(中国広東省にある「怪しい日本街」 【9月24日 レコードチャイナ】)
【日本への関心・好感と不信感・敵意・嫌悪感】
ネット上では、中国の人が日本に来てみて日本の素晴らしさに驚いた・・・といった「日本はすごい」の類の情報が多々見られます。
(日本でそういう情報が好まれるので、日本向けにそうした情報が多く発信される事情もあるのでしょう)
また、以前から日本のアニメ文化に対する中国若者の好感度も高いものがあるようです。
一方で、特段、記事などになることもないですが、先の戦争以来の日本に対する不信感・敵意・嫌悪感みたいなものが根強く残っているのも事実でしょう。
そうした日本に対するふたつの見方がせめぎあうなかで、下記のような話にもなるようです。
****日本好きを公言すると「罵られるのは納得いかない」 中国人が日本を好きになっちゃダメなのか?=中国ネット****
中国では「近代における歴史は決して忘れてはならない事実」として教え込まれ、同時に愛国精神を抱くよう教育が行われていることから、日本に対して好意的な感情を抱くことができない中国人は少なくない。
一方で、幼い時から日本のアニメや漫画を見て育った世代は日本に対してまた違った感情を抱いているようだ。
中国のQ&Aサイトの知乎にはこのほど、「中国人が日本を好きになるのは間違ったことなのか」と問いかけるスレッドが立ち上げられ、中国人ネットユーザーから様々な意見が寄せられている。
スレッドを立ち上げた高校2年生の中国人は、「自分は中国人として愛国心を持っており、日中の歴史も学んで理解しているが、それでも日本が好きなのも正直な気持ち」だと主張。それなのに「日本好きであることを公言すると、批判されたり、罵られたりするのは納得がいかない」と訴えた。
これに対し、自分も思春期に日本のアニメに触れたと振り返り、「学生時代に学業のストレスに苦しむ時、日本のアニメで描かれる青春や友情を見て、中国の学校生活に不満を感じることもあった」と同調を示すも、社会人となって「より広い視野で日中の政治や社会情勢を見た時に、日本に対する感情は変化し、日本は中国に謝罪すべきという考え方になった」という意見が寄せられた。
一方、「自分も日本の文化が好きで日本語を学んでいる」という中国人ネットユーザーからは、「中国人が日本を好きになることは別に間違ったことではなく、自分が好きなもののなかに日本の文化が含まれていただけ」とする声も寄せられた。
しかし、中国のネット上で日本の文化や習慣を過剰なまでに称賛する傾向が一部で見られることについては、「あまりに盲目的で理性に欠ける愚かな態度」と批判する意見もあったほか、「中国の若い世代が過去の歴史の一切を水に流し、現在の自分とは全く関係がないと考えるなら、それは間違っている」とし、歴史認識に対する日中の相違を解決せずに先に進むことは許されることではないとする意見も見られた。【9月25日 Searchina】
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【日本への関心の高さをうかがわせる「怪しい日本街」】
冒頭に、“日本でそういう情報が好まれるので、日本向けにそうした情報が多く発信される事情もあるのでしょう”と書きましたが、中国人の日本への関心の高さがあながち虚像でもないことをうかがわせるトピックが「怪しい日本街」
****中国広東省に「怪しい日本街」、日本のSNSで話題に!****
日本のツイッターユーザーが近ごろ「広東省仏山市に怪しい日本がある」とツイートし、現地の画像を掲載したところ反響を呼んだ。画像には、日本を代表する繁華街の一つである東京の「歌舞伎町一番街」を模したとみられる「一番街」のゲートのほか、映画館、クラブ、バー、飲食店など、歌舞伎町を想起させる看板が道の両側に並ぶ様子が見て取れる。
また、看板に書かれている内容は「毛利探偵事務所」「アンパンマン」「藤原豆腐店」「うずまきナルト」「DORAEMON」「ケロロ軍曹」「大長編ドラえもんのび太の人類補完計画Q」など、多くが日本のアニメやゲームに関するもので、道路にも日本の標識が立っているほか、「止まれ」「タクシー」といった文字が書かれている。横断歩道には「じてんしゃ」とひらがなで書かれ、郵便ポストも中国で一般的な緑色ではなく、赤い「日本仕様」だ。
この怪しい日本街は、中国在住の複数の日本人がその様子を伝えるとともに「現地の若者の間で人気がある」などと紹介している。
また、この様子を伝える投稿に対し、日本にいるユーザーも大いに関心を持ち「中国に行けるようになったら一度は行ってみたい」「外国人がゲームで再現した日本の街って感じ」「中国人から見た中華街ってこんな感じかも」「とても怪しい雰囲気がいい」「毛利探偵事務所はいつから中国に支点を構えたのか」といったコメントを残している。【9月24日 レコードチャイナ】
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****「怪しい日本街」だけじゃない! 各地に日本風の街が続々登場―中国****
日本のSNSで中国広東省にある「怪しい日本街」が注目を集めたが、実は中国には他にも日本風情たっぷりの街並みが存在している。
日本のSNSで反響を呼んだのは、「広東省仏山市に怪しい日本がある」という日本のツイッターユーザーの投稿。掲載された画像からは、東京の「歌舞伎町一番街」を模したとみられる「一番街」のゲートのほか、歌舞伎町を想起させる看板が道の両側に並ぶ様子が見て取れる。
一方、上海に近い江蘇省蘇州市では、日本風情豊かな「淮海街」がリニューアルオープン目前という状況だ。中国のネット上に23日に掲載された文章によると、淮海街は全長約580メートルの通りだが、訪れた人を一瞬にして「日本に連れていく」のだそう。
店の内装から店員の服装に至るまで日本の雰囲気を色濃く醸し出しており、「ドラマ『深夜食堂』のシーンを思い出さずにはいられない」との声も出ている。
淮海街は今年4月に改造工事が始まり、約5カ月間かけて全面的なバージョンアップが施された。新たな姿は今月27日にお披露目される予定だ。
淮海街をめぐっては、以前にも「通りの両側には日本料理店や居酒屋が並んで周囲に住む日本人の憩いの場となっている。そして多くの蘇州人が日本の風情を体験し、舌を楽しませる美食街でもある」などと紹介されている。
中国ではほかにも遼寧省大連市で、「京都風情街プロジェクト」が進んでいる。今月19〜20日には同プロジェクトのPRや日本の人気商品の展示販売の場となる日本物産展が開催された。このイベントは来月も行われるという。【9月25日 レコードチャイナ】
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もちろん、日本各地、世界各地に「中華街」はありますが、中華街は華人が多く集まったエリア。
この「怪しい日本街」は、一種の日本を再現したテーマパークみたいなものでしょう。
そこまで日本に関心を持ってもらえるというのは、やはり日本人としても喜ぶべきことでしょう。
日中間には問題が多々ありますし、日本からすれば受け入れがたい中国政治の現状もあります。
さはさりながら、互いに関心を持ち、相手を理解することが、関係改善の第一歩であることは間違いないでしょう。
【日本への好感の大きな理由が清潔さ】
中国人が日本に来て、素晴らしいと感じるもの要素としては、自然、文化、社会の在り様などさまざまですが、「清潔さ」というのは、非常に大きなウェイトを占めているようです。
****日本に対する一番いい印象は・・・?=中国メディア****
中国のポータルサイト・百度に21日、「日本についての最も良い印象は、清潔であること」とする記事が掲載された。
記事は「初めて日本を訪れたのはもう何年も前のことだ」とした上で、一緒に行った人が「日本は清潔だった」と賞賛する通り、確かに清潔だったと紹介。
一方で「その頃はまだ若かったので、心の中では日本に優れた部分があるということを認めたくなかった」と伝えた。
そして、初めて日本に行ってから長い時間が経過し、年齢を重ねたことで考え方も極端ではなくなり、他人の長所を認識し、受け入れられるようになってから再び日本を訪れ、今度は日本の清潔さを「楽しむ」ことができたと紹介。日本の清潔さは人、サービス、規則という3点によって支えられているのだとの考え方を示している。
まず、人については外出中に自分で出したゴミを可能な限り持ち帰って処理をする姿勢、そこまでやらなかったとしても、少なくともそこかしこにゴミをポイ捨てしたり、痰や唾を吐いたりする人が少ないことから、街の清潔が十分に保たれているのだとした。
次に、行政を含めた環境保護に関連するサービスが行き届いている点に言及。ゴミの分別では、各自治体が分別の仕方を各世帯向けに啓発、指導し、分別して捨てられるように種類別のゴミ箱がちゃんと用意され、分別されたゴミの処理体制も整っていると伝えた。
さらに、環境を守るための規則が充実しており、いずれも実行可能で、なおかつ数量化、可視化されたルールであると説明。その例として厳しい自動車排ガス規制基準を挙げ、厳しい基準が設けられ、徹底されているからこそ日本は自動車の台数が多い一方で空気がきれいなのだと論じている。(編集担当:今関忠馬)【9月23日 Searchina】
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日本の社会・文化・国民性のいろんな要素が、この「清潔さ」に集約されているとも言えます。
同日に、日本の清潔さに関する記事が、他にも2本。
“日本のビジネスマンは毎日ワイシャツを換えるらしい! こんな国民性だから「日本は清潔なんだ」=中国”【9月23日 Searchina】
記事にもありますが、“日本人としては、中国人は毎日ワイシャツを換えないのかと驚くところだろう”という感も。
“アジアで一番清潔な国と、そうでない国=中国メディア”【9月23日 Searchina】
記事が“日本は確かに世界でもトップクラスの衛生環境を持つ国の一つ”としながらも“一番清潔な国”として挙げたのはシンガポール、“アジアで最も衛生環境が悪い国”として挙げているのはインド。
インドのカオスは、中国人としても辟易するものがあるようです。
なお、昔の中国は、みな平気で痰を吐くは、トイレはすごい状態だし・・・という世界でしたが、近年は非常にきれいになっています。
地方都市でも、道路にはゴミもほとんど落ちておらず、そんなに日本と変わりない感も。
ただ、それは清掃作業に従事する者がいての話であり、各人が気を付ける日本とはまた異なるものもあるようです。
【異なる仕事への価値観 中国人には理解しがたい日本の高齢者労働】
一方、中国人から見て、日本の奇異に感じられることとしていつも挙げられるのが、日本ではどうして高齢者があんなに大勢働いているのか?ということ。
****日本では定年後も働きたい人が6割以上=中国ネット「私は今すぐにでも退職したい」「これは伏線か?」****
2020年9月21日、新華網は日本メディアの報道を引用し、日本では定年後も働きたいと回答した人が64%だったと伝えた。
記事が紹介したのは、日本生命保険が保険契約者を対象に行った定年退職後に関するアンケート。7543人から回答を得たが、このうち「現在の仕事を続けたい」が38.7%、「別の仕事をしたい」は25.3%で、合わせて64%が働き続けることを希望していた。
仕事を続けたいとした人に何歳まで働き続けたいか尋ねたところ、40%の人が65〜69歳と回答し、11.7%の人が75歳以上との回答だった。記事は、日本では来年4月に実施される改正高年齢者雇用安定法で70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となると伝えた。
これに対し、中国のネットユーザーから「私は今すぐにでも退職したい」とのコメントが非常に多く寄せられた。また、「お金がなければ働き続けたいさ。お金があれば200%働かないね」というコメントもあり、基本的に働きたくないという人が多いようだ。
しかし、「70歳で退職というのもいいね。老化を遅らせることができる」「社会に必要とされていると感じられるから働き続けたいと思う」など、働き続けることに意欲的な意見もあった。
ほかには、「まずは60歳まで生きられたらの話だな」「まずは35歳以下の失業問題を解決すべきだ。求人は35歳以下ばかりだ。女性だと26歳を過ぎると難しくなる」と問題点を指摘するコメントや、「これはわれわれの定年を引き延ばすための伏線なのか?」というユーザーもいた。【9月22日 レコードチャイナ】
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(私を含めて)日本の高齢者は多く働く理由は多々あり、経済的な必要があってという側面も軽視できませんが、社会とのつながり、生きがいなどのポジティブな側面も多くあるところ。
なかなかそこらは、中国人には理解しがたいものもあるようです。
仕事・労働に対する価値観が、日中では大きく異なるということ、そこらが中国のサービス精神の欠如、粗悪品の蔓延といった問題にもなるのでしょう。
いずれにしても、新型コロナのために現在は往来がストップしていますが、一日も早く往来が再開して、相互の理解が深まることを願います。