さてそのアラル海。かつてはソ連国内にあったわけだが、ソ連解体で北はカザフスタン、南はウズベキスタンと2つの国に接する湖となった。そして湖に浮かぶボズロジェーニエ島の上にも国境線が引かれて、南北に分断された状態。島に住んでる人はさぞ不便になったろうと思いきや、ボズロジェーニエ島は無人島、というか人が住むなどトンでもないという状況だ。
ボズロジェーニエ島にはかつて住民がいた。1936年にソ連はこの島に生物兵器の実験施設を作り、軍隊や研究者が常駐していた。島では炭疽菌やペスト菌、ボツリヌス菌、ブルセラ菌、ツラレミア(野兎病菌)、ベネズエラ馬脳炎ウィルス、天然痘ウイルス・・・などなどを使った動物実験が続けられていたが、ソ連の解体に伴って、実験施設は91年に閉鎖。ロシア軍は残っていた菌やウィルスを殺菌処分して引き揚げた・・・はずだったが、2000年にアメリカの調査チームが調べたところ、殺菌されて地下数メートルに遺棄された炭疽菌の胞子数十トンのうち一部がまだ生きていることが判明したらしい。
ところでアラル海は、かつては世界で4番目に大きな湖だったが、1950年代から周辺一帯で大規模な綿栽培が始まり、アラル海に流れ込む川の水が灌漑用水に使われて減少したため、アラル海の面積は急激に減少。それに伴って雨も減り、周辺一帯は砂漠化が進んで、現在ではアラル海の広さは3分の1以下になってしまった。一方で湖が干上がるにつれてボズロジェーニエ島の面積は広がり、もともと200平方km足らずだった島は10倍以上に拡大している。
そこでいま懸念されているのは、いずれ島が本土と陸続きになり、島で生き残っているという炭疽菌が、ネズミなどの動物に感染して本土に撒き散らされること。「2010年頃にボズロジェーニエ島は本土と陸続きになる」と予想して、アメリカの援助で炭疽菌の除去作戦が予定されていたが、最近の衛星写真 を見るとすでに島の南部は本土と陸続きになり、「島」ではなくなってしまったようだ。
もともとソ連がここに生物兵器の実験施設を作ったのは、本土と隔絶された島なので病原菌が外部に広がる恐れはないだろうと考えたため。それでも86年には周辺一帯でペストが流行し、88年には家畜50万頭が死んで周辺住民に避難命令が出る事件が起きた。最近、アラル海南岸では、乳幼児の死亡率が上昇していると言われており、住民への健康被害が深刻になりつつあるようだ。
ボズロジェーニエ島にはかつて住民がいた。1936年にソ連はこの島に生物兵器の実験施設を作り、軍隊や研究者が常駐していた。島では炭疽菌やペスト菌、ボツリヌス菌、ブルセラ菌、ツラレミア(野兎病菌)、ベネズエラ馬脳炎ウィルス、天然痘ウイルス・・・などなどを使った動物実験が続けられていたが、ソ連の解体に伴って、実験施設は91年に閉鎖。ロシア軍は残っていた菌やウィルスを殺菌処分して引き揚げた・・・はずだったが、2000年にアメリカの調査チームが調べたところ、殺菌されて地下数メートルに遺棄された炭疽菌の胞子数十トンのうち一部がまだ生きていることが判明したらしい。
ところでアラル海は、かつては世界で4番目に大きな湖だったが、1950年代から周辺一帯で大規模な綿栽培が始まり、アラル海に流れ込む川の水が灌漑用水に使われて減少したため、アラル海の面積は急激に減少。それに伴って雨も減り、周辺一帯は砂漠化が進んで、現在ではアラル海の広さは3分の1以下になってしまった。一方で湖が干上がるにつれてボズロジェーニエ島の面積は広がり、もともと200平方km足らずだった島は10倍以上に拡大している。
そこでいま懸念されているのは、いずれ島が本土と陸続きになり、島で生き残っているという炭疽菌が、ネズミなどの動物に感染して本土に撒き散らされること。「2010年頃にボズロジェーニエ島は本土と陸続きになる」と予想して、アメリカの援助で炭疽菌の除去作戦が予定されていたが、最近の衛星写真 を見るとすでに島の南部は本土と陸続きになり、「島」ではなくなってしまったようだ。
もともとソ連がここに生物兵器の実験施設を作ったのは、本土と隔絶された島なので病原菌が外部に広がる恐れはないだろうと考えたため。それでも86年には周辺一帯でペストが流行し、88年には家畜50万頭が死んで周辺住民に避難命令が出る事件が起きた。最近、アラル海南岸では、乳幼児の死亡率が上昇していると言われており、住民への健康被害が深刻になりつつあるようだ。