今日はみんなで一緒に うまいお茶を飲もう刀を置いて 兜を脱いで 涼しい木陰で輪になって 楽しくお茶を飲もう
誰が敵とか味方とか 野暮なことは言わず
みんなでお茶を飲もう
このお茶はうまいぜ この湯飲みはいいぜ
血の色ばかり見てきた目にゃあ この緑がしみるだろう
「戦うオレってかっこいい」と思って
鉦や太鼓で踊らされて
戦場で何を見た？
戦いがこんなにも汚くて悲惨なものだなんて 誰も教えてくれなかった
わかった時にはもう遅かった
「大切な人を守るために戦うんだ」って
そんなに簡単に美化していいのか？
それですべてを正当化できるのか？
おまえが守らされたものは何だった？
そもそも
そんなこと言って煽り立てる奴らに限って安全地帯でぬくぬくだ
「みんなが戦ってる時にお茶なんかいれて」
そうさ
みんなが戦ってる時にうまいお茶をいれ続けることがおれの戦いなのさ
目を血走らせて憎み合い争い合ってる奴らに
思い出させてやるんだ お茶のいい香りを
乾いた心で戦場を彷徨う奴を 潤してやるんだ
恐怖と寒さに震えてる奴は お茶を飲んであったまれ
そうして人の心を取り戻したら
落ち着いて考えよう
あいつの命を奪ってまで 手に入れたいものって何だ？
おまえの命と引き替えにしてまで 守らなきゃならないものって何だ？
大切な人と離ればなれになってまで 戦う意味って何だ？
本当はもっと他にやりたいことがあったんじゃないのか？
誰かががなりたてた言葉じゃなく
おまえの頭で考えろ
陳腐な決まり文句はおいといて
おまえの心に訊いてみろ
今日はここで一緒に輪になって
みんなでうまいお茶を飲もう
争いを忘れて楽しくお茶を飲もう
明日もあさってもずっと
こうしてみんなで一緒に
うまいお茶を飲もう