どんな立派な政策でも失敗はある。全てが成功するわけではないし、成功したとしても全ての人に幸福をもたらすわけではない。その昔「所得倍増論」を唱えた総理大臣がいたが、殆どの人たちが給料が倍増されればこんな好い事はない、と勘違いしてしまった。その勘違いとは、物価が今のままだと思ったからだ。物価がそのままで所得だけが倍増するわけがないのだが、そこは人間、自分勝手に好い方に考えてしまったわけだ。結果、物価は勿論上がったし所得も増えた。所得が倍増になった人もいたかもしれないが、多くの人たちには恩恵を被ることはなかった。政策が成功しても効果が国民すべてに行き渡るわけではないということ。
今回のアベノミクス、景気が良くなって所得が増える、という勘違いをしている人たちが多くいる。勿論景気が良くなれば多少は所得が増えるかもしれない。問題は失業者が減少するかどうかである。雇用情勢が好転しなければ、この政策は必ずしも成功したことにはならない。景気回復というが、日本の今の状況を見ると、モノ造りの殆どが海外へと移ってしまい、国内で物を造っていることの方が少なくなってきた。物造りだけではなく、技術も海外へ行ってしまった。新しい技術、先端技術など、高度な技術開発を進めていかなければならないのが日本なのである。
アベノミクスは、景気回復を期待して様々な施策が取られているが、それが芽を出すには短期間ではできないだろう。技術開発は日本のお家芸だといえるような本当の技術開発をするには、国が本腰を入れてバックアップしなければ難しいものが多い。少ない予算をどこに振り向けるか、今の自民党はやれるだろうか。無駄な箱物ばかり作っていた過去の遺産が多く残っている。これを見て、自民党が新しい考え方に取り組めばいいのだが、果たしてそれが出来るかどうか。期待ばかりが先走って、やるべき事を見失っては困るのである。
期待するのはいいが、何か物足りないような感じがしてならない。国民も給料が上がることばかり期待して、国としての成果が見えないような気がする。はっきりとした成果が得られなければ、アベノミクスは絵に描いた餅になってしまう。何が足りないのだろうか。何となくだが、労働力を国が発展するための資産としてみていないからか。若者の労働力が、効率よく使われていないのではないか。小生は前にも書いたが、労働者派遣法がネックになっているような気がする。この法律があるために、若い労働力がうまく使いきれない。将来を描けるような働き方が出来ていない。労働者派遣法があるために、労働者を結集できない。
アベノミクスが成功しないと日本は膨大な借金地獄に陥る。今まで以上に借金を背負わなければならなくなる。返済不能になるということだ。結果として国がデフォルトに陥る。アベノミクスを成功させるためには、若者を引き付ける仕事を作ることである。そのためには身分を派遣ではなく正社員として働くことが出来るようにしなければならない。アベノミクスを期待し過ぎてはいけない。成果はそれほど大きくはない、と思った方が良い。日本人は何時も早合点し、勘違いをする。今回もその傾向が強い。