【沈静化する中国、韓国もピーク超えた? 日本は?】
新型コロナウイルス感染は欧米で急速に拡大する一方で、中国では沈静化の傾向にあり、外国からの流入を警戒する状況になっています。また、韓国でもひと頃に比べると拡大のペースが落ちています。
****中国 新たな感染者19人 3日連続で50人下回る 新型ウイルス*****
新型のコロナウイルスの感染の広がりについて中国の保健当局は9日に国内で新たに感染が確認された人は19人だったと発表しました。
新たな感染者は3日連続で50人を下回っていて中国当局は海外からの流入に警戒を強め、水際での対策を徹底する姿勢を示しています。(中略)
新たな感染者のうち17人は状況が最も深刻な湖北省武漢で確認され、ほかの2人は海外からの入国者だとしています。また、湖北省では新たに17人の死亡が確認され、中国での死者は3136人となりました。
国内での新たな感染者の数が減少傾向にあるなか、李克強首相が9日開いた会議では「国内の状況は改善に向かっているものの、依然として複雑であり、再び感染者が増加に転じることは絶対に防がなければならない」と強調しています。
そのうえで会議では「北京など出入国の多い場所ではきめ細かい対策を行わなければならない」として海外からの流入に警戒を強め、水際での対策を徹底する姿勢を示しています。【3月10日 NHK】
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****中国湖北省、一部地域の住民に移動許可も=政府系メディア****
中国湖北省は、新型コロナウイルスの感染リスクが低・中程度の地域の住民を対象に移動を認める計画を検討している。(中略)
報道によると、湖北省は移動を許可するに当たり、国内の多くの地方当局がここ数週間に導入しているモバイル端末ベースの監視システム「ヘルスコード」を用いる可能性がある。【3月10日 ロイター】
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モバイル端末ベースの監視システム「ヘルスコード」・・・・何やら、不気味な感じもある「監視」システムですが、その手の話はまた別機会に。
****韓国の新規コロナ感染者 1日100人台まで減少=計7513人****
肺炎を引き起こす新型コロナウイルスを巡り、韓国の中央防疫対策本部は10日、この日午前0時現在の韓国での感染者数は計7513人だと発表した。感染者は前日午後4時の時点から35人増え、前日午前0時の時点からは131人増えた。
また、死者は前日午前0時の時点から3人増え、計54人となった。
1日当たりの新たな感染者の発生数は、先月25日以来2週間ぶりに100人台に減少した。一時は連日400人を超えていた。(後略)【3月10日 聯合ニュース】
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ピーク時は900人増ということもあったことからすれば、かなり落ち着きを示す数字のように思われます。
日本の状況は、10日10時半時点で、感染者は前日比30人増、死者は2人増となっています。
(冒頭の、NHK調べの表を参照)
国内感染者数510人、死亡者数9人という数字は、中国はもちろん、韓国と比較してもかなり低い数字であり、ここ数日の1日ごとの新規感染者数もやや低下傾向を見せています。(これが今後も続くのかどうかは不明)
安倍首相は2月24日に公表した見解で、「これからの1~2週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際となる」と危機感を訴えましたが、すでに2週間が経過しました。
その後も首相は発言のたびに「ここ1~2週間が」といったことを繰り返しており、いったいいつが判断時点なのか判然としませんが、まあ、上記のような感染状況をどのように判断するのか、首相ならずとも難しいところでしょう。
【日本の感染者数は信頼できるのか?】
****日本の新型ウイルス感染状況、一定程度持ちこたえている=専門家会議****
新型コロナウイルス対策に関する政府専門家会議は9日夜の会見で、現時点での日本の感染状況について「爆発的な感染状況には進んでおらず、一定程度持ちこたえている」との判断を示した。
ただ、感染者数は当面増加傾向が続くと予想されるため、警戒を緩めることはできないとした。【3月9日 ロイター】
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上記の感染状況を示す数字をそのまま見れば、確かに「一定程度持ちこたえている」とも言えるでしょう。
ただ、日本の場合は韓国のように徹底した検査が行われている訳でもなく、その状況での「感染者数」をどのように解釈していいか疑問もあります。
****感染「爆発的でない」と日本の専門家、中国ネット「で、検査数は?」****
新型コロナウイルスへの対応を協議する日本政府の専門家会議が9日の会合で「(日本国内では)爆発的な感染拡大には進んでいない」との見解を示したことに、中国版ツイッター・微博(ウェイボー)上で大きな反響があった。
専門家会議は「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度持ちこたえている」との見方を示した。一方で、新型コロナウイルスはインフルエンザのように暖かくなると消えるものではないとし、数カ月から半年、あるいは年明けまで対応が続く可能性があるとも指摘した。
微博で2000万以上のフォロワーを持ち、日本の情報を発信しているブロガー「小野妹子学吐槽」さんらがこれを伝えると、中国のネットユーザーからは大きな反響があった。
最も多くの共感を集めているのは「彼らの対応方針であれば、来年まで続くのは正常ではないか」というコメントだ。中国のネット上ではこれまでにも、「日本はもっと厳しく対応した方が良い」との意見が相次いでいた。
また、日本でPCRなどの検査が十分に行われていないと指摘する声も多く、「お尋ねしますが、今日はどのくらい検査したのですか?」「持ちこたえている? 。検査しないことを持ちこたえている?」「検査しなければ(数字上は)コントロールできる」「韓国のように1日に何千件も検査して爆発するかどうか試しては? 。韓国を褒めるわけじゃないけど」などのコメントも並んだ。
このほか、「五輪のため(に感染者数を抑えよう)というのは理解できるが、各国が日本に来られるかどうかも問題」「頼むから検査してほしい。五輪は秋に延ばせるかもしれないが、遅れたら終わり。アジアでの五輪開催はアジアにとって良いことだから」といった声も上がっている。【3月10日 レコードチャイナ】
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素人考えでも、「検査していないのだから、感染者が増えないのは当然ではないか」という疑問があります。
徹底した検査を行っている、また、日本と同程度の医療水準にある韓国が、感染者数7513人に対し死者が54人ですから、一定の重症化確率を前提にすれば、日本で国内の死者(クルーズ船を除き)9人ということは1250人程度の感染者がいても不思議ではないでしょう。(と言うか、510人のレベルなのが不思議 日本が異様に死亡率が高いことにもなります)
同様の疑問が国内でも示されています。下記は若手脳神経外科医の投稿です。
****日本だけ異様に新型コロナウイルス感染者死亡者が少ない印象が、、、 1*****
日に日に増えている日本での新型コロナウイルス感染者数ですが、諸外国に比べるとかなり少ないという印象にあります。現時点ではクルーズ船を除けば、400人程度の感染者数と発表されています。(中略)
諸外国、まあ、発生源である中国は別として、イタリアが感染者およそ4600人の死亡者197、韓国が感染者6800の死亡者44となっています。
これらと比べると、クルーズ船を除いた日本の感染者数は1/10以下、死亡者数についても日本だけは6名と、少ない方向に桁が違うわけです。
何故、これほど報告に差が出ているのでしょうか。
正直なところ、日本で出ている数字が実態を示しているとは考えにくいのではないかと思ってしまいます。
まず感染者数から考えてみます。
韓国と日本への中国からの流入者にそれほど大きな差があるとは思えませんし、人口密度や国民の衛生への習慣に大きな差があるとは考えにくいです。
韓国では新興宗教の集会が感染爆発の要因とされましたが、日本でも規模は違えどライブハウスでの感染など似たようなことが起きています。
イタリアはどうでしょうか。観光者は多いにしても中国からの流入者数が日本より多いかというと、そうとは思えませんし、政府は早くから中国からの入国制限を行っています。
ヨーロッパの人はマスクをあまり好まなかったり、スキンシップが普段から多いと言えばそうかもしれません。
しかし、政府の対応については日本よりずっと厳しいように思います。
こういったことを考えると、日本だけ桁違いに感染者数の報告が少ないのは、やはり検査が行われ診断された方が少ないだけのように思います。
わかっていないだけで本当は日本にも同じくらいの感染者数がいてもおかしくないように思うのです。
中国が発表する数字は信じられない、というコメンテーターの発言がありますが、日本で発表している感染者数が実態を伴っているのか?というと、かなり疑わしいです。
世界から日本がどうみられているかというと、潜在的には韓国イタリアと同様に感染者数が増えていると見られている気がします。各国の日本からの流入者に対する対応をみているとそれは明かです。
日本でPCR検査数が少ないことについては、今まで散々メディアで指摘されてきたのでここでは特に述べませんが、やはり実際の保健所の対応をみていても、これまでは医者が怪しいと思った患者さんでも検査を断られることがあったようです。
次に、死亡者数について考えてみます。【3月8日 名月論氏 BLOGOS】
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【死亡数への疑問も】
まあ、それにしても死者9人なら韓国やイタリアに比べて、(たとえ感染者数が1000人超であったにしても)いずれにしても低い水準にあると思えます。
しかし、上記名月論氏は死者数についても疑問を投げかけています。
****日本だけ異様に新型コロナウイルス感染者死亡者が少ない印象が、、、 2****
(中略)前回、感染者数に関してイタリアと韓国との比較を考えたときに、日本の数字は実態より少なすぎるのではないかと考えました。
死亡者数についてはどうか?ということになりますが、これも私は同様だろうと思っています。
まず、実際に私が外勤先のアルバイトで聞いたエピソードを一つ紹介します。
2月中のことですが、普段から高血圧に対する降圧薬を処方していた高齢の女性患者さんの一人が、本来であれば1月に受診しなければ薬がなくなってしまったはずなのに、2月の中旬までいらっしゃいませんでした。
なにかあったのですか?と聞くと、「夫が肺炎で入院して亡くなったんです」と診察室で涙ぐみながら教えてくれました。(中略)
あのクリニックはもう信じられなくて、と夫人は言いますが、私はそれよりも何か背筋がぞっとしました。
それは、肺炎の原因が新型コロナウイルスだったとしても別におかしくはなかったからです。
何か肺炎の原因はその後わかったのですか?と聞くと、なにせ急に亡くなってしまったので詳しいことも分からなかったようです、とのことでした。
この肺炎が新型コロナウイルスが原因だったかどうかは分かりませんし、今後も明らかになることはありません。
しかし、このケースからはっきり言えることが一つあります。
それは、急激に悪化した肺炎による呼吸障害で亡くなった患者さんについて、特に原因検索がなされていない本例のようなケースが全国で多数あるのだろうということです。
特にこの話を聞いたのは2月の中旬頃で、その医療機関のある都道府県では新型コロナウイルスの感染者数がまだそれほど見つかっていませんでした。
総合病院でこの患者さんを診た医師の頭にもあまり新型肺炎の可能性は浮かばなかったかもしれません。
しかも入院中に急激に呼吸状態が増悪して死亡してしまった場合、死亡した後に詳細な検査をするかというと、しない場合が多いのではないかと思います。
日本人の心情として、誰か身内が亡くなったあとにそのご遺体を詳しく調べるということを望む方は少ないです。
医療従事者の側もあまり積極的に病理解剖や検査などを勧めない場合が多いのが事実です。
真実の追求より、精神的負担をかけないことを優先することがあります。
特に、今回の新型コロナウイルスに関しては、もし実際に亡くなった家族が陽性となったら?ということを考えると、今の国内の状況では一例ごとに知事の記者会見が行われるなど大騒ぎになるのが目に見えていますし、自身の生活に及ぶ影響を考えてしまって、あえての検査を望まない遺族が多いように思います。
PCR検査を行うかどうかに現状、法的な強制力はありません。あくまで医師の判断によるものですから、家族が望まなければ無理に検査するのはやめようとなることもあるかもしれません。
それが現実のように思います。
何が言いたいかというと、実は新型コロナウイルスで亡くなっていたにも関わらず、PCR検査が行われず、通常の肺炎として扱われたケースが少なからずあるのではないか、ということです。
実際には7名よりももっと多くの方がこのウイルスで亡くなっているのかもしれません。
そうすると諸外国と比べて死亡者数が桁違いに少ないのも納得がいきます。
日本の医療水準が極めて高いからでしょう!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
少なくともこと脳神経外科の分野などをみている限りでは、韓国やイタリア、中国の大都市と比較してそれほど差があるように私は全く思えません。【3月9日 名月論氏 BLOGOS】
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このあたりの話になると、名月論氏の指摘するような実態があるのかもしれないし、そうでないのかも・・・なんともわかりません。
願わくば、名月論氏の思い過ごしであって欲しいと思うのですが・・・。
なお、2009年の新型インフルエンザのときも、日本は世界各国に比べて著しく死亡率が低かったという実績がありますので、日本が特異な数字を示すこともあるようです。