと、タイとの国境に近い東部ミャワディでは、少数民族や民主派の武装勢力がミャンマー軍に激しい攻撃を仕掛け、6日、基地を占拠しました。

少数民族側は、ミャンマー軍の兵士や家族ら600人あまりが投降したとしています。

一方、タイメディアなどによりますと、ミャンマー軍事政権は、ミャワディの兵士や市民らを救出しようと、タイ側の空港に臨時の航空機を派遣したと伝えました。

タイ政府も兵士らの送還を承認しており、7日夜に到着したチャーター機が20人ほどを乗せ、すでに出発したということです。

送還のための航空機は、10日までピストンで運航するとみられています。【4月8日 TBS NEWS DIG】
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実際のところの戦況はよくわかりませんが、首都の軍施設が攻撃を受け、国境では国外に逃れた兵士をチャーター機で救出・・・いよいよ国軍側が追い詰められているような感じもします。

ただ、こうした情報はごく一部の切り取りですので、全体像はまた別物かも。何度も言うように、実際のところはよくわかりません。今まで以上に国軍側に芳しくないのは事実でしょう。
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