足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

金利裁定が働いたら

2006-02-13 18:43:00 | 株式

日経平均-2.3%、日経ジャスダック-3.3%、マザーズ-9.9%、ヘラクレス-9.9%である。

先週にも書いたように日銀総裁の記者会見での量的緩和の解除に言及、海運株の減額修正などが、相場の先行きを判断する上での視点の変更を迫り、この日も引き続き下落した。

特に新興市場の下落率が大きかつた。

特にここで強調しておきたいのは、これから量的緩和の解除→ゼロ金利の解消に展開した場合のことだ。株式市場の過剰流動性は縮小するが、一方、家計の金融資産である1000兆円は、仮に1%の預金金利の上昇で10兆円の所得を生み出す。このうちいくらかが消費に回るので、逆に日本経済にとってはプラスになる。それに消費者のセンチメントが先行きに対して安心感が出て、景気にはプラスに働くことになる。

いまひとつ注目したいのは金利と益利回りの間の裁定である。現在の益利回り(PERの逆数)は4.5%、10年国債の利回りは1.6%である。だれが見ても益利回り(株式の収益率)が高いことはわかるが、その間に、これまで裁定が起こらなかったのは金利機能が日本では働かなかったからである。

現在の米国の益利回りは5.8%、10年国債は4.6%。その差は1.2%。

日本の差は2.9%もある。米国の投資家に比べて株式が有利であるが、投資家の経済に対する確信の低さが、こんなに大きな差を生み出した。ゼロ金利の解消で正常化が進めば、資金が投機としてではなく、投資先としての株式の選好をはじめる。

経済の新しい循環が生まれる可能性が十分に考えられる。

株式投資に合理性が戻ってくる。

このように考えると現在の調整は正常な循環が生まれる前の価値観の変化を消化する時間の影響を受けたとみる。

相場の先行きにはファンダメンタルには全く心配はない。先週来、新興市場へのIPO(新規公開)が増加してきたが、真の数少ない成長株が全体のムードに押されて、魅力のある価格で投資できるかもしれない。ヤフーが公開されたのは1997年11月でアジア危機、三洋証券、山一證券の破綻の直後であった。当時、1株買った投資家は現在の持ち株が4096株になった。10年も経っていないのに・・・