豊田の生活アメニティ

都市デザイン、街歩き・旅行、くらし

コンパクトシティ

2008-10-18 | 気になる本
海道清信(2001)『コンパクトシティ』学芸出版社
コンパクトシティという言葉が流行っていますが、使われ方はまちまちです。人口10万人以下の都市であれば、そのままの単位でいいでしょうが、中都市、大都市ではいくつかの核があります。ベースにサスティナブルな思想が欠かせません。著者は早くからコンパクトシティの研究をすすめ、論点を整理しています。特に、10章の「日本的型コンパクトシティ」での「10の原則と3つのモデル」に、集約されていると思います。この本の実践的な事例を踏まえた続編もありますが、私はこの原則が重要だと考えます。以下、抜粋・要約します。(カッコ内は説明ないしは豊田市を想定した私のコメント)
①近隣生活圏で都市を構成する。面積は70~100ha、人口密度50~200で4000人~2万人を単位とする。(学区でいえば小から中学校)
②交通計画と土地利用との結合を強める。自動車に依存しないで、公共交通、徒歩、自転車などの利便性を高め、交通と土地利用の結合を強める。(豊田市は公共交通を重視する姿勢に変わりつつあるが、歩行者、自転車優先のまちづくりになっていない。土地利用と交通の結合、特に住宅と交通、公共施設配置と交通の結合は全く弱い。)
③都市センターゾーンを再生、持続させる。市街地の外延化を防ぐ。中心市街地は商業振興、市街地活性化計画に矮小化されている。(豊田市の都心には莫大な予算が使われ、綺麗になり、賑わいも出てきたが、計画への市民参加がなく魅力が少ない。)
④徒歩の時代の町割りを活かす。狭い街路や歴史的な町割りを活かす。(市駅の西は区画整理され、駅周辺は百貨店、ギャザビル、参合館、駅南は再開発で会社ビルとなった。竹生通りは電線地中化など綺麗になってきたが、通過交通となっている。北の再開発は保留した方がよいのでは?歴史的には樹木、常盤地区の再生、特に上挙母駅から美術館へのアクセス通路を整備することを提案したい。)
⑤アーバンデザインの手法で美しいまちをつくる。(景観計画の具体化でデザイン基準は専門家だけの検討でなく、公開のワークショップが必要である。)
⑥都市の発展をコントロールする。ストックを重視しフローを抑える。コルビジェの高層都市でもなく、ライトの低密度の分散都市でもない。(市街化区域の住環境整備の方針が必要である。職住近接の方針で、調整区域や都市計画区域外での大規模な新規開発を抑える必要がある。)
⑦自治体空間総合計画に基づく都市経営を進める。成長指向から質的充実を目指す都市づくり。土地の資産価値最大化から環境的、潜在的な価値の最大化。自治体レベルの政策統合、特別用途地区制度、地区計画の柔軟な活用。(人口減少期を踏まえ、成長路線の転換が必要。若者の正社員化による定住策が重要。総合政策の整合性だけで市民参加、議論が不十分。最大の弱点は市民参加の地区別計画がないことで、早急な作成が必要。)
 付け加えるならば、若者が住宅取得可能な賃金と職が確保でき定住できるか、地価が安定し住宅が保障されるのか、農林業を含めたものづくりと地域循環経済が確立できるのか、自治体の権限拡大と運営能力の公平性・公明性の担保など議論の余地も多いです。
コメント
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