善悪の配置を巧みにミスリード。
恐ろしい隣人を恐怖の核として作られた映画は何本もある。邦画でも今年香川照之がそんな役をやっていた。
いくつも作られるということは、少し切り口を変えれば通じる飽きの来ない題材と言えるのかもしれない。実際に本作もその類の話を予想した上で映画館まで足を運んだ。
シカゴからLAへ引っ越してきた夫妻の前に現れたのは夫の旧友を名乗る人物・ゴード。彼は夫妻の自宅を頻繁に訪れ、時には小さなギフトを玄関先に置いていくようになる。神出鬼没な行動やぎこちない人当たりが不気味さを醸し出し、次第に夫婦、特に妻のロビンの精神をむしばんでいく。
と、ここまでは予想どおりの展開。あとは、主人公を襲う恐怖に怯えながらサイコな旧友の討伐を楽しもうと身構えるだけだったのだが・・・。
この作品、実は仕掛けがある。
後半、生理的に驚かせるホラー要素は影を潜め、ゴードと夫・サイモンの間にかつて起きたことの謎を巡るサスペンスへと趣きを変える。
その謎の奥にあったのは、得体の知れない恐怖ではなく、対象者にとっては明らかに眼前で起きる物理的なハラスメントであった。
サイコ犯罪よりも遥かに高頻度で発生している日常の理不尽。些細なことであっても、それで人生のすべてを狂わされることだってある。
ゴードが夫妻にギフトを贈り続けたのは、本当に過去を洗い流したかったからなのかもしれない。ただ、そのチャンスは必然的に摘み取られ、ゴード渾身の最後のギフトへと繋がっていく。
繰り返しになるが、単純なホラーではない。誰も犠牲にならない(コイ以外は)し、血すら出ていないと言っていい。しかし、だからこそ、現実味を湛えたラストの各人への思い入れが深まったのだろう。
予想を覆す展開と、奇をてらわずに終始冷静な演出に徹した姿勢に感心した。
(75点)
恐ろしい隣人を恐怖の核として作られた映画は何本もある。邦画でも今年香川照之がそんな役をやっていた。
いくつも作られるということは、少し切り口を変えれば通じる飽きの来ない題材と言えるのかもしれない。実際に本作もその類の話を予想した上で映画館まで足を運んだ。
シカゴからLAへ引っ越してきた夫妻の前に現れたのは夫の旧友を名乗る人物・ゴード。彼は夫妻の自宅を頻繁に訪れ、時には小さなギフトを玄関先に置いていくようになる。神出鬼没な行動やぎこちない人当たりが不気味さを醸し出し、次第に夫婦、特に妻のロビンの精神をむしばんでいく。
と、ここまでは予想どおりの展開。あとは、主人公を襲う恐怖に怯えながらサイコな旧友の討伐を楽しもうと身構えるだけだったのだが・・・。
この作品、実は仕掛けがある。
後半、生理的に驚かせるホラー要素は影を潜め、ゴードと夫・サイモンの間にかつて起きたことの謎を巡るサスペンスへと趣きを変える。
その謎の奥にあったのは、得体の知れない恐怖ではなく、対象者にとっては明らかに眼前で起きる物理的なハラスメントであった。
サイコ犯罪よりも遥かに高頻度で発生している日常の理不尽。些細なことであっても、それで人生のすべてを狂わされることだってある。
ゴードが夫妻にギフトを贈り続けたのは、本当に過去を洗い流したかったからなのかもしれない。ただ、そのチャンスは必然的に摘み取られ、ゴード渾身の最後のギフトへと繋がっていく。
繰り返しになるが、単純なホラーではない。誰も犠牲にならない(コイ以外は)し、血すら出ていないと言っていい。しかし、だからこそ、現実味を湛えたラストの各人への思い入れが深まったのだろう。
予想を覆す展開と、奇をてらわずに終始冷静な演出に徹した姿勢に感心した。
(75点)
最近映画館から遠ざかっています。
ショッキングな映像や音響を使わずに恐怖を描き出すのは難しく、
よく練られた演出だと思いました。
主人公の人間性がはがれてくる様子も別の意味で興味深かったです。
こちら,エドガートンの監督デビュー作ということで。
なかなか才能のある方だなぁと思いました。
中盤から,がらりと見方が変わりますよね。
観終わったあとも,そういう仕返しだったのか!と
ある意味戦慄。
たしかに誰も死なないし血も流れないのに
怖いお話でした。
わりと繰り返し観てしまいそうな作品の一つとなりそうです。