(中国で小中学生向けのオンライン教育が急成長している(図虫提供)【2019年7月18日 日経】)
【多方面への影響】
新型コロナウイルスの問題では、健康・生命の他、政治(対応が不十分な政府への不満など)・経済(部品調達困難による生産停止、株価急落など)だけでなく社会全般で多方面に影響が出ています。
****すでに1カ月 北京はweb授業 小6少女「みんなで勉強したい」****
日本中が小中高の一斉休校への対応に追われる中、すでに幼稚園から大学まで、1カ月近く休校が続く、中国・北京。
子どもたちの姿は、自宅にあった。パソコンに向かい、インターネット上での授業の真っ最中。
小学6年の児童が受けていたのは、漢詩の授業。
インターネット授業の音声「みなさん、こんにちは。前回の授業で勉強した漢詩の意義はまだ覚えていますか? 次の動画をご覧ください」
流れる音声に合わせて復唱したり...。
インターネット授業の音声「みなさん、作者は『石灰詩』という詩を書いたのですが、この詩が言いたいことは何でしょう?」先生の問いに対する答えをノートに書いていく児童。
北京市内の小学6年生「早く終息して、みんなが学校に戻り、また一緒に勉強したい」
地元当局は休校を延長し、ネット授業を続ける方針を示している。
今や南極大陸以外の全ての大陸に感染が広がっている、新型コロナウイルス。
感染者が確認されている中東イラクでは、イスラム教の礼拝堂「モスク」を消毒。その場の人にかまわず、容赦なく消毒を進める作業員。
死者が出ているフィリピンでは、愛の誓いもマスク越し。合同結婚式に参加した新郎新婦は、マスクをしながらのキス。
感染が急拡大するイタリアでは、マスクに手袋姿でカードゲームに熱中する人たちまで。
そして、イランでは、大統領に感染の危機!?地元メディアによると、エブテカール副大統領の感染が判明。26日に行われた閣議では、2人は挟んだものの、近距離にロウハニ大統領と感染した副大統領が座っていた。
そして、人間だけではなく、ペットにもコロナウイルスの魔の手が。
香港当局は、感染が確認された人と一緒にいたペットの犬から、弱陽性反応が出たと発表。今のところ犬に症状はなく、くわしい鑑定を進めているという。(後略)【2月28日 FNN PRIME】
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【日本ではオンラインスクールなどのオンライン教育が、中国や韓国ほど普及していない】
上記記事の冒頭に出てくる学校の問題。
日本でも、一斉休校が提起され問題になっています。
これについて中国メディアは以下のようにも。
****日本ではオンライン教育が中国や韓国ほど普及していない―中国紙****
中国紙の環球時報は28日、「日韓の学校が休校になり親たちが心配、『仕事は休めない、子どもの面倒を見る人がいないがどうする?』」と題した記事を掲載。新型コロナウイルスの影響によって臨時休校措置を取った日韓の現状を紹介した。(中略)
これを受け、環球時報の記事は、「この突然の政策は、多くの親を悩ませている。最大の悩みは『子どもの面倒を見る人がいない』ことだ」と説明。日本のメディアを引用して、(休校によって)子どもたちの面倒を見る必要があっても、会社で休みを取りづらい親がいることを紹介した。
そして、「収入面の影響も親たちにとってもう一つの重大な問題だ」とし、「共働きの家庭では親のどちらかが“犠牲”になって(仕事を休んで)家で子どもを見なければならない。片親の家庭では、(親が休めば収入が無くなるため)さらに深刻だ」と伝えた。
さらに、「中国ではオンライン授業が始まった一方、日本の親たちは、子どもの勉強が遅れることを懸念している。そのため、学校は勉強用のプリントを配布し、子どもたちに自主学習を奨励している。
しかし、日本ではオンラインスクールなどのオンライン教育が、中国や韓国ほど普及していない。そのため、多くの子どもたちはいまだに教室での授業や塾などの伝統的な勉強法に依存しており、自主学習の効果は心もとない」とした。(後略)【2月28日 レコードチャイナ】
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中国では、スマホを使った、AI技術を駆使したオンライン教育が急速に普及しつつあるようです。
****中国のオンライン教育利用者総数が2億人を突破****
このほど発表された第43回「中国インターネット発展状況統計報告」によると、中国のオンライン教育利用者総数は2億人を突破した。
このうち、微信(WeChat)などのアプリは、中国の学生がオンライン教育を受ける際の最も重要なツールとなっており、スマートフォンを利用してオンライン教育サービスを受けるユーザーの数は、前年比63.3%増加し、ユーザー全体の約96.5%を占めるまでとなった。人民日報が報じた。
報告によると、2018年12月時点で、中国のオンライン教育利用者数は2億100万人に達し、2017年末比4605万人増、オンライン教育利用者数の年成長率は約30%に達した。
オンライン教育業の急成長は、技術革新の駆動と密接にかかわっている。ブロードバンド速度がスピードアップし、AI(人工知能)やネットライブ配信番組などモバイルネットワーク技術が発展するのに伴い、オンライン教育業に巨大な変化がもたらされた。
「AI+教育」は、次第にオンライン教育業における技術面でのベースとなり、スマート宿題添削、顔認証技術、カスタマイズ化されたおススメ機能などのAI技術はすでに、オンライン教育におけるさまざまなシーンで応用され、ユーザーに多大な便宜をもたらしている。
また、音声認識やクラウドコンピューティングなどの関連技術でブレイクスルーが得られたことで、よりリアルで動きのある授業スタイルやより多様化された教学内容を学生に提供できるようになってきている。
今後、技術の発展によって、オンライン教育トレーニングの発展がさらに推進されるとみられており、「2018年中国オンライン教育業白書」の予測によると、中国のオンライン教育利用者は2020年までに2億9600万人に、市場規模は4330億元(約7兆1560億円)にそれぞれ達するとみられている。(後略)【2019年03月12日 人民網日本語版】
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もっとも、上記記事にあるスマホを使ったオンライン教育の内容がどんなものか、正規の学校授業との関係がどうなっているのか・・・よくわかりません。
そもそも下記記事によれば、全国の5歳児と小中高生(K-12)全体の人数が2億人ほどで、「オンライン夏期講習」のようなオンライン教育を受けているのはその10%といった数字もあるようです。
まあ、それでも膨大な人数で、一大産業になりそうです。
****中国オンライン教育加速、夏休み前集客合戦 ****
K-12(5歳児から高校生)を対象とした中国のオンライン教育企業各社は、夏休みシーズンを前に苛烈な広告合戦を繰り広げている。(中略)
スーパーユニコーンへの道のり
K-12を対象としたオンライン教育業界は、評価額1000億ドル(約10兆8000億円)を達成する企業を生むポテンシャルがある。
中国教育部の統計によると、全国のK-12世代は2億人。前出の「10%」(オンライン夏期講習の受講者数の割合)という数字を当てはめれば、オンライン学習サービスの潜在顧客は最低でも2000万人になる。
グループレッスンの受講料が年間3000元(約4万7000円)で、1人当たり1.5科目を受講すると仮定すれば、受講生1人で年間4500元(約7万円)の受講料を支払うことになる。全国で2000万人の受講生を集めれば、その市場規模は1000億元(約1兆6000億円)に迫るのだ。
すでに上場した企業のPSR(株価売上高倍率)を鑑みれば、将来的にスーパーユニコーンが誕生するという仮説は成立する。(後略)【2019年7月18日 日経】
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オンライン教育・・・日本社会の問題のひとつである不登校児童対策としても使えそうにも・・・。
【政治指導者の感染・隔離】
冒頭記事【FNN PRIME】のイラン副大統領のように政治指導者の感染も。イランでは、新型コロナウイルスの対策を説明する記者会見で汗を拭っていた保健省のハリルチ次官の感染が話題にもなりました。
感染地域で最前線に立てば、感染者との接触機会も当然に増えます。イラン・韓国と並ぶポスト中国の感染源の一つ北イタリアでは・・・
****伊ロンバルディア州知事が隔離状態に、側近が新型ウイルスに感染****
新型コロナウイルスの感染が拡大しているイタリア北部ロンバルディア州のフォンタナ知事は26日遅く、スタッフの1人が新型ウイルスに感染したことを受けて、自主的に隔離措置をとっていることを明らかにした。
同知事は過去1週間、ロンバルディア州の感染対策を説明するため、何度も記者会見を開いていた。
同知事はフェイスブックに「現時点で私は感染しておらず、仕事を続けることが可能だ。だが、2週間は一種の自己隔離措置の下で生活してみる」と投稿。外科用マスクをした自身の姿を映した動画も公開した。
ロンバルディア州では過去1週間で300人以上が新型ウイルスに陽性反応を示した。死者は10人。イタリア全体では400人以上が感染し、12人が死亡している。【2月27日 ロイター】
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一方、中国を訪問したモンゴル大統領。コロナウイルス騒ぎのなかでの外国指導者の訪中を中国側は喜んでいましたが、帰国後に2週間隔離されるそうです。
****訪中後のモンゴル大統領を隔離 新型肺炎対策で14日間****
モンゴル政府は28日、中国訪問から27日に帰国したバトトルガ大統領が病院での14日間の隔離措置となったと明らかにした。モンゴルは新型コロナウイルスの流入を防ぐため、中国からの入国者を全て隔離することにしている。
訪中に同行したツォグトバータル外相らも隔離対象となった。電話やインターネットを使って仕事を続ける。
バトトルガ氏は27日に日帰りで北京を訪れ、会談した習近平国家主席に「モンゴル国民の気持ち」として羊3万頭を贈ると表明。習氏は「新型肺炎の発生後、初めて中国を訪れた外国の国家元首だ」とたたえた。【2月28日 共同】
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【ペットも感染・・・遺棄・殺処分増加】
冒頭記事【FNN PRIME】の最後にあるペット問題は、ちょっと気が滅入る話です。
****「犬や猫も感染」中国の飼い主ら、殺処分や捨てる例も****
中国で、犬や猫なども新型コロナウイルスに感染するとの見方が広がり、過剰反応した飼い主らのペット忌避につながる懸念が出ている。
香港政府は28日、新型コロナウイルスに感染した住民の飼い犬1匹を検査したところ、口と鼻の検体から弱い陽性反応が出たと発表した。症状は出ていない。
動物保護当局は「現時点でペットが感染して発病したり、ウイルスを伝染させたりすると証明されたわけではない」との見解を示した。その上で、すべての感染者のペットを動物用の保護施設で14日間隔離すべきだと強調した。
ペットを通じた感染の可能性は、中国本土の専門家も1月末に指摘していた。中国紙・南方都市報(電子版)によると、感染拡大以降、中国本土の各地で犬や猫が飼い主に捨てられたり、殺処分されたりする例が出ているという。【2月28日 読売】
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