先週の第4局では序盤で名人がリードし、中盤で挑戦者が盛り返してこれからというところで読み違いが出て再び名人がリードした。更にそれを盛り返そうと挑戦者が多少無理をしたところを名人が鮮やかに切り返して勝負を決め、対戦成績を2勝2敗とした。
この第5局は1日目で挑戦者の石が取られそうな大変な戦いになりどうなる事かとかたずをのんで見ていたが、2日目の午前中に名人が優勢と判断して兵を引いて穏やかな別れになった。
しかし、挑戦者は大きな黒地を食い破る手を狙っていてそれを前提に周辺を固く打っていた。 その挑戦者の狙いが炸裂して、名人の黒字が破られたところで私は外出したのだが、今朝の新聞を見ると名人の半目勝ちになっている。手順を追ってみると名人が被害を最小限にとどめ、それまで挑戦者が固く打っていたこともあってその破られた部分の決着がついた時点ではやや名人優勢とのことである。
つまり挑戦者はもっと大きく得をする破り方をしないといけなかったのだろう。私の眼には鮮やかな手筋を放って黒地を破ったように見えたが、確実に破るために犠打を放ったのが破ってもうまく修復されると優勢にならなかった理由だろう。
それでも半目勝負であり、名人同士の緊迫した戦いを堪能することができた。 これで名人の3勝2敗、これまでの流れをみると名人が優勢になって挑戦者が盛り返す、というパタンが多く、わずかに名人優勢という感じがするが、素人目には名人優勢と見えても挑戦者は狙っている部分があり、そこを確実に突いていくので、まだ勝負の行方は分からない気がする。 大熱戦の名人戦で楽しませてもらっている。