情報伝達の遅れが招いたセシウム汚染

セシウムに汚染された藁を食べた牛の肉にセシウムが２次汚染をしてしまった。このセシウム汚染、元を正せば情報伝達の遅れが原因であった。福島原発で水素爆発が起きたときに、速やかに周辺住民にこの事実を伝え、人間だけでなく動物にも汚染が広がらないようにしなければならなかった。
東京電力と政府の責任は大きい。原発事故と云う未曾有の災害を軽く見てしまったのがそもそもの原因である。チェルノブイリの事故やスリーマイル島の事故を日本は知っているはずであったが、学習されていなかった。あの事故がどのようにして起き、その後放射能汚染がどのように広がったのか。
今回の原発事故で多くのことを学習したはずだが、果たして本当に身についているかどうか。その後の処理を見ていると、余り学習能力がなされているとはいえない。少なくとも、４ヶ月以上過ぎているのだから、もっと学習されてもいいはずなのだが、どうしても頭の中に入らないらしい。このまま行くと、福島原発は、石の棺桶になる。
情報の伝達にしても、隠蔽もあるし伝達も遅い。これは東京電力の体質なのか、国の体質がそうなのか、と云うことである。民主党の政権でも自民党の政権でも同じだということは、今回の事故でよく解った。問題は、官僚に原因があるのかもしれない。しかし、それではどうすればいいのか、と云うことだ。
情報伝達の遅れは、原発事故だけではない。尖閣諸島の中国船のときにも同じようなことがあった。開示しなければならない情報を隠蔽すれば、後でどんなことになるのか。いつも後の祭り、と云う状態だ。日本は戦後、南太平洋で行われた核実験のとき、放射能汚染に見舞われた。広島、長崎での原爆投下。日本は放射能には極めて縁が深い国だ。それにも拘らず、放射能の汚染処理に関しては発展途上国並みである。とても先進国とはいえない。
これほど放射能汚染が問題になっても、全国で統一したチェック体制が取れないのは何故だろう。大体、放射能測定でも統一したものが出来ないでいる。不思議な国である。汚染が広がっているのに、監督官庁がばらばらと云うのもおかしな話である。国は本気で放射能汚染を考えているのだろうか。今の状況を見ると真剣に考えているとは思えない。

チームプレーが出来ない総理大臣、日本丸大丈夫か

国を担うということは単に個人的な趣味や考えを広めるのが仕事ではない。大臣ともども一緒になって国を治めるのが総理大臣の仕事のはず。チームプレーが出来ない総理大臣の元では、大臣の仕事はバラバラになること間違いない。日本丸と云う船を操縦している船長が、通信士や機関士などの言うことを全く聞かないで、独りよがりの行動をしたら、この船は真っ直ぐ進めない。
日本丸の船長は、何処へ向かっているのか。最初の工程表にないところへ行こうとしている。もはや工程表は更新されずに、船長の考えだけで船が進んでいる。行き先は誰も解らない。はっきりしているのは、船が動いている、と云う現実だけである。果たして、日本丸の船長は、船長としての仕事をしているのかどうか、である。
企業でもそうだが、チームプレーが出来ない人がそのチームの長になると、そのチームはバラバラになる。これは国だけでなく企業など総ての組織にいえることだ。会社や役所に入ると必ず先輩からチームプレーのことを言われる。仕事をする上で最も重要なことの一つだからだ。頭脳明晰なのも必要かもしれないが、小生がいた企業はプロジェクトチーム制を敷いていたので、チームプレーが出来ないと仕事が進まない。最も大きなプロジェクトになると、延べ３万人を超えたこともある。これが国だったらどうだろうか。１億１千万人の人口を動かしている総理大臣は、個人的な考えだけでのうのうと発言して理想を述べている。理想は悪くはない。誰でももっているのだが、閣僚たちとチームプレーを組んでいることを忘れてしまっては困る。公人としての総理大臣は、総ての発言が世界に発信される。
菅総理は、管直人と云う私人と総理大臣と云う公人と区別がついていないような気がする。国の代表として行動するのは総て公人である菅総理なのである。居酒屋へ行って酒を飲んだり中華蕎麦屋にいってラーメンを食べるのは私人の菅直人である。この区別がどうしてつかなくなってしまったか。日本丸を引っ張っていく総理大臣としては失格である。市民活動かとしてどれだけ実績を挙げようと、総理大臣とは違う。
チームプレーを率先してやろうとしないのか、それともそんなの関係ない、と云うことなのか。公人としての総理大臣は、どうあるべきなのか。そんなことを考えたこともないのだろか。民主党で指名されたから棚から牡丹餅で総理大臣になってしまったのか。脱原発は意見としては立派であるが、それを実現するための道筋をどのように決めていくのか、全く何もない。これではいいっぱなし、で絵に描いた餅になりかねない。チームプレーをこれから進めるのは出来ないものか。