夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

何を失い、何を得るのか・・老人ホームに「入れる・入る」決断を考える、私は真摯に学び、やがて多々教示されて・・。

2019-03-04 14:24:09 | ささやかな古稀からの思い

先程、愛読している公式ネットの【 現代ビジネス 】を見ている中で、
『 何を失い、何を得るのか・・老人ホームに「入れる・入る」決断を考える 
          ~ 早く決めねば手遅れになる ~』と題された見出しを見たりした・・。

私は東京の調布市に住む年金生活の74歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭である。
そして雑木の多い小庭に古ぼけた一軒屋に住み、お互いの趣味を互いに尊重して、日常を過ごしている。

こうした中、私たち夫婦はお互いに厚生年金、そしてわずかながらの企業年金、郵便個人年金を頂だいた上、
程ほどの貯金を取り崩して、ささやかな年金生活を過ごして、早や15年目となっている。

これまで幸運にもお互いに元気で過ごしてきたが、いつの日にか、どちらかが介護・要となった時は、
やむなく介護施設にお世話なる、と漠然としながらも私たちは話し合ったりしている。

しかしながら、これからの晩年期の脚色もない老人の実情の言動、
或いは介護施設などに関しては、体験されている御方の具体的な真情を学びたく、
記事を精読してしまった・・。

            

この記事は、『週刊現代』2018年11月17日号に掲載された記事のひとつで、
関連の公式サイトの【 現代ビジネス 】に2019年2月24日に配信され、
無断ながら転載させて頂く。

《・・何を失い、何を得るのか・・老人ホームに「入れる・入る」決断を考える 

家に住み続けたいという「親の願い」をとるか、
子である「自分の生活」の安寧をとり、老人ホームに入ってもらうか。

難題だが、決めねば手遅れになる。
因果は巡り、やがて自分も「入る」時が来る。

            

☆「もう限界でしょう」

都内に住む会社員・高橋和洋氏(62歳・仮名)が、異変に気づいたのは、2年前のことだった。

「同居する84歳になる父は、早朝、新聞をポストまで取りに行くのが、日課でした。
しかし一通り読んだ父が、またポストに新聞を取りに行っている。

友人との待ち合わせを忘れ、何時間も待った相手から、電話がかかってくる。
明らかにおかしいと思い、近くの病院の『もの忘れ外来』に連れて行きました」
(高橋氏)

懸念したとおり、医師は、認知症と診断した。

「介護保険の申請をして、症状が進む前に施設に入れることも考えて下さい」
だが、症状は、施設に入れるほど深刻だとは、とても思えなかった。

そこで、とりあえずデイサービスに申し込んだのだが、
通いだして2日後、施設から電話があった。
父が職員を殴ったという。

「びっくりして迎えに行くと、父はまだ暴れていて、『帰る!帰る!』の一点張りでした。
これが続くと、皆さんにも迷惑がかかると思い、利用を断念しました」

代わりにヘルパーを手配することにしたが――。
「妻が仕事に出かけようとすると、父の怒鳴り声が聞こえてきた。
『あんたは誰だ。うちに勝手に入ってくる奴は許さん!』と言って、
ヘルパーさんに、つかみかかったというのです」
(同)

            

高橋さんの母は、30年前に亡くなった。
その後、同居してきた父は、高橋さんの子どもが小さな頃は、保育園の送迎をして、
夫婦の帰りが遅いときは、代わりに子どもに夕食を作って食べさせてくれた。

その感謝の念は強い。
とても、施設に入れる踏ん切りはつかなかった。

だが、この半年、父はさらにおかしくなってきた。
朝どこかに出かけて、夕方に家に戻ってくる日々。
途中、仕事中の妻に電話をしては「外にいるが、お金がない。持ってきてくれ」と言うのだ。

ある日、近所の喫茶店から電話があった。
「お父様は、お財布はお持ちですが、中身は空っぽで、コーヒー代が払えないと話しています」

慌てて喫茶店にお金を払いに行き、父を連れ帰った。

主治医に相談すると、こう言って、施設入りを強く勧められた。
「だいぶ症状が進んでいる。この先、万引きをしてしまうかもしれない。
ご家族の様子を見ると、みなさん疲れている。
もう限界でしょう」

ふと妻の顔を見ると、確かにげっそりと痩せている。
ここのところ、仕事も休みがちで、父の面倒を見ている。2年で5kgも痩せたという。
同居する子どもの笑顔も減った。

あの優しかった父を見捨てて、老人ホームに入れるしかないのか。

実際、父は「俺を老人扱いするな。身体も十分に動くじゃないか」と言うし、
「俺は息子夫婦に看取ってもらえるんだから、幸せもんだな」と、
近所の人に自慢していたのを、高橋さんは知っているのだ。

だが、このままでは、自分が参ってしまう。

「介護ぷらす」代表の山川仁氏はこう語る。
「親を施設に入れる決断ができず、先延ばしにしているうちに、
介護疲れで、家族が倒れてしまうケースは多い。
ポイントは、本人が嫌がったとしても、入居を勧める覚悟が、家族にあるかどうかです」

             

☆「先送り」で事態は悪化する

だが、勧め方を誤れば、事態はいっそう悪化する。

今年3月、大阪市在住の谷田宏治氏(59歳・仮名)は、一人暮らしの母(81歳)を老人ホームに入れた。

「母は、2年前に腰の手術を受け、歩行できなくなり、車椅子生活になりました。
もう一人暮らしは無理だろうと、ケースワーカーに相談したところ、隣の市の老人ホームを紹介されました。

しかし、母は『自宅で死にたい』が口癖で、ホーム入りを嫌がりました。
そこで、『体調が回復するまでの辛抱だから、よくなればすぐに家に戻れるから』となんとか説得して、入所させました」
(谷田氏)

母の入った介護付きホームは、新しかった。
入居一時金はなく、食費込みで毎月14万円程度の利用料は、良心的に見えた。
だが、トイレ付き約6畳の部屋は、ベッドを置けば、狭く感じられた。

「友人もできたのですが、そのうち、『(他の入所者の女性に)酷いことを言われた』
と母が怒り出して、誰とも口も利かなくなった。

また、隣の部屋のおじいさんが、耳が遠いのか、
朝から深夜まで大きな音量でテレビをつけっ放しにしている。
そういうことが積み重なり、施設が嫌になっていったようです」
(谷田氏)

そして、入居からわずか1ヵ月後、母は行動に出た。
施設近くに住む知人に頼み「こんなところ出て行く。連れて帰って!」と懇願し、
着の身着のまま、車で実家に戻ってきてしまった。

谷田氏は、「せっかく入ってもらうチャンスだったのに、これで母が頑なになってしまった」と悔やんでいる。
今はホームヘルパーに週2度来てもらっているが、谷田氏は、不安で仕方がないと言う。
最近、母に認知症の症状が出始めているからだ。

しかし、問題を先送りにすればするほど、事態は悪化する。

高齢者住宅アドバイザーの岡本弘子氏が語る。
「認知症が進むほど、何が何でも自宅にいるという願望が強くなります。
不安症状が強くなり、知らないところに連れて行かれるという不安から、拒否行動に出てしまう」


            

☆親の気持ちか、子の生活か

両親2人だけで暮らしていて、子どもが離れて住んでいるというケースでも、問題は深刻だ。
千葉県在住の西川幸雄氏(60歳・仮名)の両親は、ともに80代で、山口県内の実家で2人暮らしだ。
 

「母が大腿骨を骨折し、歩けなくなりましたが、自宅が古く、車椅子を家の中に入れることもできない。
父は元気ですが、一切家事ができず、ヘルパーさんに来てもらっています。

母だけを施設に入れることを考えたのですが、
すると元気な父のところへは、ヘルパーさんが来てくれないので、父が困ってしまう」

そこで、両親をともに老人ホームに入れようとしたが、父が猛反対した。
「俺は母さんとここに住む! なんで俺が、病人と一緒にされないといけないんだ!」

当の母親自身も、本誌にこう語るのである。
「私も、できれば自宅で、死にたいんです。
施設を見学しましたが、認知症患者の方ばかりで、とても生活したいと思えませんでした。
周囲に迷惑をかけているとは思うものの、夫のことも心配ですし、今のままでいたい」

だがこのままでは、夫婦共倒れになりかねない、と西川氏は危惧する。 

親は、自分の人生は、自分で決めたいと願う。
それが「家に住み続けたい」という選択だったとき、老人ホームに「入れたい」と思う子は、
究極の決断を迫られる。

親の気持ちか、自分たちの生活か、どちらをとるのか――。

妥協点は、早めに見つけねばならない。

介護福祉トラブル解決専門の外岡潤弁護士は、「親を施設に入れるには、切羽詰まってからでは遅い」と言う。
「最終的に在宅介護で行くか、施設に入れるか。
あるいは親が遠距離なら呼び寄せるか。

5年先までシナリオを練るべきです。
状態が悪化してから、安易に施設選びをすると、けっきょく後悔します」

            

ただし、「入れる」ことを決めても、トラブルは頻発する。
恋愛沙汰もそのひとつだ。

岡田恭一氏(50歳・仮名)の父親(77歳)は、
心臓に持病を抱える妻の入院を機に、老人ホームに入所したが、予想外のことが起こった。

「同い年くらいの女性が、ショートステイで入ってきたのですが、彼女と親父がいい仲になってしまったんです。
トイレの中で、親父とその女性がキスをしていたと職員に聞かされました。

相手は自宅に戻りましたが、老いらくの恋は容易には冷めず、
親父は電話番号を控えていて、こっそり先方に電話して、ときどき話していたのです。

向こうの娘さんが心配して、私に電話があり、話し合った結果、電話番号を書いたメモを捨てました。
父もいずれ忘れるでしょう」

            


また、大きな誤解が「看取り」だ。
老人ホームは、必ずしも終の棲家にはならない。

青森県在住の木田逸郎氏(61歳・仮名)の母(89歳)の場合。

「母は、老衰でこの春からほとんど食事をとらなくなったのですが、
施設は『食事をできない方は、他の介護療養型医療施設に移ってもらうことになっている』と言う。
そこでやむをえず転院を了承したのです」
(木田氏)

高齢者住宅情報センター大阪センター長・米沢なな子氏も言う。
「多くの方は、『最期まで看取ってくれるところがいい』と要望されますが、
一般の居室から、介護状態で住み替えができ、終生住める老人ホームは、たいてい高額です。

介護度の上がり具合によっては、住み続けられないケースもあることは知っておくべきです」

ふだんは個室に比べて、忌避されがちな特養や老健施設の「多床室」も視野に入れるべきというのは、
NPO法人「二十四の瞳」代表の山崎宏氏だ。

「有料老人ホームは、基本的に個室のため、亡くなってから発見されることさえある。
要介護状態では、むしろ多床室のほうが、職員の目に触れやすく、リスクが減ります」

            

親の看取りが済めば、やがて自分自身が「入る」決断を迫られる。
今年6月、田嶋駿介氏(75歳・仮名)は、子どもの負担を考え、夫婦2人で兵庫県の有料老人ホームに自ら入った。 

「家を捨てるのが、嫌で仕方なかった。
でも、息子も嫁の実家の世話があるし、家も離れている。
仕事もあるからこっちに戻れとは言えないからね。

自宅の土地を売ったお金で、有料老人ホームに入った。
初期費用が1000万円、月額利用料が30万円、さらに食費や雑費がかかる。
貯金もほとんどないから、賭けだった」

☆自ら進んで入ったが…

ホームでは、夫婦部屋だ。
窓からは海が見渡せ、景色もよかったが、20平米足らずの2人部屋は、窮屈だった。
田嶋氏が語る。
 

「持ち込めた荷物は、たんす2つ分だけ。
位牌や仏壇と着替え、家族のアルバム、少しの本と映画のDVD、
妻は、趣味の手芸の道具くらい・・・。

これが終の棲家かと思うと、泣きたくなったよ。
思い出の残る2人の荷物を処分するのは、想像以上にしんどかった」

            

施設の居心地は、悪くなかった。
いくつもある共有スペースでは、読書やビリヤード、陶芸に絵画、園芸までも楽しめる。
花見や遠足などのアクティビティも充実していた。

「でも、しょせんは、老人向け。話の合う人など一人もいない。
挨拶はするが、それだけの仲や。
妻は、最初の頃は友達作りに頑張っていたが、途中で音を上げた」
(同)

今は、施設のバスで最寄り駅まで行き、喫茶店で時間を潰すことが、日課になったのだという。
「部屋にいると、だらだらテレビを見て、酒に手が伸びてしまう。
このままでは、アル中まっしぐらや。
こそこそ飲む酒なんて楽しくない」
(同)

ただし、田嶋氏の場合は、夫婦仲は円満だからこそ、やっていけるという。

夫婦で入居しても、実質的に「熟年離婚」しているケースも多いのだ。
「自分は2階フロアにして、夫は1階フロアにしてくれと要望した奥さんがいました。 

苦労をかけられたから、入居してまで一緒に生活したくないと言うんですね。
ご主人のほうは、立ち直れないほどのショックを受けていました」
(前出・山川氏)

多くの人にとっては、一度きりの決断だ。
後悔しないためにも、「入れる」「入る」の考え方は、
親子、そして夫婦で丁寧に話し合っておきたい。・・》
           

注)記事の原文に、あえて改行を多くした

            

記事を読み終わった後、私は真摯に学び、やがて多々教示されて、これからの難題に溜息を重ねたりした・・。

息子夫婦に同居する84歳の父親が認知症になり、《・・ふと妻の顔を見ると、確かにげっそりと痩せている。
ここのところ、仕事も休みがちで、父の面倒を見ている。2年で5kgも痩せたという。
同居する子どもの笑顔も減った・・》、切なく私は胸が熱くなったりした・・。

そして介護施設の無知だった基本を学んだりした。

《・・高齢者住宅情報センター大阪センター長・米沢なな子氏も言う。
「多くの方は、『最期まで看取ってくれるところがいい』と要望されますが、
一般の居室から、介護状態で住み替えができ、終生住める老人ホームは、たいてい高額です。
介護度の上がり具合によっては、住み続けられないケースもあること、は知っておくべきです」 

ふだんは個室に比べて、忌避されがちな特養や老健施設の「多床室」も視野に入れるべきというのは、
NPO法人「二十四の瞳」代表の山崎宏氏だ。
 

「有料老人ホームは、基本的に個室のため、亡くなってから発見されることさえある。
要介護状態では、むしろ多床室のほうが、職員の目に触れやすく、リスクが減ります」・・》

もとより有料老人ホームは、都心の郊外にある施設でも高額で、
私は永らえば支払いで、貯金の底がつく、と感じたし時があったりした。

そして《・・個室のため、亡くなってから発見されることさえあり・・
多床室のほうが、職員の目に触れやすく、リスクが減り・・》
こうしたことを少なくとも学んだりした。

            

今回、私は切実で長らく思案させられたのは、
断腸の思いで自宅を処分されて、介護施設に入居された御夫婦・・。

《・・
「持ち込めた荷物は、たんす2つ分だけ。
位牌や仏壇と着替え、家族のアルバム、少しの本と映画のDVD、
妻は、趣味の手芸の道具くらい・・・。

これが終の棲家かと思うと、泣きたくなったよ。
思い出の残る2人の荷物を処分するのは、想像以上にしんどかった」
 

施設の居心地は、悪くなかった。
いくつもある共有スペースでは、読書やビリヤード、陶芸に絵画、園芸までも楽しめる。
花見や遠足などのアクティビティも充実していた。
 

「でも、しょせんは、老人向け。話の合う人など一人もいない。
挨拶はするが、それだけの仲や。
妻は、最初の頃は友達作りに頑張っていたが、途中で音を上げた」
(同)
 

今は、施設のバスで最寄り駅まで行き、喫茶店で時間を潰すことが、日課になったのだという。・・》

こうした老夫婦の晩年期の余りにも切ない真情を学び、
私は瞼(まぶた)が熱くなり、やがて涙を浮かべていた・・。

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