中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

コンクリートから自然素材のものへ

2012年12月29日 | 自然環境・脱原発
 工房のニッチに置いている彫刻。
「祈ル手」岸野承作(材は春日大社の鳥居)

工房の大掃除をしてこのブログを書き今年の仕事納です。
お陰さまで日々染織の仕事に勤しむ事ができました。 

最近になって半分諦めていた腰痛が、腕を真っ直ぐに上に上げ、少し反るぐらいに手の指先までピンと伸ばし、そのあと脱力する体操(10月にたまたまあるギャラリーでお会いした野口整体の方に教えてもらいました)のせいか少し軽くなり、まだまだ頑張れそうな気がしてきました。

私にとって今年の大きな仕事として5月に上梓した作品集『樹の滴――染め織り着る』があります。

創作活動をされている方にも着物に関心をお持ちの方、そうでない方にも手にとって読んでいただけるよう個人の自己表現としての作品集に留まらないよう作ったものです。
大事なことと思われることは書きました。

ただ技法書のように説明的な書き方はしていませんので気付いていただけるかどうかは読み手によるとは思いますが…

染織をしている方から今までの自分の仕事は何だったのか‥、あるいは読むのが少し怖い…というような感想もいただきました。

紬という言葉にはいろいろな受け止め方があるようですが私が思っている紬は人に強さとやさしさを与えてくれる自立の証のようなものだと思って仕事をし、そして私も着ています。

お金持ちの方が着る着物とか贅沢品志向とは正反対の立ち位置で考えています。
いわゆる呉服商品の範疇の紬(過剰に細かい柄にして高額にしたり、ブランド名で売らんかな主義の)ではないのです。

着てくださっている多くの方々も着物自慢のために買い求めてくださったわけではなく大事に一生をかけ着ていこうとしてくださっています。
お金のある無しではないのです。また大事なことは単に価格の高い安いではないです。

手仕事系や着物関連の仕事も厳しさは続いていますが、今こそ大切にしなければならないと思います。
染織の仕事を「趣味」のように思われがちですが(そういう方も多いので仕方ないのですが)、世の中の流れに翻弄されないで人間がやるべき仕事をしていくしかないです。
私は手仕事を諦めないです。そのほうが私も楽しく幸せですし、周りの人にもそう感じてもらえるからです。

まだお読みでない方も『樹の滴』をお読みいただき、よろしければ感想をかたち21のメールをお使いいただきお送り頂けますとありがたく思います。
着る人の輪を広げて良い繋がりを持ちたいからです。


政治の方では「コンクリートから人へ――」は道半ばで交代となりました。
いきなり「人へ」というのが良くなかったと思います~。~-~;

先日の笹子トンネルでの大事故でアンカーボルトの34年の経年の劣化??と関係者が言ってましたが怒りを覚えました。
1トン以上もあるコンクリートパネルを13センチのボルトに接着剤を付け固定していたということですが小学生でもそんなものは危ないとわかります。頭の方が劣化しているのでは?と言いたくなります。
経年のせいではなく初めから設計、構造上のミスです。定期点検もずさんだったようです。他でもいつ起こるかわかりません。事故後天井板を外しましたがその廃棄物はどこへ捨てるのでしょう。

自然素材で作られた、経年によって美しさを増す建物や製品が増えて欲しいと思います。
自然エネルギー、再生可能エネルギーの開発、そういう公共工事を増やして景気を回復し、人が危険にさらされたり、大量の土に還らない廃棄物が出ないようにしてほしいです。

東日本大震災で生じたがれきがアメリカ、カナダの西海岸に大量に流れ着いてるそうですが、鳥が洗剤の容器などプラスチックを餌として食べてしまって死んでいるそうです。
魚も影響を受け、人間もそういった魚を摂取することにもなりかねません。
不要に、安易にプラスチック製品は使わないよう心がけたいです。

東日本大震災は大量消費社会の私たちに警鐘を鳴らしているとも言えます。

身近なところから少しでも変えていきたいです。
その一歩は私たち市民一人ひとりが自然素材のものを大切に手入れをしながら使い、暮らしをつつましくも豊かにすることを第一に考えることだと思います。
その最たるものとして着物があったのではないでしょうか?

自分の意思で自分に合う着物を一生をかけて着る人が増えて欲しいと思います。
来年も紬塾では環境のことも含め、着物を着る話をしていきたいと思います。

先日申し込んだ講演会のキャンセル待ちが出て、小出裕章さん、広瀬隆さんの話を聴きに行ってきました。
放射能の影響を受けやすい子供、30歳以下の若者たちを守らんとする悲痛な叫びを感じました。
その模様がYoutubeで視聴できます。4時間と長いのですが2時間ずつに分けてでも是非ご覧いただきたいです。
着物が捨てられていった時代と原発がどんどん作られていった時代は重なります。

また私は行けませんでしたが、24日にも日比谷で集会がありました。
脱原発宣言を即座に出した城南信金に私も口座を持ち昨年5月から着物貯金を始めましたが、理事長の吉原毅さんの話もわかりやすくてうなずいてしまいます。
こちらもお正月にゆっくりご覧ください。

今年も多くの方にいろいろとお世話になりました。
本当にありがとうございました。

少しでも日本の国、そして世界が良い方向に向かうことを心から祈ります。
みなさまもどうぞ良いお年をお迎えください。
コメント
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