遅れはどんどん拡大していき、電車に乗った時点では7分の遅れ、というのが着く頃には20分に拡大するのが普通だった。私は最初は遅れが出ると、遅れた電車に乗ろうとして人が殺到して出発が遅れ、ますます遅れが拡大するのだろうと思っていた。東急はこれを解決するために大井町線を強化して急行を走らせ、乗客を大井町線側に流して対応し、一年ほど前から半蔵門線の混雑はかなり緩和された。
自然発生的な遅れは少なくなったが、ドアに挟まれた、といった小さな事故による遅れは今でも出ている。そして一旦遅れが出ると遅れは今でもどんどん拡大している。電車自体はそれほど混雑しているわけではない。特に渋谷を過ぎるとかなりの人が降りるので、乗客の乗降に時間がかかって遅れるわけはないのに、遅れは拡大する。
私は、これは営団地下鉄が「故意に遅れせている」のだろうと推測している。「故意に遅らせる」というのは棘のある言い方だが、私の推測では以下のようである。朝のラッシュ時にはトラヒックを増やすために、運行計画を精密に計画しているのだが、遅れが発生すると運行プログラムが「安全確認モード」になる。この「安全確認モード」では電車の運行間隔が通常のラッシュ時よりも長く設定されているので遅れが拡大するのだろうと思う。
これを問題と思わないのだろうか、どうして改善できないのだろうか?ラッシュ時間の安全確認モードを見直す余地はあると思う。おそらく東急は何度も申し入れを行ったが地下鉄側が対応しないので自助努力として大井町線に乗客を流すようにしたのだろう。地下鉄でも乗務員などは問題意識を持っていると思うが、上のほうで「都の安全基準である」と言ってはじかれているのだと思う。
世界標準を作る会議に出ていると感じるのだが、日本人は「これがルールだ」と言われるとそのルールを変えようなどとは考えない傾向が強い。しかし最近の競争はルール作りが勝負になってきている面があり、日本経済が世界の中で存在感を失ってきているのもこのあたりが原因の一つかと思っている。