中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

単衣の紬を長く愉しむ

2015年06月05日 | 着姿・作品


個展の会期中は単衣の自作の紬三枚に帯を毎日替えて過ごしました。

立体感のある中肉厚のしっかりした紬は真冬と盛夏を除いて長く着ることができます。
一枚の単衣紬を襦袢と羽織るものを替えて合理的に愉しみたいです。

5月とはいえ気温の高い日が続いたのですが、盛夏とは違う蒸し暑さを少しでもどう解消するかを私なりに工夫してみましたので一部ご報告します。よろしければ参考にしてください。

この日は初めて使う糸の試し織り用として制作した桜染めの紬にポピー柄の型染めの帯を締めました。
道端でよく見かけるナガミヒナゲシの花はほぼ終わりましたが。。。
暖色系の着物に寒色系の帯、小物で爽やかな印象にしてみました。


この日はいつも当ブログでもお馴染みの藍の小格子の自作の着物と帯の取合せです。

帯はややセリシンを残したシャリ感のある糸で織られていて、透け感もあります。盛夏にも締められます。寒色系の着物に茶の暖色系を合わせることでそれぞれを引き立てあえるようにしました。
前にはガラスの帯留めを使っています。こちらのリンク先に前はアップしました。


上と同じ着物ですが、シナ布の平織りの八寸名古屋帯です。帯芯が入らないので通気がよくお腹周りはかなり楽です。
大塚文庫の庭のコケのような色の帯締めを合わせました。
シナ布は通年使えるということですが、やはり透け感のあるもじり織りなどは5月下旬から9月一杯ぐらいかと思います。
麻にしても絹にしても繊維の違いではなく糸の太細や透け感などで判断するとよいのではないでしょうか?


最終日には初日にも着ましたこちらも試し織り用の玉糸紬の着物に、やはり自作の名古屋帯で透け感のあるものを締めました。
この日は真夏日だったかと思いますが、傍で見ている方にも少しでも涼やかな印象にと思い、帯揚げもごく淡いヒメサユリの花のようなピンクを使いました。
帯枕もヘチマで作った薄めのものにしました。

あとは半幅帯も2日間活用しました。帯揚げがない分お太鼓結びよりずっと涼しかったです。
上質の半幅もこの時期に活用したいです。
また半幅着姿もアップします。

気温というよりも湿度が高いのは身体に応えます。
帯板も可能な限り使わないでいます。
使う場合はボール紙の手製のものを使います。
帯締めもできれば細めのタイプを使うと涼しげです。

それから帯芯も可能な範囲でなるべく絽目のものを使って仕立ててもらっています。
ただ絽目の芯は種類が少ないので表地との釣り合いが優先されるとは思います。

そして帯の締め加減も下側はある程度締めますが、上はゆったりさせて汗が発散しやすいようにしておきます。

下着は汗取りのついてない麻の肌襦袢と麻のステテコ(試作品)を着用しています。
汗取りに工夫物をつけていますがこれについてはまたお知らせします。
長襦袢も色物の平織りの麻を着ていました。
半衿は楊柳です。

日本の四季はそのあわいも大事にしたいので、ただ気温が高いから一気に夏物ではなく、段階を踏んで移ろっていくところも魅力です。
5月に透ける着物や麻着物になるのはちょっと早いと思いますが、帯から少しずつ涼しげにしていくことは良いかと思います。
5月らしい見た目の清涼感も大切に取合せます。

染のものでも柄に季節感があったり、抽象的な染や織りでも色や素材感に季節を感じたり、何を纏うかのこだわりを持つことは楽しく、大切にしたいことです。

さて6月に入りましたので半衿や帯揚げも絽目のものにして麻の帯などでも透けすぎないものでしたら使い始めて良いと思います。

単純に紬の単衣は6月と9月とか麻は7、8月のみとかではなく、紬といっても糸質、生地の厚さや撚糸、透け感など様々あるわけですから気候変動も考慮に入れ、愉しく、美しく、賢く、楽に!これからの季節を過ごしたいと思います。

今から仕立てておけば秋口から11月いっぱいは着ることのできる本当に着易い単衣紬をぜひご覧いただきたいと思います。

質の良いものは飽きもきませんし、自慢げに着るというようなことではない満足感がえられます。洗い張りする事に風合いを増し、次世代へも繋いでいけます。

工房でも引き続き「特別キャンペーン」をしておりますので、この機会に気軽にご覧ください。

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