日本は世界でも指折りの長寿国として知られています。

しかし、その実態は、最期まで元気に活動して、天寿をまっとうするピンピンコロリ(PPK)は少なく、
男性は平均9年、女性は同12年も介護された末に、死んでいくという、
ネンネンコロリ(NNK)が他国に比べて際立って多い「不健康長寿国」なのです。


☆病院は決して安全な場所ではない

なぜでしょうか。
最大の理由は、病院などの病床数の多さにあります。
日本では人口当たりの病床数が、アメリカの4倍以上あり、患者の入院期間も3倍近く長いのです。

病床数が多ければ、いざというとき、すぐに入院できるので安心だと日本人は考えがちですが、
後期高齢者の場合、病院のベッドで点滴の針を刺したまま、トイレにも行かず過ごしたら、
間違いなく寝たきりになるでしょう。

ベッドがたくさんあって、すぐに入院できる一見理想的な環境が、
逆に寝たきりの高齢者を増やしている。
これが日本の現実です。

また、これも多くの人は誤解していると思いますが、
病院は決して安全な場所ではありません。
病院に近づけば医療事故や薬害などの危険にさらされます。

たとえば肝臓がん。
酒の飲みすぎが原因だと思われがちですが、男性の肝臓がんによる死亡率を見ると、
新潟、岩手、秋田など酒どころといわれる県では低く、
比率の高い福岡や大阪の3分の1程度でしかありません。

実は、肝臓がんは、飲酒ではなく、医療事故によるC型肝炎ウイルスの感染が、
最大の発症要因なのです。

医療事故がどれくらい起こっているか、知ったらびっくりすると思います。
EUの公式資料によれば、病院の医療事故で死亡した人数は年間約15万人。
そのため、EU域内に住む人の約53%が、病院は危険なところだと認識しています。

わが国の実態は公表されていませんが、数十万人規模での医療事故や薬害が、
起こっていると思われます。


        

☆歯科医には、こまめにかかったほうがいい

では、どうすればネンネンコロリ(NNK)を避け、ピンピンコロリ(PPK)を実現できるのでしょうか。
それはなんといっても医師に頼りすぎず、
自分の健康は自分で保つのだという気概が持てるような支援環境を公的に整備することです。

そのうえで各種の情報を調べ、納得のいく治療を受けるようにしましょう。

一方で、歯医者さんには、こまめにかかったほうがいいようです。
私たちの調査では、「かかりつけの歯科医師がいる」と答えた人が長生きでした。

どんなメカニズムが働いているのか明確なところはわかりませんが、
私は次のような仮説を立てて追跡調査をしています。

まず、歯科医の支援を受けることで、望ましい口腔ケアの知識が得られ、
高齢になっても歯と口の健康を保つことができる。

食は生きることの基本ですから、歯や口が健康であることには大きな意味があります。
また、定期的なケアを受けるため、歯医者さんへ「お出かけ」していることも健康長寿には望ましいのです。