中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

#うちで美しいキモノ―― コロナ時代を生きるため

2020年05月23日 | コロナの時代を生きる
外出自粛以来、久し振りに工房内で着物を着ました。インスタグラムにも投稿しました。ノーメーク、美容院にも長らく行けず、、ボサボサ髪(いつものことですが、、)で失礼いたします。。。(^-^;;


夏紬「柿の花」と藍縞紬半幅帯。節のあるざっくりした紬です。縞に縞の取り合わせ。
今、小さなとても地味な花を咲かせている柿。秋にはあんなにおいしい実になり、私たちや、鳥や虫たちに恵みを与えてくれる。生命の営みに感謝しつつこの銘を付けました。

きもの専門誌『美しいキモノ』が、「#うちで美しいキモノ」インスタグラムキャンペーンをされているということで、私も#うちで美しいキモノのタグを付けて投稿してみました。
インスタをされている方は応募してみてはいかがでしょうか?
応募の締め切りは今月31日までです。
詳しくは「美しいキモノ」のインスタグラムをご覧ください。


機にも座ってみました。母が銘仙の着物地から作った腰紐がありましたので、それで襷掛けをして、やってる感を出してみました!!(^^)/ 
襷掛けは久々にしましたが、どうやるんだっけ、、?という感じでしたが、いいものですね。紐も自分で縫いたいところです。。

そういえば、昔の人は着物に襷掛け、姉さん被りの手拭いで掃除をしてました。私の母も洋服でも姉さん被りで家事をしていました。手拭い一枚で頭にかぶればホコリ除けや日よけになり、首に巻いたり、汗を拭いたり、労働する人には欠かせない便利なもの。晒し生地は不滅の布ですね。

緊急事態宣言下にあっても、着物は外出着だけではなく、家で着ている方もいますし、仕事で着る方もいらっしゃいます。

先日、ある女性の国会議員が、自宅から、政治の意見交換の動画サイトに出演され、グレーのお召しのような着物を着ていらっしゃるのを見て、場が和んでいいなぁと思っていたのですが、「この緊急事態の大変な時に、着物とは、、??」というような投書があったそうですが、着物が特別なものとしてしか見られないことが、悲しく、情けない、と思いました。相当低次元の話ですが、、。

普通に衣服の一種として、着物でも洋服でも、その場の状況さえわきまえていれば、何を着ても自由です。「贅沢は敵」のような、戦時中の統制があってはならない。

つらい時でも美しい布や着物は心の支えにもなります。
着物だけでなく、文化・芸術は人が人らしく生きるために必要不可欠のものです。どんな状況下にあっても大事なことに変わりはないです。

美術手帖の Magazineのドイツ・メルケル首相が5/9に国民に語りかけたという「コロナと文化」から、最後のところだけ抜粋しておきます。

「 親愛なる芸術家の皆さん、あなた⽅にとっていまがとても、とても困難な時期であることを承知しています。私たちの誰もが寂しい思いをし、どれほど多くの市⺠たちが再びライブであなた⽅の芸術を体験できることを待ちわびているかを承知しています。そのときまで、私たちはできるかぎり、あなた⽅を連邦政府の救援プログラムを通して⽀援するように努めます。また、どれほどあなた⽅が私たちにとって⼤切であるかをお伝えすることも⽀援となりますように。」

4月の緊急事態宣言後に、お客様から、在宅勤務になったことで、着物を着て仕事をしているとメールを頂きました。
今までは、週末の外出着だけだったけれど、「普段着としての着物生活を楽しんでいます」とのことでした。いろいろ発見もあると思います。

私も6畳一間のアパートで一人暮らしの若いころ、染織の仕事を終えると浴衣や弓浜絣の着物に着替えて、一汁三菜の食事の支度をし、一人晩酌していたことを思い出します。(#^^#)
着物を着ることの練習もありましたが、着物という形態が、気分を変え、布の風合いが、心落ち着かせ、自分を支えてくれていたように思います。
染織の仕事と、自分に向き合っていたころを懐かしく、おうちで着物は思い出させてくれました。
最近、昔のことばかり思い出していますが、3日前のことは思い出せなくなってきました、、。(;^_^A

若いということは、挑戦するエネルギーがあって、本当に素晴らしいことだと、若いうちにいろいろ自分を試し、鍛えておくことがあとあと生きてきます。外出自粛の中でもたくましく生きていきましょう!

東京、神奈川、埼玉、千葉もそろそろ緊急事態宣言の解除になりそうですが、コロナウイルスがなくなったわけではないので、引き続き感染予防対策を、少なくともワクチンができるまでは続けなければならないですね。

夏場は感染拡大は湿度や紫外線の関係もあり、抑えられてくるであろうとも言われていますが、秋から冬の第2波が懸念されます。国には、検査と隔離の準備体制を最優先に整えてほしいです。「接触するな、外出するな」だけでは経済も人のこころも持ちません。

今期の紬塾も延期しておりましたが、6月からスタートする予定です。今できる限りの予防対策をしますが、感染拡大の状況を見ながら、無理をせず、慎重に進めていこうと考えています。





コメント
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