イギリスがEUから離脱するかどうかの国民投票で、国民は離脱することを多数決で選んだ。結果が出た瞬間、イギリス国民のうち離脱に投票した人が何が起きたのか解らないようであった。離脱が実現することが決まるとは思っていなかったのかもしれない。また、離脱に投票した人のうち一部の人が離脱の意味を理解していなかったようだ。民主主義という制度が何を意味するのか本当の意味を理解していなかったのかもしれない。
中国の習近平主席はイギリスの民主主義を嘲笑っているようだ。中国では国の重要な物事は全て共産党首脳部が独断と偏見で決めているからだ。中国人民の意見など聞いたことがないし、聞く必要もない。そもそも、人民政府が何を検討し、どのような過程で決まったかを人民に説明する必要がないからだ。共産党政権が出来てから、共産党が独自に決めているのであって、人民は全く関係がないのである。
イギリスと中国は、国の制度が全く異なるので、中国からイギリスを見ていたら、何故あのようなことが起きたのか中国人民には理解ない出来ないだろう。要は民主主義という制度が理解できない、という事だ。報道の自由がない中国では、国の重要事項はおろか、国で起きた重要な出来事さえ政府がそれを報道するかどうかも決めるのである。中国人民にとって「政府とは何か」という問いには答えが出ないであろう。
単に中国人民だという証明書を発行してくれるところ、という事くらいしか繋がりがないはずだ。政府の批判などしたら直ぐに官憲に拘束されるだろうし、正常な精神を以って生活をするのは民主主義国家で生活してきた人には難しいだろう。若しも、中国人民に「民主主義を知っていますか」と聞いたら何て答えるだろうか。習近平主席と同じように嘲笑うかもしれない。人民は「政府にお任せしておけば何も考えなくてもいい」と思っているかもしれない。
政治は共産党に任せ、生活は自分たちで適当にやればいい、という事だろう。中国人民にとって今の生活が適当に出来れば民主主義でなくても何ら構わない、という事ではないか。「さわらぬ神に崇りなし」というのが中国人民の姿ではないか。チベットやウイグルなどは生活に関係なければ知らんぷりということだろう。人権抑圧も生活に関係なければ知らんぷり。中国にある辞典には「民主主義」という言葉は載っていないと思う。必要ないからだ。