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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中央アフリカ  止まない暴力 懸念される避難民の生活

2014-03-16 21:18:39 | アフリカ

(切り取り箇所には黒こげになった遺体があります。 2月10日 暫定大統領や軍幹部、政府高官らが出席し開催された軍の式典の数分後、軍服姿の兵士たちが平服姿のある男性をセレカの元戦闘員だと非難した。兵士たちは、なたで男性を切りつけて頭部を大きな石で砕いたうえ、片足をくるぶしの下から、もう片足は全体を切断。その後男性の体を路上に置いてタイヤを積み上げると、火を放った。・・・約30分以上の間、子どもを含む群衆が死体が燃えるのを携帯電話で撮影しながらみていた。【3月10日 ヒューマン・ライツ・ウォッチ】より http://www.hrw.org/ja/news/2014/02/08-0

止まない暴力の連鎖
これまでも何回か取り上げてきたように、中央アフリカではイスラム教徒の武装勢力「セレカ」によるキリスト教徒への暴力、「セレカ」が権力を失った後は、キリスト教徒民兵組織「アンチ・バラカ」によるイスラム教徒への報復・・・という暴力の連鎖が止まらず、国際的な人道支援もままならない“前例を見ない人道危機”とも言われる惨状が起きています。

中央アフリカを最後に取り上げたのは、2月19日ブログ“中央アフリカ  進行する「ジェノサイド(大虐殺)」 遅れる国際社会の介入”(http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20140219)ですが、その後は殆ど関連ニュースを目にしません。

この間、世界の関心はもっぱらウクライナ・クリミア半島情勢に集中している感もありますが、フランス軍の介入やアフリカ連合(AU)主導の平和維持部隊の活動にも関わらず、中央アフリカ情勢は好転していないようです。

現在の暴力は、キリスト教徒民兵組織「アンチ・バラカ」によるイスラム教徒への報復が中心と思われますが、イスラム教徒側の「セレカ」の暴力も停止した訳ではないようです。

****中央アフリカ共和国:民兵組織セレカによる村落の攻撃****
・・・・重武装したセレカの部隊はムスリムのフラニ民族の牧畜民と共に、2014年2月26日、ボッサンゴア北東のボワイ村を攻撃して死傷者を出したと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

攻撃により8人が死亡し、銃撃で少なくとも10人が負傷した。負傷者の大半は小さな子どもだ。民間人が村から逃れると、部隊は村内の多くの建物に放火した。逃げ遅れたため、火のついた家に閉じ込められる人も出た。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、民間人に対するセレカの攻撃が今後も続くと警告し、フランス軍とアフリカ軍に対し、ボッサンゴア北東60kmに位置する一帯の警戒強化を求めた。(中略)

ヒューマン・ライツ・ウォッチが集めた複数の目撃証言と、人道援助団体消息筋からの内部情報によれば、重武装したセレカ兵の大集団が、フラニ民族牧畜民の支援を受けて、2月26日昼頃にボワイ村を包囲し、逃げ惑う住民に無差別発砲した。

フラニ民族はほとんどがムスリムで、西アフリカと中央アフリカの家畜売買を取りしきっている。
イノサン・ダイベナムナさん(44)はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、午後1時頃に攻撃が始まったときは自宅にいたと述べた。

「セレカとフラニ民族が攻撃を行い、家々に火をつけて回った。徒歩でやってきたが、武装はしっかりしていた。100人以上はいた。まず村を包囲したので、われわれは逃げようがなかった。セレカ兵は軍服を着て赤と緑のベレー帽をかぶっていた。しかしフラニ民族は伝統衣装を着ていた。カラシニコフ銃、ロケットランチャー、大口径銃、マシンガンで武装していた[中略]。銃撃が始まると、われわれは恐怖に駆られて茂みに逃げ込んだ。すると向こうは村に入ってきて、すべての家に火をつけた。われわれの知るかぎりで8人が死亡した。負傷者10人はボッサンゴアに運んだ。しかし行方不明の子どもがまだいる。茂みで死んでいるかもしれない。」

セレカとフラニ民族はマキシム・ベアムコマさん(35)の足を撃ち、自宅に閉じ込めておいて火を放った。氏はこの攻撃から生還した。(後略)【3月11日 ヒューマン・ライツ・ウォッチ】
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避難民に迫る新たな人道危機
更に、現在問題が深刻化しているのは、避難民の生活の安全の問題です。

****中央アフリカ共和国:過酷な避難生活に、迫りくる雨季****
中央アフリカ共和国内の紛争から逃れるために国境を越えた人びとが、過酷な避難生活に直面している。食糧を手に入れる手段がほとんどなく、援助が文字通りの"命綱"となっている。

また、難民キャンプの衛生状態は悪く、難民数に対してトイレなどの衛生設備が全く足りていない。

隣国のチャドやカメルーンには、すでに数万人が到着し、いまなおその数は増え続けている。一方、地域によっては、国境なき医師団(MSF)が唯一の援助団体となっているところもあり、援助不足が深刻だ。

1.3万人でトイレ20基、給水4ヵ所――チャド
避難者の多くは、中央アフリカ共和国内で襲撃を受けた経験を持つ。トラックに揺られ、ひどく疲れる旅を経て、同国難民の一部はチャド南部にあるシドに滞在。健康リスクが高く、不衛生な環境で生活している。

彼らは世界食糧計画(WFP)から食糧配給を1度受けたきり。それも1ヵ月以上も前の事だ。
シドで国境なき医師団(MSF)のプログラム責任者を務めるオーガスティン・ンゴイは「前回の食糧配給のあと、8000人以上の難民が到着しています。タンパク強化ビスケットをもらえた一部の人を除いて、誰も食べ物がありません」と話す。

シドにいる難民の大半は急ごしらえの仮住まいで暮らしている。一方、直近の到着者は着の身、着のままで木の下に野宿している。現在1万3200人いる難民に対し、トイレはわずか20基、給水地点は4ヵ所しかない。

マラリアの症例は、現地でのMSFの診療件数の30%を占めている。また、16日間で56人の子どもが、急性栄養失調の治療を受けた。

当局はこの危機に懸命に対応しようとしているが、その費用、人員、支援は全く不足している。MSF以外には、現地で活動している国際援助団体がないからだ。

ンゴイは「緊急食糧援助はもとより、蚊帳、仮設住居とトイレも必要としています。WFPを含めた国連機関は今すぐ行動する必要があります」と指摘する。【3月10日 国境なき医師団】
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****中央アフリカ:紛争から逃れた人びとに新たな人道危機****
国内の紛争や暴力行為から逃れるために隣国チャドに逃れてきた何千もの中央アフリカの人びとが、さらなる人道危機に瀕している。チャドの雨季が始まると、住居、食糧、医薬品などの供給がさらに滞り、避難民の状況は急激に悪化する。

アムネスティの派遣団は2月末から2週間、両国の国境沿いやチャドの首都ンジャメナの避難民滞在キャンプなどを訪れ、避難民に話を聞いた。何千もの人びとが、乾燥した大地で木々に身を寄せるようにして生きていた。

当局や人道機関から見捨てられ、栄養失調に苦しんでいた。多くは衝突の混乱で家族からはぐれてしまった子どもたちだった。
雨季には周辺地域との交通が遮断され、水を媒介とする感染症も新たな脅威となる。

チャド政府と国連機関など国際社会は、これら避難民に対して、安全、食糧、医療サービス、住居などが確保できるように、即急に支援すべきである。

難民キャンプの中には、中央アフリカの紛争地に近く危険な所もあった。
一人の女性は、「自分を襲ったセレカ(イスラム教徒武装勢力)の司令官が、自分が逃げてきた先のキャンプに移ってきた」と話した。別の避難民は、自分の避難所に少なくとも4人の元セレカ兵士がいることがわかり、身の危険を感じているという。
警備体制がまったく不在であるため、一触触発で衝突が起こりかねない。

アムネスティ派遣団は、数名のチャド当局や人道機関のスタッフとしか遭遇しなかったが、ほとんどは自分の身を守るのに精一杯であった。

チャド政府は、明らかに拡大する難民の対応に手を焼いている。国際社会が協力して当局を助け、新たな人道危機を防ぐことが至急必要である。

また、難民を認定し彼らが国際的な保護を受けられるようにするために、首尾一貫した体制が敷かれることも重要である。国連難民高等弁務官とチャド当局は、できるだけ早く協力してこの作業を開始しなければならない。【3月12日 アムネスティ国際ニュース】
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****中央アフリカ難民数十名が飢餓により死亡****
カメルーンで、中央アフリカから来た女性や子どもを含む難民数十人が、飢餓により死亡しました。

プレスTVによりますと、国連難民高等弁務官事務所のファトマタ・ルジューン=カバ報道官は14日金曜、「多くの難民が栄養不良により、病気に罹患し、また死の危険にさらされている」と表明しました。

カバ報道官はまた、「少なくとも33人の子どもを含むおよそ50人が、激しい飢餓状態に陥り、死亡している」と述べています。
さらに、「このことは今年初めの2ヶ月間に、数千人の中央アフリカ人がカメルーンに避難したあとで発生している」としています。

カバ報道官はまた、難民の状況は非常に危険だと表明し、「最近カメルーンの難民キャンプにたどり着いたおよそ80%の難民が、マラリア、下痢や呼吸不全に苦しんでいる」と語りました。

さらに、「多くの難民が、難民キャンプにたどり着く前に、中央アフリカの荒野の林の中で、水や食料もなく、数週間も隠れることを余儀なくされている」と述べています。

国境なき医師団はあらゆる人道支援団体に対して、カメルーンに避難した中央アフリカ難民に対して、できる限り速やかに支援するよう、協力を要請しました。

イスラム教徒が大部分を占めている4万4千人以上の難民は、およそ1年前から中央アフリカからカメルーンに避難しています。【3月15日 Iran Japanese Radio】
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治安維持のためにも、人道支援のためにも、国際支援が全く不足している状況で雨季を迎えようとしています。

上記の情報の多くは国際支援団体やイランメディアからのものです。
欧米メディアからの情報が殆どありません。

クリミアを巡るロシア・プーチン大統領とアメリカ・EUのチェスゲームのような政治情勢も重要ではありますが、現に進行している惨状に関しても、もう少し目を向けていいのではないかと思われます。
アフリカで何百、何千人が死のうが、ニュース価値はないということでしょうか。
危険すぎて現地に入れないということでしょうか。
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