体の骨を強くするのにはカルシウムの摂取、ビタミンDの摂取と日光浴が欠かせませんが、骨にたわみを与える運動も骨の強化に直結します。骨をたわませる運動で最適なものがジャンプです。
女性ホルモンのエストロジェンには骨を強くする作用があります。ところが、閉経すると、このホルモンが出なくなるため、女性は骨粗鬆症になりやすくなります。骨粗鬆症にならないためにも、70代後半の女性の患者さんにジャンプ運動を勧めたところ、「ジャンプなんて、ここ十数年したことがありません」といわれました。「飛び跳ねて着地に失敗したら、けがするかもしれません」と加えました。
そうか、日頃からジャンプをしていなければ、ジャンプしようという気持ちにならないし、けがを恐れてやろうともしないことがわかりました。人間ドッグの体力テストで、60歳以上はジャンプしてアキレス腱を損傷するなどの恐れがあるとして、原則受けられないとしているのは、こういうことなのか、と納得できました。日頃から運動をしていなければ、平衡感覚を調べる閉眼片脚立ちをしていて倒れたら、けがは必至でしょう。
患者さんの考えを聞いて、タケちゃんは毎日の運動に縄跳びのシャドートレーニングを加えました。跳躍運動をして骨を強くしながら、ジャンプを生活の一部にするためです。人生の先輩には教えられることが多いです。