
(今月10日 ジンバブエの首都ハラレで行われた人権活動家のデモ 2年以内に新政府に向けた選挙実施を求めています。 こうしたデモはPublic Order and Security Act によって非合法となっています。
11日の閣僚名簿公表後は、更に緊迫した事態になっているのでは.
写真左後方に見える紫の花、ジャカランダが綺麗に咲いています。
“flickr”より By Sokwanele - Zimbabwe
http://www.flickr.com/photos/sokwanele/2934460570/)
【「昨日は敵でも、今日は同じ愛国的な任務と目的地で結ばれている」】
3月の大統領選挙と6月の決選投票以来の政治混乱、ムガベ大統領(84)の横暴が続いているジンバブエでは、新たに首相ポストを設け、3月の大統領選挙でムガベ大統領を上回った最大野党「民主変革運動」(MDC)のツァンギライ議長(56)をこれにあて、与野党の大連立を・・・といういわゆる“ケニア方式”の協議が行われてきましたが、交渉は難航を極めていました。
その後、交渉中断をはさんで9月8日に南アフリカのムベキ大統領の仲介の下、交渉が再開され、9月11日についに合意。
詳細は9月15日に発表される運びになりました。
11日の協議後、ツァンギライ議長は「協議はうまくいった」と述べていました。
また、南アフリカの各紙は、与党を率いるムガベ大統領と最大野党MDCのツァンギライ議長が50対50の等しい権限を得るだろうと報じていました。
ムガベ大統領と野党MDCのツァンギライ議長は15日、与野党による連立政権樹立に関する合意書に署名しました。
合意文書によると、新連立内閣は“ムガベ氏が大統領に留任。軍の指揮権限を維持し内閣を管轄する。一方、ツァンギライ議長は、新設の首相職に就任。警察指揮権限を含む行政をまとめ、内閣を監督する「閣僚会議」の議長も務める。閣僚はMDC分派3人を含む16人が野党から選ばれ、与党「ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線」からは15人となる。”というものでした。
これにより権力が二分され、1980年の独立以来続いたムガベ独裁政権に終止符が打たれることになりました。
******ジンバブエ、ムガベ独裁に終止符 与野党が連立合意に署名******
ハラレで開かれた調印式典には、仲介役を務めたムベキ南アフリカ共和国大統領らアフリカ諸国の首脳が出席。調印後、ムガベ氏とツァンギライ議長は壇上で握手を交わし、会場から大きな拍手がわいた。新首相となったツァンギライ氏は演説で、「(合意は)平和で民主的なジンバブエを築くための最善の機会だ」と強調した。
調印後、ムガベ氏は「我々は同じ道を同じ方向に歩まなくてはならない」と語り、ツァンギライ氏も「昨日は敵でも、今日は同じ愛国的な任務と目的地で結ばれている」と、協調路線を強調した。【9月15日】
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1120万%とも、4000万%とも言われる、想像を絶する記録的なハイパーインフレーション・経済崩壊をよそに3月から続いた政治混乱についに終止符が打たれた・・・と私も非常に喜んだものです。
ただ、与党より野党への閣僚配分が多いというのは「よくこんな案をムガベ大統領がのんだものだ・・・何があったのだろうか?」と不思議な感じがすると同時に、野党に含まれるMDC分派と与党が繋がっているとか何か“裏”があるんじゃないか・・・という懸念も感じました。
【閣僚名簿発表で連立合意撤回の危機】
そして合意翌日の9月16日には、早くも与党とMDCの支持者の衝突が伝えられました。
国内のしこりはなお残っており、合意実施を危ぶむ声も出ているとも。
また、これまでムガベ大統領は欧米の制裁を批判してきましたが、連立合意後もその強硬姿勢を崩していないことも報じられました。
今月10月に入ると、連立内閣の不協和音は決定的になりました。
ムガベ大統領は11日、閣僚名簿を発表。
これによると、警察権を持つ内相、国防相、財務相、さらに外相、司法相、情報広報相など、いわゆる有力ポストを与党が独占し、野党MDCには保健相や公共サービス相など力の弱い閣僚ポストしか与えられないことが明らかになりました。
国民サービスのうえでポストによる軽重はない・・・とは言っても、ムガベ大統領が軍や警察など国の安全保障機関への実質的支配権を維持し、内政・外交の主要部分をも支配することを意味し、これではいかにもバランスを欠いたものです。
MDCは当然これに激しく反発。ツァンギライ議長は「ムガベ大統領が発表した閣僚名簿に固執するならば、連立合意そのものを交渉し直す用意がある」と述べ、連立合意撤回を警告しました。【10月13日 AFP】
10日には、首都ハラレ市内でデモ行進中MDC幹部が警察当局に拘束される事態もおきています。
“連立政権樹立合意を仲介した南アフリカのムベキ前大統領が、与党内の権力闘争に敗れる形で先月、大統領を辞任。有力な調停者がいなくなったことで、混乱に拍車がかかっている。”【10月11日 毎日】とも報じられています。
ムガベ大統領の独裁に対して制裁を続けてきた欧米は、連立政権樹立合意を歓迎していましたが、EUは10月6日、与野党の権力分担の最終合意までは制裁を継続する方針を決めています。
【結果が出せない民主主義、それでも・・・】
どうにも、ムガベ大統領の専横は止まらないようです。
ムガベ大統領に再考の余地があるのか、不合理な配分でもこれをのんで、少しでも漸進することを期するべきか、それとも対決を鮮明にすべきか(対決といっても全ての権力を握るムガベ大統領のもとでは、投獄されるか国外に蹴散らされるかのどっちかですが・・・。)
社会ルールが確立していない場での民主主義というのは、なかなか結果がだせない・・・そんなもどかしさを感じます。