足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

マジェラン・ファンドが大きく舵を転換

2006-02-18 20:09:34 | 株式

マジェラン・ファンドといえば伝説的な運用者ピーター・リンチがすぐ浮かんでくる。1977年にフィデリティーの小さなファンドであつた投信(2000万ドル)を世界最大の規模にした人だ。1977年から1990年までの13年間にわたって運用したが、数多くのテンバーガー(10倍になる銘柄)を発掘した。彼の退任後、15年を経たがその間に一時は運用資産が10兆円を超えた。しかし現在では5兆円に規模は減った。ファンドマネジャーは4人交替した。ピーター・リンチのようなすごいパフォーマンスを上げることが出来なかったからでもある。昨年秋、現在のハリー・ランジに交代した。フィディリティーの看板商品だけに、かっての名声を取り戻さなければならぬ。最後のエース登場といわれた。

就任後、3ヵ月でポートフォリオの大きな組み換えを行った。組み入れビッグ10のうち、残したのはGEだけで、それも持ち株比率を大きく落とした。新しいポートフォリのメイン・シナリオは25%を外国株にしたのと、ハイテクの比率を大きく引き上げたことだ。外国株で最大の組み入れにしたのは携帯電話のノキアである。ハイテクではグーグルを大量に入れた。注目したいのは、日本株の比率を上げ日本のヤフーも新しく入れた。ハリー・ランジはピーター・リンチの時代の名声を取り戻すために果敢な賭けに出ている感じだ。昨年、第4四半期には早くも成果が出ている。成長株の方向に舵を大きく転換した。その賭けがこれからも成果を上げるかどうかが、私の最大の関心事である。

そこで思い出すのはピーター・リンチの言葉である。「私は常に、投資家はマーケットの上げ下げは無視すべきだと信じてきた。クラッシュ(暴落)という事態に直面しても、幸運にもマジェラン・ファンドの株主のうち、3%未満の株主しかその週(1987年のNY株のクラッシュ時)にファンドを解約しなかった。絶望のどん底で売ると、いつだって安値で売ってしまう」(ピーター・リンチ著・三原淳雄訳「株で勝つ」(新版)」。

ハリー・ランジの現在の行動とピーター・リンチの言葉が脳裏を横切る。