モノ・語り

現代のクラフトの作り手と作品を主役とするライフストーリーを綴ります。

岸野忠孝水墨画展の開催を控えて

2011年06月25日 | 岸野忠孝の水墨画
かたち21のHP



来週月曜日(27日)から岸野忠孝さんの展覧会が始まります。
今日は作品の飾り付けをしてきました。
出品内容は、掛軸8点、額装15点、小品8点で、額装のものはパステル画です。

(以下、画像は飾り付け中に携帯カメラで撮影したもので、
歪んでたりして見づらいですが、雰囲気だけでも感じとっていただければ…。
パステル画を中心に紹介します。)


画業はすでに50年を超えているのですが、東京での個展は初めてといってよいでしょう。
つまり東日本方面でのデビューを飾る展覧会であるわけで、
気の入れ方が違うというか、渾身の力をふりしぼっての創作を見せてくれました。
少ない点数ながら、一点一点充実した見応えのある内容です。



「春山彩色」 パステル



「木津川」 パステル



「滝」 パステル




「3.11祈り」 パステル



案内状の挨拶文で、私は「気韻生動」と「用筆」という言葉を使いましたが、
中国の唐の時代の晩期に書かれたといわれる「歴代名画記」という書物の中に
「画の六法を論ず」という章があって、そこから引用した言葉です。すなわち
「画に六法あり、一に気韻生動と曰い、二に骨法用筆と曰い、…」とあるところからとったものです。


「気韻生動」というというと日本画なんかの風景画でいかにもそれらしく描いたりしますが、
現代の日本画は西洋画の描法の上に成り立っているので、
光の明暗法に基づいて絵の具を塗りたくって描いてあったりすることが多いようです。
しかし本来の「気韻生動」は線描や「用筆」によって表わされるべきものであり、
そのための、墨の濃淡を線描の中に取り込むような描法を会得する必要があります。



長巻物「白雲幽石」 水墨 俵屋宗達の長巻物に肉迫するかのごとき鬼気迫る作品。斜め角度で撮ってます。



この意味で現代の絵画には「気韻生動」がなく、
岸野さんがようやくそれを蘇らせてくれたように、私には感じられます。
「絵を描く」とか「絵を観る」といったことは、
ある意味で「気韻生動」を愉しむことであると私は思います。
そういう愉しみを知っていただきたいという意味でも是非見ていただきたい展覧会です。



「塔」 ハガキサイズの作品は18,900円(額別)です。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岸野忠孝さんの水墨画 | トップ | 〈気韻生動〉について »
最新の画像もっと見る

岸野忠孝の水墨画」カテゴリの最新記事