トヨタのリコール対応問題、国内外で波紋を広げてますが、迅速な対応で、信頼を
回復してほしい。何と言っても、トヨタは日本経済を支える企業のひとつで、今後の
対応で、日本製品の安全性、高品質の物作りのDNAが継続するのです。
企業不祥事と言えば、他企業でもあり、ローソン子会社の多額資金不正流用事件、
常盤薬品工業ストーカー社長事件などあり、企業の株価が大きく変動しています。
そこで、 「企業不祥事と株価の関係」について、スポットを当ててみました。
企業不祥事や問題発覚後、市場は極端な迄の反応を示す事、株価の大幅下落が
如実に物語ってます。その理由として、下記の様な負の連鎖的売却行動があります。
1)SRIファンドが、不祥事を起こした銘柄を売却。
2)顧客との契約で、法令違反銘柄を売却さぜるを得ない運用会社が、売却。
3)機関投資家が処分売りに動き、売却。
4)暴落に慌てた個人投資家が、狼狽的に売却。
ただ、企業不祥事や問題があった銘柄は、即売却すべきか、と言うと必ずしもそう
でなく、株価が回復するケースは、少なくない事を 研究した学者がおりました。
京都大の小佐野教授と立命館大学の堀教授が4年前に発表した 「企業の不祥事と
株価パフォーマンス」の論文です。 (企業の不祥事例は、1990年~2000年迄の
11年間のものでイベントの総数は51。 詳細は、上記論文をクリック参照方。)
この論文によれば、企業不祥事発覚のパターンとして
a)Product Liability (製造物責任) に関する不祥事
製薬、自動車、食品、電気製品、精密機械などの分野で、製品に欠陥や表示の
偽装が発見され、大量のリコール、製品・企業への信頼喪失、多額の損害賠償
責任など。
→ 株価にマイナスの影響。発覚後10日程度で回復する傾向あり。
b)Corporate Compliance( 法令遵守) に反する不祥事。
粉飾決算やリコール隠し、談合、贈賄、架空取引などの企業の不正や財テクの
失敗など。
→ 株価に持続的にマイナスの影響があり、投資家は損失をこうむる可能性大。
c)特許問題に伴う不祥事。
特許侵害で訴訟に至るケースなど。
→ 株価に与える影響に関して一貫した傾向は見られない。上昇する場合あり。
d)生産拠点の損壊
工場火災や船舶の事故・炎上など。
→ 企業の生産能力を低下させるため、マイナスの影響だが、必ずしも株価に
影響を与えないことを示唆。生産設備の損壊に対する企業の事故対応で上昇
あり。
e)環境汚染に関する事件、事故。
汚染物質の廃棄など。
→ 一時的にマイナスも、発覚後に回復傾向を示す。
この論文、不祥事を起こした企業が、不祥事によってどのような影響を受けるのか、
イベント・スタディの手法を用いて分析を行なったもの。
この論文の結論として、
1)企業の不祥事は、株価に対して有意に負の影響を及ぼすことはなく、従って、
不祥事を起こした企業株式を持ち続ける事は、株主に損害を与える可能性が
低い。
2)法令順守違反した不祥事に限って、新聞報道により情報が公表される以前に
市場参加者は、不祥事情報を入手しており、また、新聞報道に含まれる情報も
また株価に負の影響を与えている。
3)環境汚染に関する不祥事の場合、不祥事発覚後、その企業の株式を購入する
事により利益を得られる。
ことが否定できない。と推定したと言うもの。
示唆を与えるのは 「不祥事の内容にもよるが、株価に影響を及ぼす大きな要素は、
発覚後の企業の対応にあり。」 と言うことでしょう。
また、1人の消費者として見た場合、「不祥事その物よりも、その後の対応に対して
安全、安心の信頼感の回復に努めているか?」にありますね?
経済を診る投資家の心得は、企業の不祥事の内容やその後の対応が、企業の
収益基盤に影響を与えるか否か、と言った判断をして、狼狽しないことにあります。
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