孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

タイ  「ぶっとうがしめる」 新型コロナで規制強化相次ぐ 私の帰国フライトは大丈夫か?

2020-03-18 19:23:05 | 疾病・保健衛生

(昨日17日 バンコク市内の有名寺院ワットパクナムの入り口に貼られたメッセージ 「ぶっとうがしめる」・・・何のことかと考えてしまいましたが、消毒作業のため寺院を閉鎖するという案内のようです。)

【バンコク首都圏の映画館やパブ、マッサージ店に休業要請 有名寺院も消毒のためクローズ】
12日から、タイ・バンコクを旅行中で、今日18日深夜のフライトで帰国予定です。

昨日ブログで触れた、17日の夕食どきにTVで流れていたプラユット首相の演説は、日常生活に必要な物資が不足することなないので国民は落ち着いて行動するように、旧正月「ソンクラーン」の祝日は延期する・・・・といった内容のものだったようです。

物資については、マスクは店先で売られていますが、非常に高値に吊り上がっているようにも。
外国人旅行者が多く宿泊するエリアの私の泊まっているホテルでも1階の店で売ってはいますが、500円ほど(1枚でしょうか?何枚入りかはわかりませんが、入っていても2~3数枚でしょう)というとんでもない値段です。
日本の価格感覚に置きなおすと、1000円を超える価格です。

国内で不足しているのに、輸出しようとしていた業者が摘発されて国民の怒りを買ったという事件もあったとか。

昨日17日も、次々に新しい施策が発表されていました。

****タイ、学校やバンコク首都圏の娯楽施設を14日間閉鎖 新型コロナ封じ込めで ****
タイ政府は17日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の学校とバンコク首都圏の娯楽施設を14日間閉鎖すると決めた。18日から実施する。地元メディアからは事実上の封鎖措置と報じられている。

小中学校や高校、大学などすべての教育機関を14日間の休校とする。民間の学習塾にも同様の措置を求める。バンコク首都圏の映画館やパブ、マッサージ店にも閉鎖を求める。

競馬場やスポーツ施設など感染リスクが高いとみられる場所については「状況が改善するまで一時的に閉鎖する」(プラユット首相)として、具体的な再開時期のメドを示さなかった。

コンサートや展示会、宗教集会といった大型イベントについても自粛を要請した。開催には行政当局からの承認が必要としている。

4月13~15日に予定されていたタイの旧正月「ソンクラーン」の祝日を延期することも正式に閣議決定した。代わりとなる祝日の時期は未定。帰省によって感染が拡大するのを食い止める狙いだ。【3月17日 日経】
*******************

パブ、マッサージ店にも閉鎖を求めるとなると、外国人観光客向けのその類の店が集中するホテル界隈は、様変わりとなる可能性も。

今日も旅行最終日で、時間があったので「マッサージでも・・・」と思って探したのですが、ほとんどの店が閉まっています。通りに寝椅子みたいなものを並べて営業しているマッサージ屋さんもやっていません。

日中という時間帯のせいだったのか、自粛要請によるものなのかは判然としませんが。

昨日観光しようと訪れた有名な寺院も、消毒のためクローズ。
ガイドブックに掲載されているようなバンコクを代表する有名どころ寺院も同様のようです。

上記の他、タイに入国する外国人は病院の診断書を必要とするといった情報(併せて2週間の隔離も)とか、バンコクと他地域の移動を制限するといった情報も、昨日、タイ国内で流れていたそうですが、そうなると事実上観光目的の入国は困難になります。

ただ、このあたりは大手メディアでは報じられていませんので、真偽のほどはわかりませんが、遅かれ早かれ、そういった規制がかかってくると思われます。

その意味では、タイ観光を今日で終了するというのは、ちょうどよかったタイミングだったかも。

ただし、それは今日帰国できれば・・・という話ですが。

【今夜の帰国便は本当に飛ぶのか?】
実は、昨日朝、数日前に案内してもらったガイドさんから、私が帰国に使用する格安航空ノックスクートの17日のフライトがキャンセルされている・・・との情報が。

17日フライトキャンセルなら、私が使う今日18日もキャンセルの危険性が高まります。

ノックスクートのコールセンターは電話が集中しているのかつながりません。
そこで、空港にあるノックスクートのオフィスに出向いて確認することに。(時間も、タクシー代もかかりますが、今は確かな情報を得ることが一番重要です)

こういうとき、全くの一人旅だと情報も入ってきませんし、対応もできませんが、今回は現地の日本語ガイドを頼んでいますので、その点では「困ったね・・・」と言いつつも、余裕もまだあります。

フライトの方は、結局、17日の欠航は以前から予定してもので、18日については予定どおり飛ぶとのことで一安心。(ただし、空港でチェックインするまでは本当の安心はできませんが。)

【帰国難民】
すでに、エアアジアやライオンエアはフライトを中止していますので、ノックスクートやタイ航空が止まるのは時間の問題でしょう。

航空会社の採算性の問題だけでなく、国境封鎖的な検疫態勢強化の問題もあります。

そうなると、帰国難民という問題が現実のものとなります。

「危険地域」の韓国などは、すでに多くの国でフライトが止まっています。

****国境封鎖で韓国人足止め相次ぐ ペルー・比・伊などで帰国希望****
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、各国が国境を封鎖し、海外で韓国人が足止めされるケースが続出している。

韓国外交部によると、ペルー政府が17日(現地時間)に国境を閉鎖し、韓国人観光客約150人が足止めされた。同部高官は記者団に対し、「約140人が早期の帰国を望んでいる」として、「状況を見極めながら、臨時の航空便の派遣などを検討する」との方針を示した。

フィリピンも17日から5万〜6万人の韓国人が滞在している北部のルソン島を封鎖し、混乱が広がっている。約1200人が帰国を希望しているという。同高官は「既存の航空便を大型機に変更するか増便するなどして、(国民を)帰国させる方法を講じている」と述べた。

新型コロナウイルスの感染者が急増しているイタリアでは現地の韓国人社会が直接、航空便を用意する計画だ。ミラノの韓国総領事館の管轄地域だけでも約350人が帰国を希望しているという。

同高官は「多くの国が出入国を統制する中、在外国民が思わぬ苦境に陥る可能性が高い」として、最終手段として臨時航空便の派遣も検討する考えを示した。【3月18日 聯合ニュース】
*********************

他人事とは思えない記事です。
今夜のフライト・チェックインをクリアできれば「他人事」にもなるのでしょうが。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナ(タイ・バンコク)  情報弱者の戸惑い 帰国難民になることは?

2020-03-17 01:40:03 | 疾病・保健衛生

(3月16日 タイ・アユタヤ いつもは大勢の観光客であふれる観光スポットも、この日は人影もまばら)

【プラユット首相の演説は何だったのか?】
12日からタイ・バンコクを観光中です。

先ほど(現地時間で午後7時)街で夕食を食べているときのこと。
テレビは音量を下げて、画像だけ流していたのですが、タイ人男性がひとり入ってきて、音量を上げるように要求。

画面ではプラユット首相が何やら演説していました。
そうこうするうちに、近くで客引きをしていた男性などもテレビの前に集まって、総勢6人ほどが熱心に首相の演説を聴いていました。

仕事や談笑を中断して観にくるほどですから、何やら重大な発表をしているのかも・・・

非常事態宣言とか、外出禁止とか、市民生活に(ということは、観光にも)直結するようなことでしょうか?

18日の帰国フライトが予定どおり飛ぶのか心配な私としては非常に気になるのですが、いかんせん言葉がわかりません。

首相は演説の最後にガッツポーズみたいな仕草を。「国民のみなさん、この難局を力をあわせて乗り越えましょう!」なんて言っているのでしょうか?

情報弱者というのはこういうものか・・・と感じた次第です。

首相の演説が何だったのかはいまだにわkりません。
ネットで検索しても、それらしきものは何も出てこないので、私の想像したようなものではなかったのでしょうか?

【「旧正月」も延期】
タイ関連のここ24時間のニュースとしては、以下のようなものが。

****タイ「旧正月」の祝日延期 新型コロナ*****
タイ政府は16日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、来月予定されていた旧正月「ソンクラーン」の祝日を延期すると発表した。

タイでは4月の13日から15日まで、旧正月「ソンクラーン」の祝日が設定されていたが、タイ政府は16日、延期すると発表した。再設定の時期については未定だという。

例年、旧正月の祝日は、前後に休みをつけて旅行に出る人が多く、政府は移動による感染拡大を防ぐための措置だとしている。

また、ソンクラーンに合わせてタイ各地で行われる恒例行事の「水かけ祭り」も、今年は中止されるという。

タイでは16日までに新型コロナウイルスの感染が147人確認されている。【日テレNEWS24】
*****************

【“国内にいる観光客の予定は守る”とは?】
****新型コロナウイルスなどの影響で直近入国者数は7割減に*****
タイ観光局(TAT)が発表する空港別の入国者数が3月に入り一段と減少した。

タイ最大の空港であるスワンナプーム国際空港の2月の入国者数は前年同月比44%減の97万8,600人、2位であるドンムアン国際空港は53%減の24万6,300人だったが、3月1~10日の期間は、スワンナプーム国際空港、ドンムアン国際空港でそれぞれ22万300人(前年同期比62%減)、5万3,800人(69%減)と下げ幅が拡大した。

3月8日にはタイ民間航空公社が新型コロナウイルス感染危険国に指定された国・地域からの渡航者に対し、医療機関の発行した健康証明書を出国時にチェックインカウンターにて提示することを義務付けた(2020年3月13日記事参照)。

8日以降の入国者数はさらに減少し、スワンナプーム国際空港が6万9,200人(前年同期比70.6%減)、ドンムアン国際空港は1万7,500人(75.4%減)となり、7割を超える減少率となった(注)。
(注)8~11日までの入国者数 【3月16日 JETRO】
*****************

12日の関空からのフライトが空席だらけ(搭乗率は2割ぐらい?)でしたので、上記ニュースは実感できるところです。

(おかげで、普段は人混みの観光地も、ゆうくり・のんびり観光できますが)

香港などは〝2月の香港旅客数96%減 昨年ピークの1日分”【3月16日 産経】といった状況ですから、タイの減少幅はまだましな方でしょう。

香港では2月8日以降、中国本土からの入境者全員に2週間の隔離を義務付けるなど、入境制限を強化しています。

そうした状況で、気になったのはタイではなく、タイ同様に観光が基幹産業であるエジプトのニュース。

****エジプトが航空便停止へ 観光客の出国は容認****
エジプトのマドブリ首相は16日、新型コロナウイルスの感染拡大の防止策として、同国の全航空便を19日から3月末まで一時停止すると発表した。

現在、国内にいる観光客の予定は守るとしており、出国は認める意向も示した。国営テレビが伝えた。
 
運航停止の詳細については明らかにしていない。エジプト保健省によると、同国ではこれまで少なくとも126人の感染が確認されている。一方、ナイル川クルーズなどエジプト旅行から帰った日本人や欧米人旅行者らの感染も確認されている。【3月16日 共同】
*******************

“現在、国内にいる観光客の予定は守るとしており、出国は認める意向も示した”・・・・どういうことでしょうか?

各国向けの臨時便を数便確保してくれるということでしょうか?
帰国者はそれに乗って帰るようにとのことでしょうか?

そういう話なら、帰国難民としてはまだ助かりますが・・・・。

今日のところは、帰国フライトのノックスクートは予定通り運航しているようです。
今日何も発表がなければ18日のフライトは大丈夫だろう・・・とも考えています。いくらなんでも、「今日・明日から欠航します」とは言わないだろうと。・・・・甘いかな?

ホテルの外からは、外国人向けのレストラン・パブからの音楽がいつものように聞こえています。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナ  一定限度にリスクコントロールできる態勢のもでのウイルスとの「共存」

2020-03-16 00:21:01 | 疾病・保健衛生

(欧米系観光客でにぎわうバンコク・カオサン 3月15日)

【タイ・カオサンの現況 目立つタイ人のマスク着用】
12日からタイ・バンコクを旅行中。
新型コロナウイルス感染の関係で、タイでも観光客が大幅に減少して、観光立国のタイ経済に深刻な影響を与えている・・・というニュースはよく目にします。

ただ、バンコクでも外国人観光客向けの安宿・レストランなどが集中するエリアであるカオサンを歩いていると大勢の欧米系観光客で賑わっており、「新型コロナどこ吹く風」といった感も。

しかし、よく見ると、(タイ保健相が「タイ人の90%はマスクをしているのに西洋人はしない。だから彼らの国で多数の感染者が出た」罵ったように)欧米系観光客のほぼ100%がマスクをしていないのに対し、店の呼び込みなどしているタイ人は半数ほどがマスクを着用しているようにも。90%ではありませんが。

このカオサンでのタイ人のマスク着用率は他のエリアよりかなり高いようにも感じられました。

(同上)

感染拡大している欧米からの観光客がこれだけ密集していると、さすがに「ヤバイかも」という感じがあるのでしょうか。

私も最初はノーマスクで歩き回り、食事などしていましたが、タイ人にマスクをしている者が結構多いのを見て、「ヤバイかも」という感じが強くなり、途中からマスクを着用。すでに手遅れですが。

あと、“大勢の欧米系観光客で賑わっており、「新型コロナどこ吹く風」といった感も”とは書きましたが、一番目に付くのは呼び込みのタイ人店員。

新型コロナ以前なら、呼び込み店員の存在などかすむほどに大勢の観光客で溢れているのかも。

【防ぎようもない感染拡大 いかにウイルスと共存していくか】
新型コロナウイルス感染予防にマスクがどれほどの効果があるかについては多くの意見があるところですが、マスクより予防効果があるのが手洗いとされています。

しかし、現実には・・・・

****「家で手洗い不可能」世界で30億人、ユニセフが警告****
国連児童基金(ユニセフ)は13日、世界人口の40%の30億人が、せっけんで手を洗える設備のない家で生活していると発表した。

ユニセフは新型コロナウイルスなどの感染症対策で「手洗いは最も安価かつ効果的な方法の一つだが、それすらできない人が何十億人もいる」と警告し、手洗い環境の早急な整備を改めて呼びかけた。
 
発表によると、世界の学校の47%でも、水とせっけんを使って手を洗える設備がなく、そうした環境下にいる児童・生徒は9億人に上る。また、世界の医療施設の16%では、機能的なトイレや手洗い場所が備えられていないという。【3月14日 読売】
*******************

水とせっけんを使って手を洗える設備がない国が多い地域のひとつがアフリカでしょう。
そのアフリカでもすでに感染が拡大しています。

****新型コロナ、アフリカ大陸18カ国に拡大 対応力に懸念*****
 新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、13日にアフリカのケニア、エチオピア、スーダン、ギニアで初めての感染が確認され、アフリカ大陸での感染は18カ国に広まった。

アフリカ諸国での感染の大部分はこれまでのところ外国人か、外国への渡航歴がある人に限定されている。例えばエチオピアで確認されたケースは、今月4日に入国した日本人だった。

多くの国の感染者数はまだ1桁台にとどまっているが、アフリカ諸国が感染拡大に対応できるか、懸念が高まっている。【3月14日 ロイター】
*******************

手洗いが可能な国々でも感染拡大が防止できないでいるのですから、手洗いすらできないアフリカなどの国々ではいったん感染が始まれば、防ぎようもないでしょう。

そのことを考えただけで、もはや感染を防止するということは不可能に思えます。

あとは、いかにこの新型コロナウイルスと共存していくか・・・・ということを考える必要があるようにも。
通常のインフルエンザとそれなりに共存しているように。

自国にウイルスを入れないという対応では、永遠に国を閉ざすことになり、世界経済は大幅に縮小してしまいます。

世の中には多くのリスクが存在しますが、そうしたリスクがひとつ増えたというような感じでウイルスと共存できれば・・・・。
もちろん、リスクを一定範囲にとどめるようなリスクコントロールは必要です。

そのためには予防ワクチン、治療薬の早期開発も必要でしょう。
重症化リスクの高い者への治療方法も。

それでもインフルエンザ同様に一定の死亡者は避けられないでしょうが、リスクの低い者は感染したからといって大騒ぎしないといった対応も。

あと、インフルエンザのように季節性があれば助かるのですが・・・。一年中となると、対応が難しくなります。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

欧州  新型コロナ深刻化で外部からの入国規制、内部での移動制限の動き 中国の「余裕」と「自信」

2020-03-15 05:14:23 | 疾病・保健衛生

(イタリア・ローマで、自宅アパートのベランダで国歌を演奏する人たち(2020年3月13日撮影)【3月14日 AFP】)

【タイでも日本人感染】
12日からタイ・バンコクを旅行中です。
そのタイでも新型コロナウイルス感染は急増しています。そして日本人の感染も。

*****タイで邦人初感染=新型コロナ*****
タイ保健省は14日、国内で日本人男性(33)の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。タイで日本人の感染が判明したのは初めて。
 
タイ人の妻と娘、妻の母も感染が確認された。妻の母は日本に渡航し、4日に帰国していた。タイでこれまでに陽性反応が出たのは82人。ここ数日急増しており、過去4日間で29人が確認されている。【3月14日 時事】 
*****************

タイには多数の日本人が生活していますので、日本人の感染があっても何ら不思議ではありません。

ただ、“日本から持ち込んだ”というように考えられると(上記ケースの感染ルートは知りません)、昨日ブログでも書いたように、目下の個人的関心事である「18日夜の帰国便が予定どおり飛ぶのか?運航中止になるようなことはないか?」という心配にも影響します。

今日までのところは、帰国便のノックスクートに関しては何も発表されていないようです。

【「震源地」欧州からの入国規制が拡大】
そんな個人的関心から世界的関心事に眼を転じると、新型コロナに関する欧州の厳しい情勢が目ににつきます。

欧州、とりわけイタリアでの感染拡大が顕著です。

****欧州、新たな「震源地」に=伊は死者1千人超―新型コロナ、見えぬ終息****
イタリア保健省は12日、国内の新型コロナウイルス感染者が1万5000人を超え、1016人が死亡したと明らかにした。死者が1000人を超えたのは中国に続き世界で2カ国目。

他の主要国でもスペインで約4000人、仏独で約3000人と感染者が急増しており、イタリアを中心に欧州が中国などに代わる新たな「震源地」となりつつある。各国とも懸命の対策を取っているが、終息への見通しは立っていない。
 
コンテ伊首相は全土で移動制限を発動し、薬局と食料品店以外の全店舗に一時休業を命じた。地元メディアによると、専門家はこれら対策の効果を週末中にも見極める方針で、今後さらに厳しい措置が取られる可能性もあるという。
 
イタリアの周辺国では、事実上の国境封鎖に踏み切る国も出てきた。報道によれば、チェコは12日、非常事態を宣言し、一部外国人について感染者の多い国からの入国を禁止。スロバキアも在留許可を持たない外国人などの入国拒否を決めた。

マクロン仏大統領も、欧州連合(EU)と協議の上で「国境封鎖もあり得る」と警戒感を強めている。オーストリアはすでに封鎖を決め、来週から一段の措置として生活必需品以外の店舗の多くも休業させる方針。
 
フランスでは12日現在、感染者は約2900人、死者は61人。ただ、フランスの1日当たりのウイルス検査件数が数百件なのに対し、イタリアは2000〜8000件。地域圏保健局のルソー局長はルモンド紙に「実際の国内の感染者数はもっと多いだろう」と認めた。
 
ドイツのメルケル首相も11日、「免疫も治療法もなく、ドイツ人口の60〜70%が感染する可能性がある」と述べ、状況の厳しさを警告した。また、ベルリン(州に相当)やバイエルンなど多くの州が、来週からの学校閉鎖を決めた。【3月13日 時事】
********************

WHO事務局長も「欧州はパンデミックの震源地」と名指しする事態にもなっていますが、これまでの中国に対する「寛大な」対応と随分違うのでは・・・との声も上がっています。

****「欧州はパンデミックの震源地」とWHO事務局長 中国への対応との差に「違和感」も****
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は13日の記者会見で、新型コロナウイルスについて「欧州が今や、パンデミック(世界的な大流行)の震源地となった」と述べた。

2月下旬以降、1日当たりの新型コロナウイルスの新規感染者は中国よりも中国以外で多くなっている。その中でも、欧州の感染者数の増加が際立つことから感染拡大の中心地が中国から欧州に移行したとの考えを示した。(中略)

ただ、中国の感染者数が全体の大半だった1月下旬ごろ、テドロス氏は「WHOは中国が感染拡大を防ぐ能力があると確信する」とし、中国からの退避について「過剰反応は必要ない」と強調。中国に配慮して状況を楽観視する姿勢を貫いていただけに、欧州への危機感を強調する現在の発言に「対応が大きく違う」(感染症の英専門家)と違和感を指摘する声もある。【3月14日 産経】
****************

いずれにしても欧州で感染拡大は事実であり、アメリカ・トランプ政権も13日深夜から「(イギリスを除く)欧州からの入国停止」に踏み切ることに。

欧州側は、事前相談なしの「一方的措置」との批判が出ていますが、トランプ大統領は「事前相談すれば時間がかかる」と反論。

****欧州委員長、米国の渡航停止は「一方的」 トランプ氏に批判の声****
アメリカのドナルド・トランプ大統領が11日に発表した、欧州からの同国への渡航を30日間停止する措置をめぐり、怒りの声や混乱が生じている。欧州連合(EU)加盟国は、「相談なしに」決定したとしてトランプ氏を非難している。

アメリカによる新たな渡航制限は、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるのが狙い。13日深夜(米国東部標準時)から実施される。

対象地域は、欧州域内の自由移動を認める「シェンゲン協定」の加盟国26カ国で、米国民やイギリス、アイルランドは除外される。

今回の制限は、COVID-19への対策を行っていないと非難されてきたトランプ大統領による、大規模な対策強化だ。

しかしこの渡航制限をめぐり、ワシントンのみならず海外でも不満の声が上がった。
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長や欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」のパンデミック(世界的流行)は「世界的危機」であり、「一方的な行動ではなく協力が必要だ」と主張した。

EUに事前通達せず
トランプ氏は12日、渡航制限について、「時間かかる」ためEU側に通達しなかったと明かした。
「我々は迅速に行動しなければならなかった」

また、EUは米製品への関税を引き上げる際、アメリカに相談をしなかったと付け加えた。(後略)【3月13日 BBC】
*****************

これまで事態を楽観していたトランプ大統領としては、アメリカ国内での状況悪化に伴い、ここで厳しい対応を示さないと再選戦略に支障をきたすとの判断があったと指摘されています。

また、「一方的措置」に加え、同じように感染拡大しているイギリスは除外されるといったあたりに、かねてからのトランプ大統領と欧州の「不仲」もあるように見えます。

*****トランプ氏、楽観一転 感染急増、大統領選意識か 入国制限****
新型コロナウイルスの感染拡大に対し、楽観していたトランプ米大統領が一転、欧州の大半の国からの入国制限を決めた。国内感染者が増え続け、株式市場が下落するなか、秋の大統領選を意識して積極的な姿勢を示さざるを得なくなった。だが、米国内の感染防止対策も引き続き問われる。(後略)【3月13日 朝日】
*******************

そのアメリカも“トランプ大統領 国家非常事態を宣言 感染拡大を受けて”【3月14日 NHK】といった情勢です。

こうした欧州とアメリカの軋轢は、日本と韓国の間の規制にも似た感じもあります。

なお、欧州からの入国規制はアメリカだけではなくベトナムやカンボジアなどのアジアでも広がっています。
もっとも、カンボジアなどは中国からの規制は実施せず、欧州には・・・ということで、やはり政治的背景もあります。

いずれにしても、感染は遅かれ早かれ、欧州だけでなく全世界に拡大しそうな気配です。
“パンデミック(世界的流行)は「世界的危機」であり、「一方的な行動ではなく協力が必要だ」”という発想が基本的には必要でしょう。

【欧州内部でも、理念と異なる分断・制限の動き】
欧州にとって、アメリカなどが入国規制に動き出したこと以上に問題なのは、欧州内部における「感染源」イタリアを標的とした規制・分断が広がっていることでしょう。欧州統合の理念にもかかわる問題です。

****EU「移動の自由」に試練 米へは反発*****
狙い撃ちされた格好のEUは強く反発している。ただ、欧州でも感染が急拡大し、シェンゲン協定加盟国の間ですら移動制限の動きが出ているのが実情だ。EUが重視する「人の移動の自由」も、未知のウイルスの脅威にさらされている。(中略)

欧州では2月下旬以降、感染が急拡大。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると11日朝現在、イタリアでは1万件以上、フランス、スペイン、ドイツでも千件以上の感染が報告されている。
 
そうした状況にあっても、EUを主導する独仏などは移動の自由を守るべきだと訴えている。
 
ドイツでは、治療法がない状態が続けば「人口の60~70%が感染するおそれがある」(メルケル首相)と危機感を強めるが、特定の国からの入国制限はしていない。

シュパーン保健相は11日の記者会見で「ある地域を完全に閉じても、ウイルスの侵入を防げない」と指摘。「重要なのは感染のペースをどう遅らせるかだ」と述べた。

フランスのマクロン大統領も対策での「欧州の連帯」を強調。象徴でもある人の移動の自由の制限を一貫して否定している。
 
ただ、感染の広がりとともに、シェンゲン協定加盟国間で本来行わない国境審査を始める国が出てきている。

オーストリアは10日、陰性を示す医師の証明書がない限り、イタリアからの入国を原則認めないと決め、スロベニアも入国制限を打ち出した。仏国内でも右翼政党「国民連合」のルペン党首がイタリアとの国境管理強化を訴えている。【3月13日 朝日】
*******************

****EU、コロナ対応に苦慮…国境管理など加盟国の足並みそろわず****
欧州連合(EU)が、新型コロナウイルスの感染拡大への対応に苦慮している。国境管理や医療物資の調達などを巡り、各加盟国の足並みがそろわないためだ。(中略)

 ■限られた権限
09年の新型インフルエンザ流行を教訓に、EUは13年、加盟国で医療物資を共同調達する枠組みを設けた。ワクチンや医療物資を域内に行き渡らせ、医療格差を減らすためだ。
 
今回はこの枠組みを活用し、EU執行機関・欧州委員会は2月24日、2億3200万ユーロ(約280億円)規模の緊急対策を決め、ワクチン開発の支援や、市場で品薄となっているマスクなどの医療物資の共同調達の方針を打ち出した。
 
しかし、ドイツやチェコは3月上旬、医療用マスクや消毒液などの輸出制限措置を発表し、各国が「一方的な措置だ」と反発した。フランスもマスクの医療関係者への優先配布のため、国が在庫や生産を管理することを決めた。

このため、フォンデアライエン欧州委員長は各国首脳との調整に動き、13日の記者会見で「国の対策をEUの要望に合わせる快諾を得た」と述べた。独仏は輸出制限などを和らげる見通しだという。
 
欧州政策センターのシモーナ・ガリアルド政策アナリストは「国によって対応が大きく異なり、市民が不安になっている。EUは各国に、より統一された対応を求めるべきだ」と指摘する。

 ■チェコ「国境封鎖」
ロイター通信によると、チェコ政府は13日、居住者や長期の滞在許可を持つ人を除き、チェコへの外国人の入国を原則として禁止すると発表した。チェコ人も通勤などの理由を除き、外国への出国を禁止する。16日から実施するという。
 
欧州で感染が急速に広がった背景には、EU加盟国の多くも加わるシェンゲン協定の締約国間で、国境管理が撤廃されているという事情もある。

欧州では、まずイタリアで2月下旬に感染者が急増した。その後、独仏やスペインは3月1日頃から、オランダやベルギー、オーストリアなどは10日頃からそれぞれ急増している。
 
協定の締約国も非常時の国境管理は可能だが、多くの国は慎重だ。しかし、チェコに加え、オーストリアやポルトガルはイタリアからの入国を制限しており、シェンゲン地域を分断する動きも出始めている。
 
フォンデアライエン氏は13日、「全般的な渡航禁止は社会的・経済的影響の方が大きい」と述べ、EUとして国境での健康検査の指針を打ち出す方針を示した。【3月13日 読売】
*******************

【苦境のイタリアに支援の手を差し出す中国の「余裕」と「自信」】
一方、「感染源」となっているイタリアでは封鎖状態がとられていますが、ひところの中国・武漢と似たような現象も。

****自宅の窓から住民合唱、新型コロナで封鎖のイタリア 「マカレナ」一斉ダンスも*****
欧州最悪の新型コロナウイルス流行に見舞われているイタリアでは、政府が9日に封鎖措置を全土に拡大したことで経済活動は大幅に縮小し、国民はどうしても外出する必要がある場合を除き家にいるよう求められている。
 
そうした中、社会的な孤立感を和らげるため、各地で市民が自宅の窓辺に出て一斉に歌う様子を撮影した動画がネット上で人気を呼んでいる。
 
中部トスカーナ州シエナの住民たちが窓から地元の民謡「Canto della Verbena」を合唱している動画は、ツイッターで60万回以上視聴された。

別の動画では、北部トリノとみられるアパートの住人たちがそれぞれの自宅のベランダで同時にスペインのダンスポップ「恋のマカレナ」を踊る様子が捉えられている。
 
13日夜には、ローマ市内のいくつかの地区でも、住宅の窓から国歌をはじめとするさまざまな音楽や歌が聞こえてきた。
 
メッセージアプリ「ワッツアップ」には、金曜日には国家を歌うなど、決まった曜日にみんなで決まった歌を歌おうと呼び掛けるメッセージが流れた。
 
これ以外にもイタリアのソーシャルメディアで呼び掛けられている運動には、自宅の外に「andra tutto bene(何とかなるさ)」というメッセージをみんなで掲げようというものもある。このメッセージには虹の絵も描かれるが、その多くは、休校になった子どもたちが自宅で描いたものだ。 【翻訳編集】AFPBB News
********************

欧州内でも孤立し、厳しい状況にあるイタリアに支援の手を差し出しているのが中国。

****新型コロナ 中国「余裕」を演出? イタリアに医療支援団派遣 EUの支援が届かぬ中****
新型コロナウイルス感染が広がるイタリアに13日、中国が派遣した医療支援団が到着した。中国が国際貢献する「余裕」を示すことで、国内のウイルス克服を印象付ける狙いとみられる。
 
伊メディアによると、支援団9人は、マスクや呼吸器など医療機器約30トンとともにローマ入りした。イタリア赤十字代表は「医療品が払底しており、大変ありがたい」と謝意を示した。イタリアは昨年、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の覚書に調印している。
 
イタリアは欧州で感染が最も深刻で当初、欧州連合(EU)にマスク供給で支援を求めたが、ドイツやフランスは自国への供給を優先し、EUによる物資支援は実現していない。
 
中国国家衛生健康委員会は12日、国内で新たな感染者数が減少しているとして、「国内で流行のピークは過ぎた」と発表。今後は国際社会に貢献すると述べていた。【3月14日 産経】
***********************

中国は、「余裕」というか、自身の強硬な対応が正しかったとの「自信」も見せています。

*****「世界で最も安全な場所は中国」自信取り戻す中国人*****
(中略)
欧州の惨状に自信を強める中国人
中国の感染者は8万人を突破しているが、その中国が今や在外の中国人にとっての避難場所となっている。

ベルギー在住のある華僑はこう語る。
「欧州在住の中国人が脱出先に中国を選んでも不思議ではありません。なぜなら、彼らにとって今や中国こそが最も安全な場所なのですから」
 
中国では非常事態宣言が出され、都市が封鎖され、人々は移動の自由を奪われ、ほぼ軟禁に近い形で自宅に閉じ込められた。そうした中国共産党の強硬手段に、世界中に散らばった在外の中国人は当初、恐れをなした。

だが、その強硬策が功を奏し、現在は武漢市などを除いて中国人の生活は徐々に正常を取り戻しつつある。
 
一方、イタリアではマスク姿で国会に臨んだ議員が嘲笑されたり、感染者が拡大の一途をたどっているにもかかわらず、人々は「マスクより自由を」と唱えたりしていた。

都市の封鎖措置には抗議活動が繰り広げられ、飲食店ではウイルス拡散などおかまいなく多くの市民が濃厚接触状態で食事とおしゃべりに夢中になっていた。そして現在は新型コロナウイルス感染者数が中国に次いで多くなっている。
 
そんなイタリアの状況を見て、欧州の中国人は「ウイルス蔓延を最小に食い止めた中国政府を評価すべきではないか」(同)と考えているのだという。(後略)【3月14日 姫田 小夏氏 JBpress】
****************

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タイ  相次ぐフライト中止 帰国できるだろうか? 保健相の欧米への反感発言

2020-03-13 23:29:33 | 疾病・保健衛生

(夕暮れのワット・アルン「暁の寺」 バンコク3月13日)

 

【帰国できるだろうか?】
昨日タイ・バンコクに到着し、18日まで滞在して観光の予定です。

入国規制などの話や、フライトの欠航の可能性などもあって、入国できるのか不安でしたが、無事入国できて「やれやれ」と思っていましたが・・・・

****エアアジア 日本〜タイ5路線を3か月運休*****
新型コロナウイルスの感染が広がる中、格安航空会社「エアアジア」は13日、日本とタイを結ぶ5つの路線全てを3か月間運休すると発表した。

エアアジアによると、東京・大阪・札幌・名古屋・福岡と、タイの首都・バンコクを結ぶ5つの路線を今月16日から6月16日まで運休する。

すでに予約をしている人は、今年10月16日までの間で1回に限り、手数料無料で日程を変更できるほか、キャンセルする場合は全額返金される。

ただ、この対応はエアアジアの公式サイトで予約した人のみに適用されるということで、旅行代理店などを通した予約については、直接、店舗などに確認するよう求めている。【3月13日 日テレNEWS24】
*****************

今日出会った日本人男性の話では、来るとき予約していた格安航空会社(LCC)のフライトがキャンセルになって大変だったとも。

私もLCCのノックスクート。往路のフライトは搭乗率2割程度とガラガラでした。

こうなると、帰国便がはたして飛ぶのだろうか?という問題が出てきます。

上記にもあるように公式サイトを通じて購入していれば変更などの措置も対応してくれますが、私を含めて多くの者は格安チケットを扱う旅行代理店を利用しているのでは。

そういう場合は、フライトキャンセル時の対応もとってもらえません。

おそらく、新型コロナウイルスの感染云々という検疫態勢の問題というよりは、利用客減少による利益率の問題でフライトが維持できないのではないでしょうか。

感染が急拡大している欧州の航空会社も、利用客減少でフライトを取りやめたいのだが、一定に運航実績を残さないと発着枠が減らされるという問題があって、フライトキャンセルもできず困っているという話も聞きます。

帰国便がフライトキャンセルになって、「あとは自分で対応して」と言われても非常に困ります。

困りますが、今から悩んでも仕方ないので、明日以降も予定通り観光を継続するしかありません。
旅行中たくさんのお寺に参拝しますので、仏様によく頼んでおくしかなさそうです。

【タイ保健相のウソ】
タイ関連でニュースがもう1件。

****「汚い西洋人は要注意」=タイ保健相、また差別―新型コロナ****
タイで新型コロナウイルス対策の陣頭指揮を執るアヌティン保健相が「西洋人旅行者は汚い格好をしている。(感染を拡大させないよう)注意が必要」とツイッターに書き込んだ。

保健相は西洋人に差別的な言動を繰り返しており、批判が高まっている。
 
アヌティン保健相は12日夜、北部の観光地チェンマイから「タイ人の90%はマスクをしているのに西洋人はしない。だから彼らの国で多数の感染者が出た」と投稿。感染が拡大している欧米を当てこすった。
 
また、「感染を逃れるためにタイに押し寄せた欧州の旅行者は、多くがシャワーを浴びない」と書き込んだ。投稿は既に削除されている。
 
アヌティン保健相は2月にも「マスクをしない西洋人はタイから出て行くべきだ」と発言し、謝罪に追い込まれている。【3月13日 時事】 
********************

確かに、欧米人にはバックパッカーのように、タイ上流階層からみると肌の露出も多い「見苦しい」格好で旅行している者も多くいます。もちろんそういう者ばかりではありませんが。

このアヌティン保健相という人物は記事にもあるように、これまでも差別的言動が多い者ですから、発言者のそういう個人的思想信条の問題でしょう。

なお、中国・韓国からの観光客が壊滅した結果、街で見かける観光客は欧米系がほとんどです。ひと昔前は東南アジアの観光地はどこもこんな感じでした。

保健省の発言のなかで「タイ人の90%はマスクをしているのに」とありますが、これは嘘です。
昨日・今日見た限り、タイの多くの人々もマスクはしていません。

昨日ブログでも書いたように、なにせ暑いですからマスクする気にもなりません。
私もマスクなしで歩き回っています。

たまにマスクをしたタイ人を見ると「おや、タイ人もマスクするんだ」って思うぐらいです。

アヌティン保健相のような偏った思考の持ち主の意見のなかには、えてしてこういうフェイクがあります。

そういえば、王宮の直立不動の衛兵がマスクしていました。
珍しいので写真を撮ろうとしたら、ダメだ注意されましたが。

今日観光したエメラルド寺院、暁の寺、ワットポーでは、ワット・ポーがコロナ対策に気を使っていました。

入場時に検温があり、強制的に手を消毒されます。
また、この寺は巨大涅槃仏の他、タイ式マッサージの総本山としても有名で、境内でマッサージを受けることができますが、その際も検温チェックがあります。

それにしても帰国便の問題は困ったですね・・・・。
コロナ対策の責任者のアヌティン保健相が何言いだすかも不安ですし・・・。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新型コロナ 避けられない感染拡大 重症化リスクの高い者への対応に重点を移す時期?

2020-03-12 22:05:43 | 疾病・保健衛生

(無観客試合となった「ムエタイ」試合会場 ルンピニースタジアム【3月11日 FNN PRIME】)

 

【空席ばかりの機内 タイの検疫はやや“ゆるい”かも】
今日の昼過ぎ、タイのバンコクに到着。1週間ほどバンコクに滞在してブラブラと観光の予定です。

今朝8時半頃のフライトでしたが、関空は閑散としていました。新型コロナでみな旅行を控えているせいか、あるいは早朝はいつもこんな感じなのか・・・・

でもやっぱり少ないみたい。タイの格安航空会社ノックスクートを使いましたが、機内もバラガラ。搭乗率は2割程度でしょうか。

空港(LCCなのでドンムアン空港)での検査がどのように行われるのか少し不安でもありましたが、さほど厳密にやっているようにも思えませんでした。

日本からの飛行機は空港内のやや離れた場所に駐機して、バスで移動(これが日本からの便ということで、特別な措置なのかどうかは不明)

検疫所みたいなところで体温チェックが行われますが、額に検査器具をかざして体温測定するのは乗客の数人に一人の割合で、全員をチェックしている訳でもありません。

日本人観光客からも「いい加減すぎるんじゃないの?」といった声も。

赤外線カメラのモニターも誰も見ていないようにも・・・・

まあ、そんな検査で検疫も無事終了。
乗客からは「どこで調べると?」「今通ってきたじゃん!」「えっ!あれでおしまい?」って声も。まあタイですから・・・・

【バンコクの外国人宿泊客集中地区はそれなりの人出も ただし欧米系のみ】
日本でも大相撲が無観客興行になっていますが、タイでもそこらは同じです。

*****コロナ拡大で国技「ムエタイ」も無観客に… タイ観光は約1000万人減の試算も****
ムエタイ試合から客が消えた
鋭いキックやパンチが炸裂するたびにリング上に飛び散る汗。両手両足を使って様々な技を繰り出す選手たち。立ち技の世界最強格闘技といわれるタイ式のキックボクシング「ムエタイ」のワンシーンだ。

しかし記者が3月10日、試合会場の一つを訪れると、普段、試合を盛り上げている観客の地響きのような声援はなかった。

タイの国技である格闘技「ムエタイ」の二大殿堂の一つ、ルンピニースタジアムでは3月10日の試合から、観客を入れないで試合を行う無観客試合に踏み切った。スタジアムでの新型コロナウイルスの集団感染を防ぐための措置だ。

タイ政府から感染防止策として競技延期を打診されたことを受けて、スタジアム独自の対応として無観客試合を導入し、競技を継続することを決めたという。

 会場にいるのはムエタイ選手とその関係者、それにテレビ生中継のためのスタッフだけで、いつもは客席を埋め尽くす観光客や地元客の姿はなかった。 

試合を盛り上げる声援とギャンブル
ムエタイに来る地元客は、時に絶叫しながら、熱心に選手を応援することで有名だ。その理由は、多くの人がムエタイ会場で行われている「賭け事」に参加しているからである。客席では選手の勝敗を賭けるギャンブルが行われており、賭けに参加した観客は必死になって応援し、声援を送る。(中略)

またムエタイは、タイを訪問する旅行客にも人気の観光スポットだが、最近は外国人旅行客が減り、試合会場を訪れる人の数も落ち込んでいたという。これも無観客試合に踏み切った理由の一つだという。

タイの観光はコロナで打撃
新型コロナウイルスの感染拡大は、ムエタイだけでなく、観光地やショッピングモールなどの光景も一変させた。週末のモールは客が少なく閑散としていて、観光客の数もごくわずかしか見かけない。
観光スポットのすぐ近くには、客待ちの観光用三輪車トゥクトゥクが長蛇の列をなして待機している。

タイ政府観光庁によると新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、旅行の予約状況が急速に悪化したという。2月にタイを訪問した外国人観光客の数は、前年比44.5%にまで落ち込んだ。

また、2020年のタイへの外国人旅行者の数は、最悪のシナリオだと約1000万人減少し、観光収入も約1兆5000億バーツ(日本円で約4兆9500億円)減る可能性があるとの予測もある。

観光産業は国内総生産(GDP)の2割近くを占める主要産業だけに、タイ経済全体への悪影響は避けられない見通しだ。【3月11日 FNN PRIME】
*********************

“観光地やショッピングモールなどの光景も一変させた”とありますが、今日のところは、そこまでも感じもありません。

バンコク市内の外国人が宿泊する安宿などが多いことで知られたカオサン(そのあたりの話も近年は変わってきているようにも聞きますが)にも近い王宮周辺の安宿に泊まっており、さきほどホテル周辺を散策してきましたが、観光客はそこそこ歩いています。(以前と比べてどうなのか・・・というところはわかりませんが)

ただし、ほとんど全員欧米系白人。中国・韓国などからのアジア系観光客は全く見ませんでした。

ただ考えてみると、現在感染拡大の中心は欧米に移っていますので、欧米系観光客が大勢いる状況というのはヤバイのかも。

【マスクなんてしていられない暑さ】
機内の日本からの乗客はみなマスク着用でしたが、上記のような欧米系観光客ではマスク姿は皆無です。

もちろんマスク文化の違いもありますが、「暑い」という現実的理由も。
私もホテルを出るときはマスクを着用していましたが、歩き始めて数分で「こんなもの着けていれらないよ」と外してしまいました。

タイの人も、街中ではマスクは使っていないみたい。

確か、SARSだか何だかのときも似たようなことがありました。
暑い地方を歩き回るのにマスクなんかしていられない・・・というのが実際のところです。

そのため日本のような「マスク不足」もないみたいで、空港で両替したところ、サービスにマスク1枚もらいました。

街の様子については、今日散策したのは外国人宿泊客が集中しているエリアですが、明日からまわるいわゆる観光スポットでは、また別の光景になるのかも。

【感染拡大はもはや避けられない?】
今日のニュースで印象的だったのは、ドイツ・メルケル首相の「予測」

****新型コロナウイルス、総人口の6〜7割に感染の恐れ 独首相****
ドイツのメルケル首相は12日までに、新型コロナウイルスの問題に触れ、最終的にはドイツ国民の6〜7割が感染する可能性があるとの同国当局の見方を明らかにした。

ベルリンでの新型肺炎に関する記者会見で述べた。シュパーン保健相も同席した。

首相はこの中で公衆衛生制度に過重な負荷をかけないことが重要と指摘。感染の拡散に歯止めがかからないイタリアを念頭に、全ての欧州諸国に感染が広がっているともした。

その上で、各国は研究に注力し、支援すべきと強調し、ドイツは分散的な方策で今回の危機に対処するとも言明した。新型コロナウイルスについて「我々は多くのことを知らない状況の中にいる。我々は深刻に受けとめている」とも述べた。

ドイツの連邦議員は12日に新型肺炎への対応策を協議する会合を開催する予定。

ドイツ連邦統計局によると、同国の人口は昨年末の時点で約8320万人。世界保健機関によると、ドイツ内の感染者数は11日時点で1296人で、犠牲者は2人となっている。【3月12日 CNN】 
********************

また、アメリカでも・・・・

****米医師予想、1億5千万人感染か ニュースサイト報道****
米ニュースサイトのアクシオスは11日、連邦議会の担当医師が議会スタッフらとの非公開会議で、米国の新型コロナウイルス感染者が「7千万〜1億5千万人に上ると予想している」と述べたと報じた。

米国の人口は約3億3千万人で、最大で4割以上の人が感染する計算となる。
 
推計の根拠など詳細は伝えていない。アクシオスは関係者の話として、多くは症状が軽く、完全に回復する人の数も予想に含まれていると付け加えた。
 
ファウチ国立アレルギー感染症研究所長は11日の下院の公聴会で、感染者数について「どのような対策を実施するかによって変わるので答えられない」と述べた。【3月12日 共同】
**********************

要するに感染拡大はもはや止められない・・・・ということでしょう。
WHOもようやく“パンデミック”を認めたようです。

そうしたなかで目を引いたのは、下記記事のバーレーンの状況。

****湾岸アラブ諸国でも新型コロナ拡大、クウェート全土休日に****
 新型コロナウイルス感染が湾岸アラブ諸国でも拡大している。カタールでは11日、感染者数が238人急増し、累計262人となった。

バーレンではイランからの退避者165人中77人の陽性が確認された。

クウェートでも新たに72人の感染を確認。当局は感染拡大防止に向け、必要不可欠なサービスを除き12─26日まで全土を休日にすると発表。また、13日から全ての旅客機の運航を停止する。

17─19日にサウジアラビアで開催が予定されていた20カ国・地域(G20)の農業・水問題を担当する閣僚による会合と、来週のG20の事務レベルでの会合は延期されることになった。

湾岸アラブ諸国では新型コロナによる死者は出ていない。【3月12日 ロイター】
*******************

“イランからの退避者165人中77人の陽性が確認された”・・・・イランからの退避者がどのような環境にあったかは知りませんが、もしイランの一般国民と同じような環境にあったのであれば、イラン全土でまさに半数近い者が感染する事態になっているという話にもなります。

通常のインフルエンザの感染は止められないですし、別にそのことを大騒ぎもしていませんから(日本でも毎年インフルエンザで数千人が亡くなっているにもかかわらず)、新型コロナウイルスについても、「感染拡大は止められないけど、別に大騒ぎすることもないよ」という考え方もあるでしょう。

問題は致死率や治療薬の有無ですが、致死率については以下のようにも。

****“致死率 インフルよりはるかに高い” 米研究者 新型ウイルス ****
NIH=アメリカ国立衛生研究所で新型コロナウイルス対策を率いるファウチ博士は11日、議会下院の監視・政府改革委員会で証言しました。

このなかで、ファウチ博士は新型コロナウイルスの致死率について、中国を含めたデータはおよそ3%であるものの、ウイルスに感染していても症状が出ない人もいることから、実際には感染者はさらに多いとして、致死率はおよそ1%と分析していることを明らかにしました。

そのうえで「インフルエンザの致死率は0.1%であり、致死率は10倍高いことになる」と述べ、新型コロナウイルスの致死率はインフルエンザよりもはるかに高いと指摘しました。

また、今後の感染拡大の可能性についてファウチ博士は「結論を言えば、状況はさらに悪化するだろう」と述べ、さらなる感染の拡大は避けられないとの認識を示しました。

そして、状況の悪化を少しでも抑えるためには、大勢の人が集まるイベントの中止を検討すべきだとしてNBA=アメリカプロバスケットボールなどの試合を観客を入れずに行うなどの対策が必要だと強調しました。
*******************

素人考えでは、致死率は適正にコントロールされている状況と、医療崩壊状況では雲泥の差がるようにも。

感染拡大は避けられないという立場にたって、対応の主眼を、医療崩壊をまねかず、重篤化する危険性の高い者への対応に切り替えていくことが必要なのかも。

重篤化のリスクが低い者であれば、感染したことをさほど大げさに考える必要もないのかも。

なお、リスクの高い者が感染した場合に死に至ること多々あるのは、新型コロナだけでなく、普通のインフルエンザでも、あるいは通常の風邪でも同じです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

明日タイ・バンコクに行ってきます。入国できるかな?

2020-03-11 22:54:26 | 疾病・保健衛生

(観光客が減り閑散とするバンコクの王宮周辺(3日)=ロイター【3月5日 日経】)

【新型コロナで死者も ただ、観光立国タイとしては観光客にも来て欲しい】
明日からタイ・バンコクを1週間ほど観光するということで、今日は関空近くの泉佐野まで移動。
現在、地元の空港でフライト待ちです。

新型コロナウイルスの関係では、タイはそんなに感染は拡大はしていませんが、先日死者もでたということで、かなりナーバスにもなっています。

****新型ウイルス、タイで初の死者 35歳男性=保健当局****
タイ保健省疾病管理局のスワンチャイ局長は1日、新型コロナウイルスに感染した35歳の男性が死亡したと発表した。タイでの感染者の死亡は初めて。デング熱を併発していたという。

同国で1月以降、確認された感染者は42人で、このうち30人が回復し、11人が病院で治療を受けている。

当局によると、死亡した男性は小売業界に勤務し、新型ウイルス発生後の早い段階に多くの観光客と接触していた。スワンチャイ局長は記者会見で、中国人観光客との接触があったと述べた。(後略)【3月2日 ロイター】
*****************

タイは早い段階から日本からの入国者への検疫を強化していましたが、上記のような情勢で、入国できるかどうか非常に不安でした。

すでに、タイ在住者については、日本からの帰国時に2週間の公共の場に出ないような自粛要請出されています。

このあたりの対象者、日本人観光客の扱いがどうなるのか、メディア報道ではイマイチよくわかりませんでした。

そこで、タイ政府観光庁に問い合わせたところ、入国時に体温チェックで問題がない限り、観光については制約はないとのことでした。

旅行の延期も考えましたが、格安の航空券のため、延期・払い戻しが一切できないということ、タイ政府も「問題ない」と言っていることで、予定どおりに明日の早朝フライトで出発。


****3/5 タイ保健省からのコロナウイルスに関する発表*****
タイ国政府観光庁からの大切なお知らせ
2020年3月5日発表


現在、タイ国政府は中国をはじめ感染症の影響を受けるいかなる国・地域に対しても渡航や貿易の制限はしていません。
また、これまでのところ感染地域*からの渡航者に対する自主的な隔離措置についてのタイ国政府による公式発表もされていません。

(*2020年3月5日公示のタイ国政府官報 保健省告知によれば、危険感染地域とは、(1)韓国 (2)中国(香港及びマカオを含む) (3)イタリア (4)イランを指し、日本への言及はございません。

ただし日本においても感染が拡大している事をふまえ、入国後最低14日間は常に健康状態の経過観察に努めてください。)

なお、タイ国保健省疾病管理局は、国籍を問わず全てのタイへの渡航者に対する公衆衛生保護を目的とし、空港や港、国境地点など46の入境ポイントにおいて、渡航者の疾病監視手順を強化しています。

タイ国政府観光庁からの旅行者のみなさまへのアドバイス
旅行者の皆様は、以下のアドバイスに留意して安全に旅行されることをお勧めいたします。(後略)【タイ政府観光庁 3月6日】
************************

なんとなく、文面からは「心配せずに是非タイに来て」というメッセージが感じ取れます。

ただし、日本語ガイドを依頼しているところの話では、日本人観光客に対する規制が緩すぎるのでは・・・との不満が国内にはあるとか。

ただ、日本より遥かに観光に依存した観光立国タイですから、タイ当局としては、国民の健康を守るという「表」の顔の一方で、観光客減少によるこれ以上の経済悪化は何としても避けたいという「本音」の板挟みにあるようにも見受けられます。

*****訪タイ海外観光客、2月は前年比44.3%減 中国人85%減****
タイ政府観光庁(TAT)は9日、2月の外国人観光客数が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前年比44.3%減少したと明らかにした。

TATのユタサック・スパソーン総裁は観光ツアー会社との会議で、国別でトップの中国からの観光客は85.3%減少したと述べた。

そのうえで、最悪のシナリオで、感染の状況が収まるのが5月となった場合、今年の外国人観光客数は3000万人に落ち込み、観光客の支出が22%減少する可能性があると指摘した。昨年の観光客数は3980万人。ユタサック氏は前週、今年の外国人観光客数が600万人減少するとの見込みを示していた。

観光業はタイ経済にとって重要な産業。昨年、外国人観光客の支出は1兆9300億バーツ(611億5000万ドル)で国内総生産(GDP)の11%を占めた。

タイ政府は前週、新型ウイルスの経済への影響を緩和するため32億ドル超相当の景気刺激策をまとめ、10日の閣議での承認を目指すとしていた。【3月9日 ロイター】
**********************

【揺れる当局の方針】
そうした事情もあって当局の方針も、入国規制と観光客受け入れの間で揺れています。

*****タイ、入国規制で迷走 隔離義務「見直して公表」**** 
タイ政府が新型コロナウイルスを巡る入国規制措置の運用で迷走している。

アヌティン保健相が3日、日本や中国からの入国者に対し14日間の隔離を義務付けると明らかにしたが、その後これを取り下げたうえで、今後の方針は「見直して近く公表する」と説明した。タイは日本から訪れる旅行者や駐在員が多く、戸惑いが広がっている。

アヌティン氏は3日、自身のフェイスブックで日中韓など11カ国・地域からの入国者に、14日間はホテルや自宅での待機を義務付けると表明した。その後に投稿を取り消し「どの国を対象とするかなど、見直す必要がある」と述べた。更新した内容を近く明らかにするとしているが、まだ発表されていない。

タイは2月27日から日本を含む9カ国・地域からの入国者に、14日間は外出を控え自宅やホテルで健康状態を観察するように協力を求めている。

既に一部の日系企業では、対象地域を訪れてタイに戻ってきた駐在員に自宅待機を命じたり、日本からの出張を取りやめたりする動きが出ている。

観光客の足も遠のいている。泰日旅行業協会のアネーク会長は2月下旬に地元紙に対し「日本からの団体旅行の8割がキャンセルになった」と明らかにした。この時点では日本からの入国者への規制措置はなかった。隔離義務が実施されれば影響の拡大は必至だ。

タイには2019年に約180万人の日本人が訪れた。約6000社の日系企業が進出しており、世界の国・地域で4番目に多い約7万人の日本人が生活している。【3月5日 日経】
********************

先述のように「2月27日から日本を含む9カ国・地域からの入国者」というものには観光客は含まれないようです。あくまでもタイに在住していて、日本を訪問後に帰国した者・・・ということのようです。

メディア報道にも曖昧なところがあるようにも思えます。

****タイ、中韓などを新型コロナ危険地域に 日本は外れる**** 
タイ政府は5日、新型コロナウイルスの感染が広がっている危険な地域として、中国、香港、マカオ、韓国、イタリア、イランの6カ国・地域を指定した。日本は対象に含まれなかった。

タイの感染症法に基づき、対象地域から入国した人は、宿泊施設や自宅での待機を義務付けられる見通しだ。

タイの入国制限を巡っては、3日にアヌティン保健相が自身のフェイスブックで日本を含む11カ国・地域からの入国者に、14日間の待機を義務付けると明らかにしたが、その後に投稿を取り消し「見直して近く公表する」としていた。

タイは2月27日から日本を含む9カ国・地域からの入国者に、14日間は健康状態を観察するように協力を要請している。今回指定された地域からの入国者は、より厳しい対応を求められる。【3月5日 日経】
********************

したがって、いつ何時入国規制がかかってもおかしくないとも言え、明日実際に入国するまでは安心できません。
また、風邪などのために体温チェックで引っ掛かり入国できない・・・といった可能性もあります。

ただ、もう関空に向かう機内にいますので、後戻りもできません。
前に進むだけです。

ということで、先ほど泉佐野のゲストハウスに到着しました。
明日、早朝フライトでバンコクへ・・・・無事入国できるかな?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本  新型コロナ「一定程度持ちこたえている」とは言うものの、その実態は?

2020-03-10 22:02:39 | 疾病・保健衛生

【沈静化する中国、韓国もピーク超えた? 日本は?】
新型コロナウイルス感染は欧米で急速に拡大する一方で、中国では沈静化の傾向にあり、外国からの流入を警戒する状況になっています。また、韓国でもひと頃に比べると拡大のペースが落ちています。

****中国 新たな感染者19人 3日連続で50人下回る 新型ウイルス*****
新型のコロナウイルスの感染の広がりについて中国の保健当局は9日に国内で新たに感染が確認された人は19人だったと発表しました。

新たな感染者は3日連続で50人を下回っていて中国当局は海外からの流入に警戒を強め、水際での対策を徹底する姿勢を示しています。(中略)

新たな感染者のうち17人は状況が最も深刻な湖北省武漢で確認され、ほかの2人は海外からの入国者だとしています。また、湖北省では新たに17人の死亡が確認され、中国での死者は3136人となりました。

国内での新たな感染者の数が減少傾向にあるなか、李克強首相が9日開いた会議では「国内の状況は改善に向かっているものの、依然として複雑であり、再び感染者が増加に転じることは絶対に防がなければならない」と強調しています。

そのうえで会議では「北京など出入国の多い場所ではきめ細かい対策を行わなければならない」として海外からの流入に警戒を強め、水際での対策を徹底する姿勢を示しています。【3月10日 NHK】
********************

****中国湖北省、一部地域の住民に移動許可も=政府系メディア****
中国湖北省は、新型コロナウイルスの感染リスクが低・中程度の地域の住民を対象に移動を認める計画を検討している。(中略)

報道によると、湖北省は移動を許可するに当たり、国内の多くの地方当局がここ数週間に導入しているモバイル端末ベースの監視システム「ヘルスコード」を用いる可能性がある。【3月10日 ロイター】
*******************

モバイル端末ベースの監視システム「ヘルスコード」・・・・何やら、不気味な感じもある「監視」システムですが、その手の話はまた別機会に。

****韓国の新規コロナ感染者 1日100人台まで減少=計7513人****
肺炎を引き起こす新型コロナウイルスを巡り、韓国の中央防疫対策本部は10日、この日午前0時現在の韓国での感染者数は計7513人だと発表した。感染者は前日午後4時の時点から35人増え、前日午前0時の時点からは131人増えた。

また、死者は前日午前0時の時点から3人増え、計54人となった。
1日当たりの新たな感染者の発生数は、先月25日以来2週間ぶりに100人台に減少した。一時は連日400人を超えていた。(後略)【3月10日 聯合ニュース】
*********************

ピーク時は900人増ということもあったことからすれば、かなり落ち着きを示す数字のように思われます。

日本の状況は、10日10時半時点で、感染者は前日比30人増、死者は2人増となっています。
(冒頭の、NHK調べの表を参照)

国内感染者数510人、死亡者数9人という数字は、中国はもちろん、韓国と比較してもかなり低い数字であり、ここ数日の1日ごとの新規感染者数もやや低下傾向を見せています。(これが今後も続くのかどうかは不明)

安倍首相は2月24日に公表した見解で、「これからの1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となる」と危機感を訴えましたが、すでに2週間が経過しました。

その後も首相は発言のたびに「ここ1~2週間が」といったことを繰り返しており、いったいいつが判断時点なのか判然としませんが、まあ、上記のような感染状況をどのように判断するのか、首相ならずとも難しいところでしょう。

【日本の感染者数は信頼できるのか?】
****日本の新型ウイルス感染状況、一定程度持ちこたえている=専門家会議****
新型コロナウイルス対策に関する政府専門家会議は9日夜の会見で、現時点での日本の感染状況について「爆発的な感染状況には進んでおらず、一定程度持ちこたえている」との判断を示した。

ただ、感染者数は当面増加傾向が続くと予想されるため、警戒を緩めることはできないとした。【3月9日 ロイター】
*****************

上記の感染状況を示す数字をそのまま見れば、確かに「一定程度持ちこたえている」とも言えるでしょう。

ただ、日本の場合は韓国のように徹底した検査が行われている訳でもなく、その状況での「感染者数」をどのように解釈していいか疑問もあります。

****感染「爆発的でない」と日本の専門家、中国ネット「で、検査数は?」****
新型コロナウイルスへの対応を協議する日本政府の専門家会議が9日の会合で「(日本国内では)爆発的な感染拡大には進んでいない」との見解を示したことに、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)上で大きな反響があった。 

専門家会議は「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度持ちこたえている」との見方を示した。一方で、新型コロナウイルスはインフルエンザのように暖かくなると消えるものではないとし、数カ月から半年、あるいは年明けまで対応が続く可能性があるとも指摘した。 

微博で2000万以上のフォロワーを持ち、日本の情報を発信しているブロガー「小野妹子学吐槽」さんらがこれを伝えると、中国のネットユーザーからは大きな反響があった。

最も多くの共感を集めているのは「彼らの対応方針であれば、来年まで続くのは正常ではないか」というコメントだ。中国のネット上ではこれまでにも、「日本はもっと厳しく対応した方が良い」との意見が相次いでいた。 

また、日本でPCRなどの検査が十分に行われていないと指摘する声も多く、「お尋ねしますが、今日はどのくらい検査したのですか?」「持ちこたえている? 。検査しないことを持ちこたえている?」「検査しなければ(数字上は)コントロールできる」「韓国のように1日に何千件も検査して爆発するかどうか試しては? 。韓国を褒めるわけじゃないけど」などのコメントも並んだ。 

このほか、「五輪のため(に感染者数を抑えよう)というのは理解できるが、各国が日本に来られるかどうかも問題」「頼むから検査してほしい。五輪は秋に延ばせるかもしれないが、遅れたら終わり。アジアでの五輪開催はアジアにとって良いことだから」といった声も上がっている。【3月10日 レコードチャイナ】
********************

素人考えでも、「検査していないのだから、感染者が増えないのは当然ではないか」という疑問があります。

徹底した検査を行っている、また、日本と同程度の医療水準にある韓国が、感染者数7513人に対し死者が54人ですから、一定の重症化確率を前提にすれば、日本で国内の死者(クルーズ船を除き)9人ということは1250人程度の感染者がいても不思議ではないでしょう。(と言うか、510人のレベルなのが不思議 日本が異様に死亡率が高いことにもなります)

同様の疑問が国内でも示されています。下記は若手脳神経外科医の投稿です。

****日本だけ異様に新型コロナウイルス感染者死亡者が少ない印象が、、、 1*****
日に日に増えている日本での新型コロナウイルス感染者数ですが、諸外国に比べるとかなり少ないという印象にあります。現時点ではクルーズ船を除けば、400人程度の感染者数と発表されています。(中略)

諸外国、まあ、発生源である中国は別として、イタリアが感染者およそ4600人の死亡者197、韓国が感染者6800の死亡者44となっています。

これらと比べると、クルーズ船を除いた日本の感染者数は1/10以下、死亡者数についても日本だけは6名と、少ない方向に桁が違うわけです。

何故、これほど報告に差が出ているのでしょうか。
正直なところ、日本で出ている数字が実態を示しているとは考えにくいのではないかと思ってしまいます。
まず感染者数から考えてみます。

韓国と日本への中国からの流入者にそれほど大きな差があるとは思えませんし、人口密度や国民の衛生への習慣に大きな差があるとは考えにくいです。

韓国では新興宗教の集会が感染爆発の要因とされましたが、日本でも規模は違えどライブハウスでの感染など似たようなことが起きています。

イタリアはどうでしょうか。観光者は多いにしても中国からの流入者数が日本より多いかというと、そうとは思えませんし、政府は早くから中国からの入国制限を行っています。

ヨーロッパの人はマスクをあまり好まなかったり、スキンシップが普段から多いと言えばそうかもしれません。
しかし、政府の対応については日本よりずっと厳しいように思います。

こういったことを考えると、日本だけ桁違いに感染者数の報告が少ないのは、やはり検査が行われ診断された方が少ないだけのように思います。

わかっていないだけで本当は日本にも同じくらいの感染者数がいてもおかしくないように思うのです。
中国が発表する数字は信じられない、というコメンテーターの発言がありますが、日本で発表している感染者数が実態を伴っているのか?というと、かなり疑わしいです。

世界から日本がどうみられているかというと、潜在的には韓国イタリアと同様に感染者数が増えていると見られている気がします。各国の日本からの流入者に対する対応をみているとそれは明かです。

日本でPCR検査数が少ないことについては、今まで散々メディアで指摘されてきたのでここでは特に述べませんが、やはり実際の保健所の対応をみていても、これまでは医者が怪しいと思った患者さんでも検査を断られることがあったようです。

次に、死亡者数について考えてみます。【3月8日 名月論氏 BLOGOS】
********************

【死亡数への疑問も】
まあ、それにしても死者9人なら韓国やイタリアに比べて、(たとえ感染者数が1000人超であったにしても)いずれにしても低い水準にあると思えます。

しかし、上記名月論氏は死者数についても疑問を投げかけています。

****日本だけ異様に新型コロナウイルス感染者死亡者が少ない印象が、、、 2****
(中略)前回、感染者数に関してイタリアと韓国との比較を考えたときに、日本の数字は実態より少なすぎるのではないかと考えました。

死亡者数についてはどうか?ということになりますが、これも私は同様だろうと思っています。

まず、実際に私が外勤先のアルバイトで聞いたエピソードを一つ紹介します。

2月中のことですが、普段から高血圧に対する降圧薬を処方していた高齢の女性患者さんの一人が、本来であれば1月に受診しなければ薬がなくなってしまったはずなのに、2月の中旬までいらっしゃいませんでした。
なにかあったのですか?と聞くと、「夫が肺炎で入院して亡くなったんです」と診察室で涙ぐみながら教えてくれました。(中略)

あのクリニックはもう信じられなくて、と夫人は言いますが、私はそれよりも何か背筋がぞっとしました。
それは、肺炎の原因が新型コロナウイルスだったとしても別におかしくはなかったからです。

何か肺炎の原因はその後わかったのですか?と聞くと、なにせ急に亡くなってしまったので詳しいことも分からなかったようです、とのことでした。

この肺炎が新型コロナウイルスが原因だったかどうかは分かりませんし、今後も明らかになることはありません。
しかし、このケースからはっきり言えることが一つあります。

それは、急激に悪化した肺炎による呼吸障害で亡くなった患者さんについて、特に原因検索がなされていない本例のようなケースが全国で多数あるのだろうということです。

特にこの話を聞いたのは2月の中旬頃で、その医療機関のある都道府県では新型コロナウイルスの感染者数がまだそれほど見つかっていませんでした。

総合病院でこの患者さんを診た医師の頭にもあまり新型肺炎の可能性は浮かばなかったかもしれません。
しかも入院中に急激に呼吸状態が増悪して死亡してしまった場合、死亡した後に詳細な検査をするかというと、しない場合が多いのではないかと思います。

日本人の心情として、誰か身内が亡くなったあとにそのご遺体を詳しく調べるということを望む方は少ないです。
医療従事者の側もあまり積極的に病理解剖や検査などを勧めない場合が多いのが事実です。

真実の追求より、精神的負担をかけないことを優先することがあります。

特に、今回の新型コロナウイルスに関しては、もし実際に亡くなった家族が陽性となったら?ということを考えると、今の国内の状況では一例ごとに知事の記者会見が行われるなど大騒ぎになるのが目に見えていますし、自身の生活に及ぶ影響を考えてしまって、あえての検査を望まない遺族が多いように思います。

PCR検査を行うかどうかに現状、法的な強制力はありません。あくまで医師の判断によるものですから、家族が望まなければ無理に検査するのはやめようとなることもあるかもしれません。
それが現実のように思います。

何が言いたいかというと、実は新型コロナウイルスで亡くなっていたにも関わらず、PCR検査が行われず、通常の肺炎として扱われたケースが少なからずあるのではないか、ということです。

実際には7名よりももっと多くの方がこのウイルスで亡くなっているのかもしれません。
そうすると諸外国と比べて死亡者数が桁違いに少ないのも納得がいきます。

日本の医療水準が極めて高いからでしょう!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
少なくともこと脳神経外科の分野などをみている限りでは、韓国やイタリア、中国の大都市と比較してそれほど差があるように私は全く思えません。【3月9日 名月論氏 BLOGOS】
******************

このあたりの話になると、名月論氏の指摘するような実態があるのかもしれないし、そうでないのかも・・・なんともわかりません。

願わくば、名月論氏の思い過ごしであって欲しいと思うのですが・・・。

なお、2009年の新型インフルエンザのときも、日本は世界各国に比べて著しく死亡率が低かったという実績がありますので、日本が特異な数字を示すこともあるようです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

香港  深刻な打撃を受ける中国依存経済 抗議行動は沈静化 終息後は?

2020-03-09 22:36:22 | 東アジア

(人口が密集している香港では、新型コロナウイルスの不安から逃れ、新鮮な空気と運動ができる場所を求めてハイキングに出掛ける人が増えている。(写真は香港の清水湾を見晴らす釣魚翁で写真を撮るハイキング客たち)【3月5日 AFP】 この人々が再び路上の抗議行動に戻ってくるのか?)

【中国一極依存のリスクに直面 支持率一桁の香港政府、一人14万円の「バラマキ」】
内閣府が9日発表した日本の2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算では7.1%の大幅減少でした。

世界経済の減速が尾を引き、更に消費税率の引き上げもあったことによるとされていますが、最近そして今後しばらくの新型コロナウイルスによる甚大な影響を考えると、この経済減速傾向はしばらく続きそうな気配です。

そのあたりは世界各国も共通で、中国経済に大きく依存している香港も影響は深刻です。

2003年、SARSで落ち込んだ香港経済は、大陸から観光客を送り込んでもらうことで息を吹き返しましたが、結果として大陸依存を強めることになりました。

そして今、その大陸からの観光客が途絶えることに。

****新型コロナで露呈した「中国人観光客依存」の危険、香港・マカオと台湾の明暗****
新型コロナウイルスで中国人観光客が減少しているが、痛手を被っているのは日本だけではない。中国一極依存を深めているアジアの各地も例外ではないようだ。香港、マカオ、台湾のインバウンドは今、どうなっているのか。

香港も「観光客ゼロ、収入ゼロ」
香港の街を象徴するのは、ビクトリアピークでも女人街でもない。今やどこに行ってもドラッグストアと宝飾品チェーンばかりが目につくが、これこそが中国人観光客誘致にのめり込んだ香港の現在の姿だ。

中国人観光客が欲しがる商品と店づくりを追い求めた結果、香港の街はドラッグストア・コスメチェーンの「莎莎」「卓悦」、宝飾品チェーンの「周生生」「周大福」の商業看板に埋め尽くされてしまった。
 
観光客の8割を中国大陸に依存し続けてきた香港は今、「中国一極依存のリスク」に直面している。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、香港政府は大陸に直通する高速鉄道を止めるなど、大陸との往来を制限した結果、インバウンド事業者は「観光客ゼロ、収入ゼロ」に頭を抱えている。多くの観光バスの運転手が離職を余儀なくされているのも日本と同じだ。
 
振り返れば2019年、「逃亡犯条例」に反対する抗議デモは日を追うごとに過激になり、反中色を帯びるようになると、大陸からの観光客が激減した。

2018年、香港には日本の6倍にのぼる5100万人の中国人観光客が訪れていたが、2019年は4377万人と、前年比で14%も減少した。

「ラーメン屋が立ち退かされ、入ってきたのは中国人客目当てのドラッグストア。家の周辺には10軒以上もあるが、こんな数は必要ない」(旺角在住の香港人)と、市民の反感を買いながらも、店舗を増やしたドラッグストアだが、その化粧品や薬の販売も落ち込んでいる。(中略)
 
2003年、SARS禍で落ち込んだ香港経済は、大陸から観光客を送り込んでもらうことで息を吹き返したが、結果として大陸依存を強めた。

今、香港政府が打ち出した経済対策は、市民1人当たり1万香港ドルの現金支給による内需振興だ。(後略)【3月6日 姫田小夏氏 DIAMONDonline】
**********************

「市民1人当たり1万香港ドルの現金支給」というのは、随分思い切った「バラマキ」のように思えますが、“香港民意研究所が(2月)25日に発表した世論調査によると、林鄭氏の支持率は今月初めから4ポイント下落し9%、不支持率は83%だった。”【2月26日 産経】という最悪の政治状況を何とか打開しようとするものでしょう。

また、“9月にも予定される選挙を控え、立法会(議会)から現金給付を求める圧力が強まっていた。”【2月26日 朝日】といった事情も。

****香港政府、18歳以上の市民に約14万円支給へ 700万人対象****
香港政府は26日、2020年度の予算案を発表し、18歳以上の全市民に一律1万香港ドル(約14万1800円)を支給するための財源(710億香港ドル)を盛り込んだ。

19年6月から続く政府への抗議デモに加え、新型コロナウイルスの影響で経済が大きな打撃を受けていることを受けた措置で、約700万人が対象となる。
 
香港では抗議デモの激化で観光客の約8割を占める中国本土からの来訪者が激減し、小売業や観光業を直撃。経済指標が軒並み悪化し、19年の実質成長率は前年比でマイナス1・2%となった。

さらに2月以降は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中国本土との人の往来を規制。市民も外出を控えているため景気悪化に拍車がかかっている。陳茂波財政官は26日、現金給付について「地域の消費を刺激し、市民の経済的負担を軽減するため」と説明した。
 
予算案は1391億香港ドル(約1兆9700億円)の赤字で、積立金を取り崩して補う。陳氏は「財政赤字は今後5年は続く」との見通しを示した。【2月26日 毎日】
**********************

効果のほどはわかりませんが、14万円もらえば一定に消費刺激効果はあるでしょう。潤沢な積立金がある香港だからできる措置でもあります。巨額債務残高を抱える日本では・・・・。

なお、2020年度の予算案では“昨年から続く反政府デモの抑え込みを強化するためとして、警察予算を前年の当初予算案より約25%増と大幅に増やした。民主派は「今回の予算案の中で最大の勝者は警察だ」として反発を強めている。”とのことで、抗議デモ封じ込めの姿勢は変わらないようです。

【コロナで沈静化した抗議デモ 火種は残る】
その抗議デモの方は、さすがに新型コロナウイルスの問題があって沈静化していましたが、先日、久しぶりに実施されたようです。

****香港デモ115人逮捕 新型コロナ、防疫対策に不満****
香港で二月二十九日夜から三月一日にかけて、新型コロナウイルスの感染拡大後では最大規模となる政府への抗議活動があり、香港警察は一日、デモ参加者のうち十五~五十四歳の百十五人を逮捕したと発表した。香港メディアが報じた。
 
「逃亡犯条例」改正案をきっかけに昨年六月から続く反政府デモは、新型コロナウイルスの感染拡大で下火となっていた。

感染者の増加に伴い政府の防疫対策に対する不満が募り、市民の怒りに再び火が付いた形だ。

一方、米中貿易摩擦、デモ、新型肺炎の三重苦で香港経済が落ち込む中、政府は「経済的損失」を理由にデモ収束を図る構えだ。
 
昨年八月三十一日の大規模デモから半年になるのに合わせて、市民らが二十九日夜、インターネットの呼びかけに応じて九竜地区に参集。一部が警官に火炎瓶やれんがを投げ、警官は催涙ガスで応戦した。一日には数十人の市民が新型コロナウイルスの感染者を診察する病院前で火炎瓶を投げた。
 
香港政府の陳茂波(ちんもは)財政官は一日のテレビのインタビューで「反政府デモが続けば香港のビジネス環境に対する外国人投資家の信頼を失う」とデモ隊に警告した。(後略)【3月3日 東京】
********************

上記のような散発的抗議行動はあるにしても、基本的には、今のところ抗議行動は沈静化しており、香港・台湾戦略の失敗、新型コロナウイルス感染の蔓延と痛手続きの習近平政権にとっては、数少ない朗報でしょう。

ただ、香港市民の怒り・不満が解消した訳でもありませんので、新型コロナが沈静化すれば再び・・・ということも考えられます。

****新型ウイルスで打撃受けた香港デモ、収束するも住民の怒りは今もやまず****
新型コロナウイルスは、香港の民主派によるデモの終結という思いがけない贈り物を中国政府に手渡した――だが、香港の高校生であるサムさんのようなデモ参加者は、再び路上へと戻る前に英気を養うチャンスと捉えている。
 
逮捕される恐れがあるため本名を名乗るのは断ったサムさんは、「私たちの多く、特に最前線に立つ人々は、少しだけ休息が必要だ」と話す。
 
人々が機動隊と衝突を繰り広げ、傘を盾代わりにして壁となり、催涙ガスから身をかわしていた数か月の後、サムさんは今、小さなアパートで身をかがめ、学校の宿題やビデオゲームをしながら過ごしている。

「この休みがあって初めて、自分がどれほど(精神的に)参っていたかに気付いた」「とは言ってもこれまでと同じように、路上に戻って闘い続ける意欲がある」
 
気がめいるような年明けを迎えるはずだった中国政府および香港に駐在する幹部たちにとって、7か月間に及んだ大規模デモの終結という思わぬ幸運に恵まれた。
 
中国中部で新型コロナウイルスが現れ始めた頃、香港の活動家が疲弊して逮捕者が大幅に増加する一方で、抗議デモは弱まっていった。
 
さらにウイルスが流行して人々が人ごみを避けるようになり、デモは終幕を迎えることになった。
 
だが今も住民の怒りが渦巻く香港では、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官や中国政府のいずれもが数年にわたって怒りに火を注いでいた問題に取り組めておらず、ウイルスの流行が衰えを見せたならば、再び容易に政情不安に陥ると予想する声も多い。

■「まだ終わっていない」
嶺南大学に所属する専門家、袁瑋熙氏は、「政府は、抗議デモがやんだと思っているかもしれない。だが、一連の抗議活動の視点に立てば、非常に根本的な要求の一部がまだ満たされておらず、人々の怒りが消え去っていないがゆえに、まだ終わっていない」と指摘する。
 
新型ウイルスへの対応をめぐって林鄭長官率いる政権は、新たに多くの支持者をほとんど勝ち得ることはできず、支持率は過去最低の水準のままだ。
 
同長官が当初、中国本土との境界の閉鎖にした二の足を踏んだことについては、政界における親中派の僚友たちからも批判の声が相次いだ。また、2003年に死者を出した重症急性呼吸器症候群の流行を経験していたにもかかわらず、十分な数のマスクを政府が備蓄できていなかったことについても、怒りの声が上がった。
 
香港で新型ウイルスの感染者が確認されて以降に発生した主要な抗議デモは、感染が疑われる人を隔離して検疫を行う臨時施設に反対する地元住民の集会、および中国本土との境界の封鎖を要求したデモの2度のみだ。(中略)

「双方(の出来事)とも、政府への深い不信感から発している」とし、林鄭長官の政権が「現実から遊離し、住民の声に耳を傾けるのを欲しない」との印象を与えていると話した。

■新たな戦略
その一方で、新型コロナウイルスの流行により、暴力沙汰を伴った路上での集会に代わるものとして、民主派デモの支持者らはすでに検討されていた新たな戦術─労働者の示威行為─の感触を得た。

「完全自由市場」の殿堂である香港では、労働運動は無力で、香港最大の労働組合は頑強な親中派の第一線を張る。
だが抗議デモで多くの人が逮捕されたことを受け、民主派の労働組合員数は急増。
 
先月には、新たに結成された医療関係者の労組の組合員が多数、中国本土との境界の閉鎖を求めて1週間にわたりストライキを実施した。政府はその後、本土との境界をほぼ閉鎖したものの、示威行動に屈したとの見方については否定した。
 
しかし、暴力沙汰が消え去ったからといって、中国政府が譲歩しようとしていることを示唆するものほとんどない。
 
中国政府の香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室には、強硬派の当局者2人が配置された。うち一人は、中国本土におけるキリスト教取り締まりの急先鋒として知られている。
 
習近平中国国家主席はまた、争点と化して抗議行動を招いた、愛国教育と扇動を取り締まる条例の香港への導入に対して支持を示唆。
 
また専門家の多くは、新型ウイルスの流行が、最善のシナリオでは4月もしくは5月に抑え込まれると予想しており、そうなれば林鄭長官と中国政府とっては一安心となる。
 
だがそれは、ちょうど抗議運動が始まってから1年を迎える6月に合わせて、抗議活動を解き放つことにもなり得る。
 
サムさんは、「一連の抗議デモが香港を根本的に変えてしまった」と指摘。「近いうちに消え去ってしまうことはない」と語った。 【3月7日 AFP】AFPBB News
********************

もっとも、半年近い沈静期間、経済的ダメージの深刻化は、抗議行動再開にとっては高いハードルにはなるでしょう。香港政府あるいは中国政府の何らかの施策が、香港市民の怒りを掻き立てる起爆剤となれば別ですが。

一方で、下記のようなニュースも。

****香港で爆弾押収、17人逮捕****
香港メディアによると、香港警察は7日から8日にかけて市内22カ所を家宅捜索し、手製爆弾3個と計2・6トンの化学品を押収、21歳から53歳までの17人を逮捕した。
 
警察は、1月下旬から2月上旬にかけて出入境施設など3カ所で起きた爆弾事件の捜査を進めていた。香港では爆弾関連事件の摘発が増えており、警察トップの●(=登におおざと)炳強警務処長は「テロに近づきつつある」として警戒を強化している。【3月9日 産経】
******************

爆弾闘争のような過激化は、一般市民を抗議行動から遠ざけるだけでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バッタによる「蝗害」 東アフリカから南アジアに拡大 70年に一度の危機 コロナとバッタで混乱拡大

2020-03-08 22:16:52 | 食糧・飢餓

(ケニアの牧場でバッタの大群を追い払おうとしている男性(2020.2.22)【3月7日 六辻彰二氏 YAHOO!ニュース】 とても対応できる状況には思えませんが・・・)

【昆虫食は人類を救うが・・・・】
日本でもイナゴを食べる地域がありますが、中東・クウェートでもイナゴが“冬の味覚”だそうです。

****クウェートの冬の味覚「イナゴ」、栄養豊富なたんぱく源****
中東クウェートでは栄養価の高いイナゴが珍味とされ、焼いたり乾燥させたりして食べられている。だが、消費量は徐々に減ってきており、とりわけ若者たちの中にはイナゴを食べることに嫌悪感を抱く人が多い。
 
ジャーナリストのモウディ・ミフタフさん(64)は、「あの風味が好き。子ども時代の思い出の一つだし、祖父や父を思い出す」と熱っぽく語る。
 
ミフタフさんは毎年、冬の到来を待ってイナゴを買いだめし、自分で料理する。キッチンに立ち、沸騰しただし汁の中に1袋分のイナゴを投入する。イナゴはすぐに赤くなり、羊肉のシチューのような香りがキッチンを満たす。30分ゆでれば完成だ。
 
カリカリとした食感を加えたい場合にはイナゴを焼いてもいいし、乾燥させれば1年中楽しめる。だが、ミフタフさんの家族の大半は、かなり前からイナゴを食べなくなってしまったという。
 
イナゴは世界各地で消費されており、一部の地域では主食になっている。専門家らは、イナゴはエネルギー効率の良い優れたたんぱく源だと説明する。
 
クウェートでは毎年1月になると、サウジアラビアから届くその冬最初のイナゴが市場に並ぶ。イナゴは独特の赤い袋に入れられ、250グラム単位で販売されている。
 
イランのアフワズ出身のアブ・モハメドさん(63)は、普段はクウェート市北西部のライ市場で魚を売っているが、この時期になるとイナゴとトリュフを売る。「イナゴは(飛ばずにじっとしている)冬の夜に捕獲される」といい、味は「エビ」に似ていて「新鮮なものは非常に美味で、特に卵を抱えた雌の味は格別」だと言う。
 
モハメドさんは1月から4月までのシーズン中、約500袋を販売する。1袋の価格は、3~5クウェート・ディナール(約1100~1800円)だ。
 
一方、当局はイナゴが汚染されている懸念があることから消費を禁止しようと模索しているが、今のところ実現していない。またイナゴは繁殖力が強く、大群となって作物に被害を与えるため、一部の国々では殺虫剤を使った処分を余儀なくされている。【3月7日 AFP】
*******************

昆虫食が人類の将来の食糧難を救うという話はときおり聞きますので、イナゴはその代表格でしょう。

【東アフリカから中東、更には南アジアへ】
ただ、「繁殖力が強く、大群となって作物に被害を与える」ということで、逆に人間の食糧を食い尽くしてしまう「蝗害」も起きています。

イナゴではなくバッタになると、その被害も更に大規模になり、古くは、モーセが虐げられていたユダヤ人を率いてエジプトから脱出する物語を中心に描かれ旧約聖書「出エジプト記」にも出てきます。

東アフリカで(イナゴではなく)バッタが大発生し、農作物を食い荒らし、深刻な食糧危機の恐れがあるという話は、2月10日ブログ“東アフリカ  拡大するバッタの「蝗害」 食糧難に拍車”で取り上げましたが、その後もバッタ(正確にはサバクトビバッタ)は風に乗って海を渡り、インド・パキスタンでも被害が広がっています。

サバクトビバッタは「1日150キロメートルの移動が可能で、毎日自分の体重に相当する約2グラムを食べる」そうで、被害は「今年6月まで続く見通し。その頃、群れの規模は現在の500倍になっている可能性がある」とも。【3月5日 レコードチャイナより】

****パキスタンでバッタ大量発生 過去30年で最悪の作物被害****
パキスタンでバッタが大量発生し、国内の農業地帯では過去30年間近くで最悪の被害が出ている。特に農業の中心地で作物が壊滅的な打撃を受け、食料価格の急騰を招いている。
 
国連は、アラビア半島を昨年襲った豪雨とサイクロンが「前例のない」バッタの繁殖を促したと指摘している。

このバッタの大群は、東アフリカからインドにかけて広がり農地に大きな被害をもたらした後、イランを通ってパキスタン南西部の砂漠地帯から同国へ侵入。パキスタン政府は深刻な被害を受けて全土に緊急事態を宣言し、国際社会に緊急援助を要請した。
 
パキスタン南部シンド州では、換金作物である綿の壊滅的被害が懸念されている。州都カラチ付近では全体の半分の作物が被害を受けている。
 
また北東部パンジャブ州の当局は、被害を受けた地区に殺虫剤を散布するなど「駆除対策を開始」したと明らかにした。

有害な煙霧が広がる中、毎日村人らは1キロ当たり20パキスタン・ルピー(約13円)の報奨金のために農地でバッタの死骸を集めている。しかしこの作業は時間がかかる上、1か所の農地でバッタを駆除している間に、別の農地の作物が壊滅していることも多い。
 
また当局が使用する殺虫剤は食べる上で危険なため、バッタを駆除しても残った農作物も廃棄しなければならない。殺虫剤の散布の順を待つ間、苦肉の策として鍋を叩いて叫びながらバッタを追い出そうとする農家もある。
 
ムハンマド・ハシム・ポパルザイ食料安全保障・研究相は、中国の専門家らによるチームが今回の危機を調査するためにパキスタンに到着したとAFPに明らかにした。

中国はより迅速で効果的な害虫駆除方法として、殺虫剤の空中散布を申し出る可能性もあり、またパキスタンが中国から殺虫剤を輸入する可能性もある。
 
パキスタンの農業は長い間干ばつや水源の縮小に直面してきた。経済は12年連続で高インフレ率にあえいでおり、過去1年間では砂糖の値段が2倍近く、小麦粉の値段は15%上昇した。
 
パンジャブ州ピプリ・パハール村の農業従事者らの多くは、バッタの駆除対策を講じるには遅すぎると感じている。ラフィヤ・ビビさんは牛と一緒に小麦畑の隅に座り、周囲に殺虫剤がまかれるのを眺めていた。
 
ビビさんは政府から4万5000パキスタン・ルピー(約3万円)を借り入れ、菜種、ヒマワリ、トウガラシ、タバコなどを購入したが、バッタの大群はすでにこれらの作物を台無しにしてしまった。収穫できなければ借金を返す方法はないという。 【3月8日 AFP】
******************

“当局が使用する殺虫剤は食べる上で危険なため、バッタを駆除しても残った農作物も廃棄しなければならない”・・・だったら、農民は何のために殺虫剤を散布するのでしょうか?

【中国のパキスタン「蝗害」支援 単に「一帯一路」の問題ではなく、中国の水際作戦でも】
その疑問はともかく、記事にもあるようにパキスタンとの関係を近年強めている中国が支援を申し出ています。

****中国、蝗害に見舞われたパキスタンを緊急支援へ*****
中国のバッタ防止・制御の専門家チームがこのほど、パキスタン・カラチでの記者会見で、中国はこのたび、サバクトビバッタの大量発生(蝗害)に見舞われているパキスタンに対し、包括的な緊急支援を実施したことを発表した。
 
バッタの大群は、これまでに農地数百万エーカーに被害をもたらし、パキスタンの食料安全保障に対する深刻な脅威となっている。
 
この状況に対し、同チームの首席専門家の王鳳楽氏は、中国政府は非常に重視し、状況分析と対応策を講じたうえ、緊急支援を行ったと述べた。(中略)

(国連食糧農業機関(FAO)でパキスタンにおけるバッタ対策を担当するム)アフマド氏はまた、「昨年10月末から11月にかけて、バッタの大群がタルパカール砂漠に舞い戻り、卵を産んだ。卵は今後数か月のうちに大きな脅威となる恐れがある。なぜなら、卵がふ化すれば、バッタの数は数十倍以上に膨れ上がるからだ。そうしたら、パキスタンは大きな課題に直面することになる」と警鐘を鳴らすように述べた。
 
パキスタンの公式統計によると、この9か月の間に、3000万エーカーの土地が蝗害に見舞われたが、殺虫剤が散布できたのはその100分の1しかなかった。
 
東部パンジャブ州と南西部バルチスタン州、北西部カイバル・パクトゥンクワ州も蝗害の影響を受け、パキスタンのイムラン・カーン首相は今月、国家非常事態を宣言した。中国に支援を求めるよう食料安全保障研究省に命じた。
 
中国農業農村部国際協力局の徐玉波氏は記者会見で、中国のバッタ防止・制御に関する技術と経験は、パキスタンのニーズに十分に応えると語った。さらに中国には、最先端の予防・制御技術や器具、人員のトレーニング、早期警戒プラットフォームなどの分野で協力する用意があると説明した。【3月6日 Xinhua News】
**************

中国の世界戦略「一帯一路」にとってパキスタンは要となる国ですから、中国のパキスタン支援は当然の対応でもありますが、中国にとっても他人事ではないようです。

****バッタの大群が中国に侵入?当局が緊急通知―仏メディア****
中国国家林業・草原局は2日、中国がバッタ侵入の危機にさらされているとして徹底的な予防措置を求める緊急通知を出した。仏RFI中国語版サイトが同日付で報じた。 

記事によると、同局は「サバクトビバッタ」について、「すでに東アフリカからインド、パキスタンに広まっている」と指摘。中国国内に侵入して被害が起きるリスクは比較的低いという専門家の見解に言及する一方、いったん侵入すれば抑制困難など多くの不確定な問題に直面すると危機感を示した。 

バッタは中国の草原地域に広く分布しており、草原における毎年の蝗害(こうがい=イナゴ・バッタ類による被害)面積は平均10万平方キロメートルに上るという。(後略)【3月5日 レコードチャイナ】
******************

風土上の違いで日本ではバッタによる「蝗害」はありませんが、中国ではこれまでも大規模な「蝗害」が発生しています。

【コロナに加えてバッタ アジアの混乱の影響は日本にも】
おりしも新型コロナウイルスが猛威をふるっていますが、疫病に加えて蝗害・・・「この世の終わり」とか「人類に対する神の怒り」といった類の反応が見られても不思議ではないところです。実際、欧米メディアにはそうしたセンセーショナルな反応も見られるとか。

****コロナに続くもう一つの危機――アフリカからのバッタ巨大群襲来****
国連の食糧農業機関はその大発生の規模を「70年に一度」のものとも表現している
これによって懸念される食糧不足は人道危機であるばかりか、新型コロナの影響を受ける日本のサプライチェーンをさらに揺さぶりかねない
 
新型コロナに揺れるアジア諸国にもう一つの危機が迫っている。アフリカから飛来し、各地で農産物を食い荒らしてきたバッタの大群が、中国西部にまで接近しているのだ。 

コロナ蔓延に続くバッタ来襲
(中略)一口にいえば、このバッタの大群は東アフリカで大発生し、アジアにまで飛んできたものだ。 
 
このバッタは乾燥地帯に暮らすサバクトビバッタで、基本的に日本にはいない種類のものだ。より詳しくは昆虫学者に譲るが、生息環境の変化などに応じてサバクトビバッタの外見や行動パターンには変化が生まれ、集団で行動するようになると、風に乗って1日に100〜200キロも移動しながら、行く先々で穀物や果物を食い荒らす。 
 
1平方キロメートルに集まるサイズの比較的小さな群でも、1日あたりで人間3万5000人とほぼ同じ量を食べるといわれる。 

70年に一度の危機
その大発生は、新型コロナとほぼ時を同じくして始まった。 

新型コロナが問題になり始めていた2月2日、東アフリカのソマリア政府はバッタの大量発生で食糧危機が発生しつつあると緊急事態を宣言。これと前後して、バッタの被害は東アフリカ一帯に広がり、国連の食糧農業機関(FAO)はソマリアでは25年、隣国ケニアでは70年に一度の危機として緊急事態を宣言した。 
 
その後、バッタの大群は紅海を越えてアラビア半島に至り、さらにペルシア湾を超えてアジアにまで飛来するようになった。 
 
3月6日段階で、FAOは東アフリカ8カ国、中東5カ国、南アジア2カ国(アフガニスタン、パキスタン)で新たな群を確認している。 
 
このうち、パキスタンの北東には中国の新疆ウイグル自治区がある。つまり、バッタの大群は西からの風に乗って中国にも押し寄せる可能性がある。先述の中国のパキスタンに対する支援は、単に外交的な関係に基づくものではなく、いわば自己防衛のための水際対策でもあるのだ。 

スーパーコンピューターを用いた駆除
サバクトビバッタはこれまでにもしばしば大発生してきたが、今回の場合、昨年末に東アフリカ一帯で雨量が多かったことが原因とみられている。サバクトビバッタは雨量が多いと大量に発生しやすい。 
 
ところで、東アフリカではサバクトビバッタの産卵シーズンだった昨年10月から11月にかけて、降雨量が例年の約3倍に達したといわれる。これが地球温暖化の影響によるものかは、いまも科学者が研究中だ。 
 
ともあれ、この大雨がサバクトビバッタの大発生を促したとみられるのだが、これに対して各国も無策というわけではない。イギリスの支援で設立されたアフリカ天候気象情報センターではスーパーコンピューターを用いてバッタの行動範囲などを計算し、この情報に基づいて、時に軍隊まで動員しながら、アフリカ各国は効率的な駆除を試みている。 

新型コロナに手を貸されるバッタ
しかし、それでもバッタの大群は各地に飛散し続けており、それは大きな被害をもたらし得る。 
 
2003年から2005年にかけても、アフリカや中東の20カ国以上でサバクトビバッタによる蝗害が広がった。この時のFAOの報告書によると、対策のためにかかった経費は総額4億ドルを上回り、西アフリカ6カ国だけで838万人が食糧不足などの影響を受けた。 
 
今回、FAOは各国に約1億3800万ドルの資金協力を呼びかけている。少なくとも現状で金額だけ比べると、15年前より規模は小さい。 
 
しかし、今回の場合、タイミングが悪すぎる。ただでさえアフリカの問題は各国の関心を集めにくいが、新型コロナで各国の景気は冷え込んでいる。そのため、寄せられた支援は3月3日段階で5200万ドルにとどまる。 
 
つまり、前回より各国の手が回らない状況は、バッタの大群にとって勢力を広げやすくする要因になる。いわば新型コロナがバッタに手を貸しているともいえる。 
 
対応が間に合わなければ、その影響は各方面におよぶ。アフリカから中東にかけてはテロが横行し、紛争の火の手が各地であがっているが、食糧不足による社会の混乱はこれに拍車をかけかねない。
 
アジアに迫る影
そのうえ、今回はアジアも無縁ではない。 
 
2003〜2005年の場合、最終的にはサウジアラビアなどアラビア半島でもサバクトビバッタの来襲は確認されたが、それまでに1年以上の月日を費やした。発生したのが西アフリカで、中東に達するまで距離と時間がかかったからだ。 
 
しかし、今回は東アフリカが発生源のため、15年前より早くアラビア半島を通過し、すでにアジアにその影をみせ始めている。 
 
アフリカと比べても人口過密なアジアでバッタが農作物を奪えば、食糧危機が発生するリスクはさらに高い。

そのため、例えばパキスタンと隣接するインドでは、政府がドローンや殺虫剤などの調達を強化している。また、インドはもともとパキスタンとの間でカシミール地方の領有を巡って緊張が高まっていたが、バッタの来襲を受け、協力に向けた協議を進めている。 
 
気候などの問題から、サバクトビバッタが日本にまで飛来してくる可能性は限りなく低いかもしれない。 
 
しかし、今回の大発生は人道危機であるだけでなく、日本にも直接かかわり得る。

アジアは中東やアフリカと比べて日本経済により緊密に結びついており、この地域で生産が滞れば、ただでさえ新型コロナでダメージを受けている日本のサプライチェーンは今よりさらに停滞しかねない。 
 
旧約聖書には、神の怒りに触れた古代エジプトで、病気の蔓延やバッタの大発生といった災禍が相次いだという記述がある(出エジプト記)。これを踏まえて、欧米メディアのなかには「世界の終わり」といったセンセーショナルな見出しを煽るものさえある。 
 
筆者はそこまで信心深くはない。しかし、バッタの来襲で食糧事情が悪化すれば、新型コロナですでに高まっていた国家間の緊張がさらに高まることは想像に難くない。少なくとも、バッタが日本にまで来なければ無関係、といえないことは確かなのである。【3月7日 六辻彰二氏 YAHOO!ニュース】
*******************

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする