ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

日本の大学の体制を考える

2017-04-25 16:51:47 | 東工大

前回に続いて大学の体質強化の話である。大学教授は待遇面でも一般企業とかなり異なっている。大学教授は社会的なステータスは高いが給料はそれほど高くない。私立大学は別かもしれないが、国立大学は有名教授だからと言って特別に給料が高くなるわけではない。今、苦境に立っている東芝でも、東大教授以上の年収の人が東大教授全体よりもかなり多くの人数が居るだろう。役員になれば東大教授の数倍貰っていると思う。大学教授は給料はそれほど高くはないが、降格されることは無い。よほどの不祥事でも起こさない限り定年まで職を追われることはないだろう。これは日本だけではなくアメリカでもテニュア制度と言って大学教授は定年まで勤められる代わりに給料はそれほど高くない仕組みになっている。

競争が激しい現代にあって、このテニュア制度を廃止するべきだろうか? 学問という性格上、個々の教授は社長だとみなして介入しないという原則と合わせて考えると、このテニュア制度も維持したほうがよさそうに見える。そうすると各教授がすべて研究室内で准教授を跡継ぎとして立てれば、新陳代謝は起こらず、研究室の数は増えるだけということになるだろう。戦後、教育システムが崩壊したところから再立ち上げして、経済発展してきた時期は、教授数が増える一方でよかったが、経済が飽和し、人口が減少を始めて現代ではこのやり方は維持できないことは明らかである。そうすると、准教授の教授昇格審査を厳しくして、教授に昇格できない研究室を作るか、教授のパフォーマンスが悪いところは准教授を持てないようにする方法などが国としては不可欠だろう。2割くらいは跡継ぎの教授が居ない研究室ができる一方で、15%くらいは新しく就任する教授ができる、というような形にしていけば、新陳代謝が起こりつつ、人口減少に合わせて教授数も減っていく、という調整ができそうである。

大学教授の評価をすることは極めて難しいし、教授同士で評価をしたがらないという傾向もある。しかし、総数の枠を抑えて減らさないといけないというようにしていけば、どうやれば納得性の高い評価ができるかは大学が工夫するのではないだろうか? 今の政府の取り組みがどういう方向に向かっているのかを私は知らないで書いているのだが、新陳代謝が必要、枠は増やせない、テニュア制度は維持するという条件を付けるとこんな方法しかないのではないかと思える。