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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

インドネシア  外国人犯罪者死刑や外国密漁船破壊で厳しい姿勢を見せるジョコ大統領

2015-02-21 23:09:52 | 東南アジア

(党内基盤が弱いジョコ大統領(写真中央)にとって、国民支持が頼りです。“flickr”より By Dani Daniar https://www.flickr.com/photos/46086235@N06/16372831178/in/photolist-qWP3hJ-reiaky-qhAgpK-refGkz-qWQu31-rephJT-refFVr-qWQviY-r78neW-r78nfC-r5rnPi-qcz4LY-qN9kAX-r9zSsV-qSa1Uc-r9uD5u-qcz4XE-r9qZNR-r9qZUx-qS26Ko-r9uDj7-qSa1WM-qcMpZZ-r9uD7y-qS88rX-qcMqTc-qcMqpr-qSa1iT-qRZGTG-qS88q4-r7hCVG-r9zSJr-r9zSCe-qcz5DE-qS88Nt-r9qZJH-qcz5zw-qcMq8V-r9qZQ4-r7hDtW-r9qZSZ-qRZGeq-r9zTaX-r9uDeN-qSa1sa-qRZGRs-qcz4Nw-qS26dG-qcz4QW-qcz4W7)

【「何があっても執行をやめない」】
インドネシアで麻薬密輸の罪で死刑判決を受けた外国人の扱いに関するニュースが同日で2本入っています。

ひとつはオーストラリア人、もうひとつはブラジル人ですが、いずれのケースでもインドネシア・ジョコ政権は執行中止を求める相手国の要求、死刑執行への抗議をはねつける形で、強い姿勢を見せています。

****麻薬密輸犯の死刑恩赦訴え=インドネシアは「必ず執行」―豪****
2005年にインドネシアのバリ島からオーストラリアへヘロイン8キロを密輸しようとした罪で死刑判決を受けた豪州人2人をめぐり、両国間のあつれきが高まっている。

死刑制度がない豪州では、政府首脳や市民らが恩赦を必死に嘆願しているが、インドネシア側は「何があっても執行をやめない」(プラスティヨ検事総長)と反発している。

アボット豪首相は18日、「(04年の)大津波災害時には救済のため多大な貢献をした。今回はそれに報いてほしい」と要望した。しかし、インドネシアはこれを経済支援を材料にした「脅し」(ルトノ外相)と受け止め、一段と態度を硬化させる結果となった。【2月21日 時事】 
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****インドネシア大使の信任拒否=死刑回避へ圧力―ブラジル大統領****
ブラジルのルセフ大統領は20日、新任のインドネシア大使の信任を拒否した。ブラジルはインドネシアに対し、麻薬密輸罪で死刑を宣告されたブラジル人(42)の刑の回避を求めており、外交圧力を切り札にした。

ただ、大統領の強気の外交姿勢は司法制度への介入と受け取られかねず、インドネシア側の反発を招きそうだ。【2月21日 時事】
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後者のブラジル人のケースについては、“刑の回避を求めており”となっていますが、下記【NHK】記事では“18日死刑を執行した”となっています。もうひとりいるのでしょうか・・・よくわかりません。

18日にはブラジル人のほか、オランダ、ベトナム、ナイジェリア、それにマラウイ国籍の者も同時に死刑執行されており、ブラジル同様にオランダもインドネシアに抗議しています。

****麻薬で死刑 オランダなどが反発****
インドネシアの司法当局が大量の麻薬を密輸した罪などでブラジル人やオランダ人に18日死刑を執行したのに対し、中止を求めていたブラジルとオランダの両政府は大使を召還して反発しています。

インドネシアの司法当局などによりますと、大量の麻薬をインドネシアに密輸したり麻薬を製造したりした罪で2000年から2011年に死刑が確定した外国人5人とインドネシア人1人の合わせて6人に18日未明、死刑を執行したということです。

外国人5人の国籍はブラジル、オランダ、ベトナム、それにアフリカのナイジェリアとマラウイで、このうちブラジルとオランダの政府はインドネシア政府に死刑の中止を求めていましたが、インドネシア側は拒否していました。

インドネシアでは麻薬の密輸や製造の最高刑は死刑で、前のユドヨノ政権下でも執行されています。

去年10月に就任したジョコ大統領には、年々検挙する量が増えている違法薬物がまん延するのを防ぐためにも、引き続き厳罰で臨む姿勢を示すねらいがあるものとみられます。

一方、ブラジルとオランダの政府は、「2国間の関係に深刻な影響を与える」とか、「死刑は残酷で非人道的な刑罰であり、受け入れられない」とする声明を発表し、インドネシアに駐在する大使を本国に召還して反発しています。【1月18日 NHK】
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オランダ、オーストラリアは死刑制度を廃止しており、ブラジルも戦時の逃走・反逆以外での死刑は廃止されています。

死刑に関する立場はいろいろありますが、個人的には、犯罪を犯した国の法律に従うしかないのでは・・・と思います。
その法律が自国価値観に照らして著しく受け入れがたいものである場合(たとえば、姦通行為で石打の刑にされるなど)は別ですが、麻薬密輸や殺人などの通常犯罪行為であれば、その国の法律によるべきでしょう。

日中間の死刑問題
外国人犯罪に関する死刑については、死刑制度を維持している日本と世界で最も死刑執行が多いとされる中国の間でも話題となることがあります。

****名古屋地裁で中国人に死刑判決・・・中国で「日本の市議にはなぜ、判決言い渡さない」、「死刑は当然」の声****
愛知県蟹江町で2009年に親子3人が殺傷された事件で名古屋地裁は20日、中国籍の元三重大留学生、林振華被告に対して強盗殺人、強盗殺人未遂などの罪で死刑を言い渡した。

判決言い渡しは中国でも報道された。中国のインターネットでは「薬物を運んだ日本の市議には、なぜ今も判決が言い渡さない」、「(林被告への)死刑言い渡しは当然」などのコメントが寄せられた。(中略)

同記事の配信は20日午後4時(日本時間同日午後5時)。日本時間21日午前9半現在、寄せられたコメントで、「いいね」が最も多いのは「中国で違法薬物を運んだ日本の市議には、どうして今に至るまで判決が出ないのだ?」だ。

「中国で違法薬物を運んだ日本の市議」とは、広東省の広州白雲国際空港で2013年、覚醒剤(かくせいざい)3.3キログラムを所持していたとして当局に身柄を拘束された、愛知県稲沢市議、桜木琢磨被告を指すと思われる(解説参照)。

林被告への死刑言い渡しを伝える記事に対して、「いいね」が次に多かったコメントは「死刑言い渡しは当然」のコメントだ。中国では、日本を初めとする外国で自国民が起こした凶悪犯罪について、厳しい非難の声が上がることが珍しくない。

林被告については「死刑判決は絶対に当然だ。日本に行って右翼を殺したり靖国神社に放火したなら、過激思想の私はあなたを男として尊敬する。しかし、庶民を殺して財物を略奪するのでは、かつて中国を侵略した日本軍の畜生と、何の違いもないではないか。死んでも国家の面子(メンツ)をつぶす奴だ」などのコメントもある。

◆解説◆
桜木被告は、覚醒剤が入っていたスーツケースは「ナイジェリア人の妻から渡された」、「中身は知らなかった」などとして犯意を否定し、裁判で争っている。

中国では裁判の進行が速く、3カ月程度以内に判決が言い渡されることが多いが、桜木被告に対する裁判は長引き、さらに広州市の中級人民法院(裁判所)は1月26日、同月下旬に(行う予定であった)判決言い渡しを延期すると弁護側に通達した。【2月21日 Searchina】
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日本で犯罪に及んだ林振華被告は日本の司法制度で裁かれるべきですし、中国で逮捕された桜木琢磨被告についても同様でしょう。

桜木琢磨被告については、「中身は知らなかった」かどうかが争点となりますが、国籍の問題を別にしても、いずれの判断が下ってもおかしくない微妙な問題です。中国での公正な裁判に委ねるしかないでしょう。

判決言い渡しが延期されたことについては、“桜木市議は昨年8月の公判で「懲役15年以上か無期懲役、または死刑、および財産没収」を求刑された。「中に覚醒剤が入っているとは知らなかった」として一貫して無罪を主張しており、地裁も慎重に審理しているとみられる。”【1月26日 毎日】とのことです。

反日感情によって不当な裁判が行われている・・・というような類ではないようですから、あとは中国司法に委ねるべきでしょう。(日中政府間で何かやり取りがされているのかどうかは知りません)

密漁船撃沈を含む強硬策 中国漁船は?】
外国人死刑問題で強い姿勢を崩さないインドネシア・ジョコ政権の話に戻ると、ジョコ大統領はこの問題だけでなく、外交面では強気の姿勢をとっているようにも見えます。

****海洋強国」目指すジョコ政権=密漁船を撃沈、強硬姿勢―中国を警戒・インドネシア****
昨年10月に発足したインドネシアのジョコ・ウィドド政権が、「海洋強国」実現に向けた取り組みを加速している。

外国の密漁船への取り締まり強化を打ち出したのに加え、海軍の増強も計画。背景には、南シナ海進出を着々と強める中国への強い警戒感がある。

ジョコ大統領はインドネシアを海洋国家として発展させることを優先目標に掲げている。外国船の密漁では「年間300兆ルピア(約2兆8800億円)が失われている」と危機感を示し、11月には密漁船撃沈を含む強硬策をとる姿勢を示した。

大統領の意向を受け、インドネシア海軍は12月5日にアナンバス諸島周辺海域で違法操業していたベトナムの小型船3隻を爆破、沈没させたのを皮切りに、下旬にはパプアニューギニア船2隻、タイ船2隻を撃沈。いずれも乗員を下船させた後で、「警告」が狙いだったが、大統領は摘発をさらに強化するよう国軍に求めている。

また、海軍の増強も進める方針だ。ジョコ政権は任期中の5年間に軍の近代化を急ぐ計画だが、リャミザルド国防相は「海洋戦略強化のため特に海軍を強化する」と強調。韓国の技術協力を得て自前の潜水艦建造を目指すほか、無人偵察機の導入も検討している。

海軍増強の背景には、近年南シナ海への進出を急速に図る中国の存在がある。天然資源が豊富なインドネシアのナツナ諸島は中国が領有権を主張する「九段線」近くにあり、ユドヨノ前政権時代から国軍が警戒を強化。ムルドコ国軍司令官は4月、中国が同諸島の一部を九段線の中に含めていると批判し、軍事展開を強化する意向を示した。

こうした警戒感はジョコ政権になっても変わっていない。大統領と関係が近く、今年1月に大統領首席スタッフに就任したルフット・パンジャイタン氏は昨年12月、同諸島周辺で米石油大手シェブロンが共同ガス探査を進めていることを挙げ、「米国の存在は中国がここで活動できないことを示すシグナルになる」と中国をけん制した。【1月4日 時事】 
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上記記事では中国への警戒感が指摘されていますが、一方で、中国との関係は“蜜月ムード”とも言われるような関係強化が進んでいるとも報じられています。

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中国はインドネシアにとって最大の貿易相手国であり、インドネシアを訪れる外国人観光客は中国人が最も多い。

中国からの投資は拡大しており、昨年秋に習近平(シー・チンピン)国家主席が就任後初めて同国を訪問した際は、両国の関係を包括的戦略パートナーシップに格上げすることで合意した。

両国の蜜月ムードは高まる一方だ。インドネシアは中国主導のアジアインフラ投資銀行への参加を正式表明し、ジャカルタに本部を置くことを提案。中国からの観光客倍増も目指している。

ジョコ政権は重要な海洋開発構想でも中国と密接に協力していく構えだ。【1月6日 Newsweek】
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【1月4日 時事】にもあるベトナム船の爆破後に別の海域で拿捕した中国漁船22隻について、中国側の反発を覚悟で沈没させるのかどうかが注目されていました。

****中国密漁船を破壊せよ インドネシアの選択****
インドネシアの領海内で違法操業している中国の船を発見した場合、沈没させることも考えている──。今月上旬、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領の外交政策アドバイザーが訪米中に明らかにした。

「最近ベトナムの漁船を沈めた。次は中国の漁船かもしれない」と、ジャカルタの戦略国際研究センターのリザル・スクマ所長は、ワシントンのインドネシア大使館で聴衆を前に語った。

インドネシアでは今月初め、同国の領海内で違法に操業していたベトナム漁船3隻を軍が拿捕。乗組員を拘束した後、無人の船を爆破して沈没させた。違法操業のせいでインドネシアは毎年240億ドル以上の損失を被っており、その抑止に乗り出したわけだ。

ベトナム船の爆破後に別の海域で拿捕した中国漁船22隻についても、中国側の反発を覚悟で沈没させるのかどうかが注目を集めている。
 
中国船の拿捕を受けて、スシ・プジアストゥティ海洋水産相は、外務省からインドネシアの中国大使館に抗議し対応を協議するようルトノ・マルスディ外相に要請したと語った。しかしその一方で、大統領が許可すれば拿捕した船を破壊することも検討しているという。

中国外務省の報道官は、インドネシア当局と協力して詳しい状況を確認中で、インドネシア側に「中国人乗組員の安全および法的権利の確保と適切な対応」を求めていると語った。(中略)

「手加減するな」との声も
ただ違法操業に対しては、各国からの要請にもかかわらず、インドネシア当局は今のところ厳罰で臨む方針を変えていない。

違法操業する外国船に対して監視・捜査当局が沈没を含む厳罰で臨むことは09年の漁業法で定めている、と一貫して主張している。

ジョコ自身は諸外国の抗議に対し、「純粋な刑事事件」であって「周辺国との関係には影響しない」と説明するよう外相に要請済みだと弁解した。

インドネシア国内でも、有効な抑止策にするためには、どの国の船であろうと沈没させるべきだという声が上がっている。インドネシア防衛大学のサリム・サイド教授は、政府は「違法操業する船に対して手加減すべきではない。インドネシアの領海に侵入する余地を二度と与えてはならない」と発言した。

相手は中国船だけではない。先月上旬に西カリマンタン州付近の海域で拿捕したタイの漁船5隻についても、リザルは沈没させる可能性を示唆した。スシも近日中に再び外国の漁船を沈没させると発言したが、詳細についてはコメントを避けた。

インドネシアが拿捕した外国船は先週の時点で150隻を超えているとみられている。ジョコによれば、領海内で違法操業する船は、ベトナム、フィリピン、マレーシア、中国の漁船を中心に毎日およそ5400隻。蜜月の終わりを覚悟してでも強硬策を模索するという、難しいかじ取りを強いられている。[2014.12.23号掲載]【1月6日 Newsweek】
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その後。この中国漁船を爆破したのか、そうしたのか・・・知りません。
特に情報が見当たらないところを見ると、少なくとも爆破はしていないのでしょうか?

ベトナム、タイ、パプアニューギニアの船は爆破して、中国の船は・・・というのは、どうでしょうか?
死刑執行にしても、密漁船爆破にしても、やるなら全部すべきところでしょう。現実問題として相手が中国となるとそうもいかない・・・ということでしょうか。

国民の人気が頼りのジョコ大統領
ジョコ大統領は、就任から1カ月もたたない昨年11月18日、公約通り燃料補助金の削減を実施し、浮いた財源をインフラ整備や教育、医療に振り向ける改革を断行しました。

そうした経済・財政改革は高い評価を受けていますが、警察庁長官人事でつまずいています。

かねて疑惑が指摘されていた者を汚職撲滅委員会の判断を待たずに起用を決定。その人物がジョコ大統領の後ろ盾である闘争民主党党首のメガワティ元大統領の警護官を務めた側近であるため、ネット上には「(ジョコ氏は)操り人形」と、指導力に疑問を示す声もあがり、支持者の反発を招きました。

“ジョコ氏は人事の一時凍結を決めたが、任命は取り消さない方針で、看板の「クリーン」に傷が付いた。”【1月20日 毎日】

この問題は、国家警察組織と汚職撲滅委員会の対立にも発展しました。
詳細はわかりませんが、結局、大統領は与党の圧力に抗して、国民に不人気な人事を撤回したようです。
“ブディ氏の警察長官指名を撤回=ジョコ大統領、混乱収拾狙う”【2月20日 時事速報インドネシア】

外国人死刑執行や外国密漁船爆破という強い姿勢の背景には、厳しい姿勢で国民の人気を維持することで、“与党・闘争民主党党首であるメガワティ元大統領との二重権力構造”という政権基盤の弱さを克服して、さらなる構造改革に踏みたいというジョコ大統領の狙いもあるのかも。
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