足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

新興市場のすごさ・・・投資戦略考

2006-02-23 18:39:43 | 株式

「谷深ければ山高し」。市場は相場格言の逆も眞なりを証明している。

今週の月曜日が相場の底であった。それ以来、日経平均+4.2%、日経ジャスダック+5.5%、マザーズ+20%、ヘラクレス+19%が各指数の上昇率である。わづか3日間でマザーズ指数は20%も上昇するのだから、まさに「相場は生きている」ということを感じさせる展開である。現物の投資ではなく、信用取引で売買をしている投資家のパフォーマンスはもっとすごい記録になっただろう。どんなすごいヘッジファンドも顔負けである。

新興市場は底を入れた。問題はどのような投資戦略をとるかにある。

今月のIPO(新規公開)銘柄のなかから将来の「玉」を探すことを考えてみよう。来月も20銘柄超の新規公開があるが、オールド・エコノミー株が多い。新興市場の人気に乗ろうと歴史の古い会社がデビューするので、食指の動く銘柄が少ない。それだけに2月の悪気流のなかで公開され、エネルギーを出し切っていない銘柄を再検討しようと思う。

2月9日に公開されたドリコム(3793・マ)は久しぶりの新インターネット技術の開発企業。「公開で手にいれたおカネをM&Aに使うつもりはない」という社長の話にひきつけられた。ライブドアなどとは本質的に違う企業の理念がある。ブロッグの新しいシステム構築の企業である。

2月16日のファンダンゴ(3797・HC)は日本のお笑い文化をつくった吉本興業の子会社だが、コンテンツ制作ではトップクラス。公開以来、株価が売られただけに再評価できる。

いい生活(3796・マ)はインターネットで不動産市場のデータなど情報を伝える。米国に遅れて日本でやっと登場した。不動産がこれから資産運用の一つになる時代に入る。成長性がある若い会社である。


第1回目のチャンスが来た

2006-02-22 18:17:52 | 株式

東京市場は第1部、第2部、そして新興市場も目先の底入れをしたとみる。

この日は日経平均は-113.16円であったが、第2部+81.01、日経ジャスダック+38.27、マザーズ+21.18、ヘラクレス+35.22であった。

第1部市場の指数は下がったが、それでも騰落指数は118%と、値上がり銘柄が値下がりより多かった。

特に今回の調整相場に拍車をかけたのは中・小型株、新興市場であった。なかでもライブドア問題の直撃を受けたのはマザーズ指数であった。当初はライブドアの下落が指数の足を引っ張り、インタターネットやハイテク株の人気に大きく影響した。

マザーズ指数は1月16日の2799.06がピークで今週、月曜日の1488.98まで-47%となった。1年前の水準をもわづかだが下回ってしまった。これまでも、このような下げの相場のリズムは見られた。

2004年7月1日から同年11月1日まで-49%下がった。その時は4ヵ月間での下落であったが、今回はわづか1ヵ月なので、まさに「直下型の地震」であった。2004年のときも、2004年初めにライブドアの1対100の株式分割があり、それが新興市場に火をつけた。その意味では「ライブドアに始まり、ライブドアに終わる」といえる皮肉な現象であった。

しかし今回の新興市場の暴落が、「新興市場は恐い」として偏見を持つのは間違いである。

先週はウォール街で検索エンジンのグーグルが米バロンズ誌の弱気の記事で目先底値をつけたが、グーグルの一時の下げが世界のネット株の人気に水をあびせた。ライブドア事件とは何の関係もないが、たまたま重なった。

偉大なファンドマネジャーのビル・ミラーはグーグルを大量に保有しているが、「ウォール・マートは公開したときに割高をいわれたが数千倍になった。マイクロソフトは公開後、いつも割高という評価であったが2002年まで毎週1%ずつ上がった」と成長株への投資の魅力を語っている。

今回の相場の下げで今年の第1回目のチャンスが来たとみている。


外人投資家の力

2006-02-21 18:33:41 | 株式

2月6日の日経平均16747円で目先のピークを打つたのは、外人投資家の売りであったが、この日、猛反発するきっかけになったのも外人買いであった。

外人買いの内容については的確な情報にもとずくわけではないが、この日の業種別の値上がりベスト5をみると不動産、証券、非鉄、建設、鉱業。今朝の日経新聞で値下がり業種のランキングが報道されたが、その上位に顔を出している。本日の反騰が自律的なものか、空売りの買戻しかは別として、ヘッジファンドならずともショートカバー(買戻し)したい株価の水準であった。自律反騰は新興市場にもはっきりとみられた。こちらの方はショートカバーではなく(皆無ではないが、多くはない)、値ごろ感からの買いである。

デフレ脱却という点では、恩恵を受けるのは不動産も銀行も同じであるが、不動産の方が上昇率がはるかに大きかったのは、目先の銘柄選択のヒントの一つを物語っている。

今週の米バロンズ誌(20日付)にアジアに特化したヘッジファンドの資産が1150億ドル(13兆円)になったと報じられている。前年比で2倍の増加である。


相場の2つのカタリスト(きっかけ)を考える

2006-02-20 18:42:59 | 株式

ここ1週間はオンライン時代の相場の調整の恐さを示現した相場展開である。

対面営業時代とは異なり信用取引の追証は有無を言わさず切らなければならない。もちろん投資家の方も十分に承知の上ではあり、余裕をもつた投機をしている。整理に要する期間は長くないだろう。問題は投げが終わったあと、どんな材料が反騰のきっかけになるのか。

一つはニューヨーク株の動きである。今夜はウォール街は休場(プレシデント・デイー)だが、先週の相場が断絶されずに今週もその人気が続くなら、ハイテクや大型株を中心に反騰が期待できる。今度はそれが戻りのきっかけになる。

東京市場はライブドア問題には早く決着が欲しい。ここでいう決着とは上場廃止である。そうすれば現在の時間短縮は解除される。現在は取引時間が異常な状況である。1990年以前にも大商い時には時間短縮がしばしばあった。決まって相場は調整局面に入ったが、短縮の解除とともに相場は上昇トレンドを取り戻した。この意味では現在は異常な状況であることを頭にいれて置かなければならない。この問題が解決するまでは、余裕のある(手元には現金を多い目に置く)投資のスタンスを心がけることである。

特に新興市場はセーリング・クライマックスにはいった。「山高ければ谷深し」の逆も真である。


どこで相場は転換するのか?

2006-02-19 18:40:56 | 株式

当面の相場の動向をにぎるカギの一つは外人投資家の動向にある。

先週の火曜日(2月14日)にメリルリンチが世界のファンドマネジャーの動向を出したが日本株をオーバーウェイトしたいのは1ヵ月前の26%から14%に落ちた。企業業績の見通しは世界でもっと明るいが、株価のバリュエーションが割高になったという。日本に代わってユーロ圏へオーバーウェイトするところが増えてきた。

メリルリンチに先駆けて2月8日にモルガンスタンレーが日本株を「ニュートラル(中立)」に引き下げた。

世界を代表する証券会社のレポートだけに、その後の外人投資家の日本株の売り越しにつながった。外人の資金にもヘッジファンドや短期志向の比率が大きくなっている。特に東京市場は過去4ヶ月で+25%も上昇したので、結果論であるが、有力証券会社のレポートが利食いのきっかけになった。注目したいのは日銀総裁の8日の記者会見での量的緩和観測が強まったこととタイミングが合っている。これまでの「超金融緩和、業績の急回復、バリュエーションの割安」という、株式相場にとっての好条件の一部が剥げ落ちるという懸念がでてきた。

外人が、中、長期的に弱気になったわけではない。

短期的に慎重論に傾いた。これまで相場の限界需要のかなめであっただけに影響は大きかった。

モレガンスタンレーは米国株をオーバーウエィトした。いまままでのところは、その見方が当たり、NYダウ平均は心理的なカベの11,000ドル台に乗せた。

外人投資家の中には「日本株も10%下がったら・・」という見方をする向きもある。15,000円台である。

足元の人気に目を奪われて上記、証券会社の見方に重きを置かなかったことには、大いに反省しなければならないが、東京市場の調整の原因がはっきりしている。