中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第2回紬きもの塾 糸の力、色の神秘

2015年06月13日 | 紬塾 '13~'16





ご報告が遅れましたが、個展の準備のあわただしい最中、第2回の紬塾が先月行われました。

いつものように私の紬に使う糸や真綿をじっくり見てもらい、感触や、臭いをかいだり糸の観察から始めてもらいました。
繭一つから糸を繰り出すことと、真綿から糸を引き出すことも体験してもらいました。
蚕が吐き出した一本の糸の形も見てもらいました。

紬糸といっても一般で使われている糸は様々です。
着心地にも大きく違いが出ますが、そんなことについても話しました。
特に経糸を見て欲しいと思います。

糸の種類や名前を覚えるということよりも、糸の形を見ることや感触の違いがわかるということは着物を選ぶときの参考になります。
紬塾を修了した方で「着物を見るときの見え方が以前と変わった」と話してくれる方がありました。今までは色や柄の美しさに目を奪われていたけれど最近は布自体を見るようになったという趣旨のことをお会いした時に伺ったことがあります。
更に着てみればその風合いの違いなどもわかってくると思います。

そして草木の生木で染めた糸も見てもらいました。
やはり色の状態をよく観察することが大切です。
染材を煮出す時、糸を染める時にも熱エネルギーを無駄には使わず、でもしっかり効率よく染めていくことも解説しました。
9月の実習ではそのことを体験してもらいます。

「手織り、紬、草木染め」などの世間一般に流布している言葉の本当のところを先入観を持たずに素直に実感として学んでもらえると良いと思います。

観る力は創る力、使う力になるからです。
この回以降の基礎となる重要な話をさせてもらいました。


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