安倍内閣の発足を受けて、「朝日新聞社」が26日夜から27日にかけて、緊急の全国世論調査(電話)を実施しています。その結果と解説が今日の朝刊1面に掲載されています。
見出し 1 : 安倍内閣 支持63% 不支持18% 「頼りない」34%
安倍内閣の発足を受け、朝日新聞社は26日夜から27日にかけて、緊急の全国世論調査(電話)を実施した。内閣支持率は63% 不支持率は18%。発足後、初めての支持率としては小泉内閣の78%に及ばないが、最近では橋本内閣の61%を上回る戦後歴代3位の高水準だ。ただ、内閣の顔ぶれについては「新鮮だ」35%、「そうは思わない」38%と見方が割れる。
「強力な内閣だ」との見方は23%にとどまった。一方、来年夏の参院選に自民と民主のどちらに勝ってほしいかでは、自民が47%、民主は36%だった。
内閣支持率は女性がやや高い。支持政党別では自民支持層が89%と圧倒的だ。ただし無党派層は47%で、小泉内閣発足時の74%には及ばない。
内閣を支持する人にその理由を聞くと、「政策の面から」が28%、「なんとなく」27%、「首相が安倍さんだから」24%と割れた。
強力な内閣だと思うかと尋ねると、「頼りない」34%が「強力」23%を上回った。小泉内閣発足直後、「強力」との印象が多かったのと対照的だ。ただ、回答で最も多かったのは「その他」の43%。新内閣の「実力」は今後、見定めようという気配も漂う。
安倍首相が最優先課題にあげる臨時国会での教育基本法改正については、「今の国会にこだわらず、議論を続けるべきだ」が66%と多く、「今の国会で成立を目指すべきだ」は21%にとどまった。「改正する必要はない」は6%。首相の意気込みとは裏腹に世論は慎重のようだ。
これに対し、小泉内閣から引き継いだ最大の懸案である中国や韓国との外交の改善については、「積極的に取り組んでほしい」が83%に達した。民主支持層では9割近く、内閣支持層や自民支持層でも8割を超えた。
中韓との外交改善のカギを握る歴史認識を巡り、安倍首相が自らの認識を示していないことを「評価する」は24%で、「評価しない」の52%を大きく下回った。「評価しない」は自民支持層では44%、民主支持層では73%、無党派層でも半数を超えた。
見出し 2 : 民意 判断これから(解説)
今回の世論調査の結果をみて、ある自民党三役経験者は2つのことを言った。「安倍首相はまだ、古い自民党を嫌いな層を自分の力で政権支持層へ替える党首力は持っていない」。そして、小沢民主党との2大政党対決の今後は「やはり中間保守の争奪戦になる」というのである。
小泉政権と安倍政権の違いは、発足時の内閣支持率の高低だけにあるのではない。構造改革推進のため古い自民党をぶっ壊すと言った小泉前首相には、だからこそ、経済の閉塞(へいそく)状態を生んだ自民党に対して強い不満を持つ都市部無党派層を自分に振り向かせる逆説的な力があった。
もとより安倍首相のアプローチは違う。教育改革はじめ理念面を中心に保守再構築をめざし、いわば自民党の右の壁から中道保守を含めて保守層全体を固め直す発想だ。
だとすれば、小泉政権時には自民党に寄り添った層が判断保留の踊り場に移ったとしても不思議ではない。安倍首相は小沢民主党代表に対して個人レベルでの支持で差をつけたが、参院選への期待度を見る限り、民意は自民と民主のどちらが勝者かは現段階ではまだ判断していないようだ。安倍首相がまだ、右から中道、さらに左まで巻き込んで自民党を底上げする迫力を得ていないことを物語るのではないか。
民主党は今後、格差是正やアジア外交立て直しで左から中道を採る戦略を強めるだろう。安倍政権も当然、それに対抗せざるを得ない。来年夏の参院選にかけて2大政党のどちらが説得力ある政権公約を出せるか、民意はそれを判断材料にしようとしているようにみえる。(曾我 豪)
見出し 1 : 安倍内閣 支持63% 不支持18% 「頼りない」34%
安倍内閣の発足を受け、朝日新聞社は26日夜から27日にかけて、緊急の全国世論調査(電話)を実施した。内閣支持率は63% 不支持率は18%。発足後、初めての支持率としては小泉内閣の78%に及ばないが、最近では橋本内閣の61%を上回る戦後歴代3位の高水準だ。ただ、内閣の顔ぶれについては「新鮮だ」35%、「そうは思わない」38%と見方が割れる。
「強力な内閣だ」との見方は23%にとどまった。一方、来年夏の参院選に自民と民主のどちらに勝ってほしいかでは、自民が47%、民主は36%だった。
内閣支持率は女性がやや高い。支持政党別では自民支持層が89%と圧倒的だ。ただし無党派層は47%で、小泉内閣発足時の74%には及ばない。
内閣を支持する人にその理由を聞くと、「政策の面から」が28%、「なんとなく」27%、「首相が安倍さんだから」24%と割れた。
強力な内閣だと思うかと尋ねると、「頼りない」34%が「強力」23%を上回った。小泉内閣発足直後、「強力」との印象が多かったのと対照的だ。ただ、回答で最も多かったのは「その他」の43%。新内閣の「実力」は今後、見定めようという気配も漂う。
安倍首相が最優先課題にあげる臨時国会での教育基本法改正については、「今の国会にこだわらず、議論を続けるべきだ」が66%と多く、「今の国会で成立を目指すべきだ」は21%にとどまった。「改正する必要はない」は6%。首相の意気込みとは裏腹に世論は慎重のようだ。
これに対し、小泉内閣から引き継いだ最大の懸案である中国や韓国との外交の改善については、「積極的に取り組んでほしい」が83%に達した。民主支持層では9割近く、内閣支持層や自民支持層でも8割を超えた。
中韓との外交改善のカギを握る歴史認識を巡り、安倍首相が自らの認識を示していないことを「評価する」は24%で、「評価しない」の52%を大きく下回った。「評価しない」は自民支持層では44%、民主支持層では73%、無党派層でも半数を超えた。
見出し 2 : 民意 判断これから(解説)
今回の世論調査の結果をみて、ある自民党三役経験者は2つのことを言った。「安倍首相はまだ、古い自民党を嫌いな層を自分の力で政権支持層へ替える党首力は持っていない」。そして、小沢民主党との2大政党対決の今後は「やはり中間保守の争奪戦になる」というのである。
小泉政権と安倍政権の違いは、発足時の内閣支持率の高低だけにあるのではない。構造改革推進のため古い自民党をぶっ壊すと言った小泉前首相には、だからこそ、経済の閉塞(へいそく)状態を生んだ自民党に対して強い不満を持つ都市部無党派層を自分に振り向かせる逆説的な力があった。
もとより安倍首相のアプローチは違う。教育改革はじめ理念面を中心に保守再構築をめざし、いわば自民党の右の壁から中道保守を含めて保守層全体を固め直す発想だ。
だとすれば、小泉政権時には自民党に寄り添った層が判断保留の踊り場に移ったとしても不思議ではない。安倍首相は小沢民主党代表に対して個人レベルでの支持で差をつけたが、参院選への期待度を見る限り、民意は自民と民主のどちらが勝者かは現段階ではまだ判断していないようだ。安倍首相がまだ、右から中道、さらに左まで巻き込んで自民党を底上げする迫力を得ていないことを物語るのではないか。
民主党は今後、格差是正やアジア外交立て直しで左から中道を採る戦略を強めるだろう。安倍政権も当然、それに対抗せざるを得ない。来年夏の参院選にかけて2大政党のどちらが説得力ある政権公約を出せるか、民意はそれを判断材料にしようとしているようにみえる。(曾我 豪)