「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

中津川リニアシンポジウム

2013年07月29日 | リニア新幹線
 昨日は中津川市で開催された、リニア新幹線沿線住民ネットワーク主催のシンポジウムに出かけてきた。地元の東濃リニアを考える会の皆さんがしっかり準備を進めてこられた成果か、スタッフも含めて242人もの人が集まり、また、これまで沿線ネットに加わっていなかった愛知県のグループの方も来られていて、運動の横のつながりが広がっていくことも期待された。
 プログラムは、まず広瀬隆さんと糸魚川淳二さんの講演、休憩を挟んで、沿線ネットの共同代表のお一人、川村晃生さんがコーディネーターとなって、講演のお二方とともにシンポジウムが行われた。
 広瀬隆さんからは「脱原発社会にリニアは必要か!」と題して、限られた時間の中で、資料に掲載されたたくさんのパワーポイントもどんどん飛ばしながらだったが、特に東濃という地域は地層処分の研究や、核融合の研究も行われているということで、山本太郎さんと一緒にドイツの地下1000メートルの処分場などを取材されたDVDの紹介もされて、熱のこもったお話をいただいた。
 糸魚川淳二さんからは、「リニア予定地(東濃)の地質とシデコブシ自生地」と題して、東濃の地形地質のあらましを写真を交えて紹介され、ここにリニアが通ることの問題点を、活断層、ウラン鉱床、シデコブシやハナノキなどの希少種が自生する湿地の存在などを挙げてお話をいただいた。最後に言われた、「つくるということは壊すということ。間違いなく自然を壊すし、私たちの暮らしも壊すかもしれない。つくったものは必ず壊れるんです」という言葉が印象に残った。
 後半は、シンポジウムというほどの時間は残されていなかったが、お二人のお話を補足する内容とともに、会場から発言をいただいた。その中で、一つ今までのリニア講演・学習会などでは出てこなかった話があった。それは岐阜の説明会で出た「区分地上権」の話で、リニアは都市部では大深度地下使用法によって、地下40メートルより深いところは地上の権利が及ばないので、どこでも勝手に掘ってよい形になるが、それは都市部だけの話。岐阜県や長野県などでは地下の利用に関して区分地上権というものを設定することになるそうだ。秋にルートが決まると、JR東海は区分地上権設定契約書にサインを求めてくるだろうが、契約の自由があるので、サインすべきでないというお話。とはいっても、山梨では土かぶりが5~30メートルの範囲について区分地上権を設定したそうだから、それより深いところはどうなるのか不明。
 シンポジウムの詳しい内容については、東濃リニア通信できっと報告があると思う。また、シンポジウムに先立って、沿線ネットの今後の活動についても話し合われた。

 また、リニア・市民ネット編著で『危ないリニア新幹線』という本が発刊された。広瀬さんが講演の中で触れてくれたこともあってか、会場で販売した分は完売したそうだ。これまでリニア・市民ネットのシンポジウムなどで出てきた、巨大地震や地質の問題、電磁波、採算性、文明論的な観点からなどのお話がまとめられているほか、計画沿線の市民の声として、東京・神奈川、相模原、甲府、飯田、中津川、大鹿からの声が載っている。