ヨーロッパ諸国はロシアから天然ガスを大量に購入している。天然ガスは国のエネルギー源である。これをロシアが握っている以上、ヨーロッパは手も足も出ない。ウクライナにおけるロシアの侵攻を許したアメリカやヨーロッパは、ロシアに対して制裁を掛けたが、強い制裁を掛けることが出来なかった。ロシアに弱みを握られている以上、何もできないのと同じ。これを解決する手段は、ロシアから天然ガスを買わないことだが、今さら言っても遅い。
エネルギーや基幹産業の糧となる重要物資は、ある特定の国から集中して購入するのは極めて危険が伴う。嘗て、日本もレアアースを中国から大量に購入していたことがあり、中国は尖閣諸島問題で、それを戦略物資と捉え、輸出規制を掛けてきた。この問題、幸いにも日本が新たに技術開発をしてレアアースに変わるものを考え出したので事なきを得た。ところが、エネルギー源となると、簡単に別の所に変えることはできない。
今回のことを他山の石として考えるとしたら、何処の国でも起きることであろう。特に中国が投資している国には、中国がいかなる手段を用いるかを良く見ておかないといけない。この国は戦略物資以外にも様々な手を使って飴を沢山与え、いい気になっているといつの間にか国の中枢まで入り込んでいる。そして、挙句の果てに国を乗っ取られる。ヨーロッパ諸国が、安いと思っていたロシアの天然ガスに魅了して大量に継続的に買うことを約束してしまった。今更ながら大失敗である。決して安い買い物ではなかったという事になる。
世界には富める国よりも富めない国の方が多い。富めない国にとって有難いと思う援助は何となく手を出してしまう。甘い汁には必ずその先に辛い汁が待っている。良いこと尽くめ等あり得ないのだ。ヨーロッパがロシア以外からの天然ガスに変わるものを購入しないと何時まで経っても首を抑えられているのが続くことになる。強かなロシアの戦略勝ち、という事だ。
その昔、日本では敵に塩を送ったという話があるが、これなどは夢のまた夢。中国もレアアースを戦略物資として輸出をストップした。ロシアや中国は、資源を戦略物資とする国だ、と云うことが強い印象として残った。