政府は、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働をめぐり、判断の物差しとなる
暫定的な安全基準を決めました。今後は、基準に沿って安全性を確認した上で
地元の説得にあたり、再稼働を目指す様です。
政府は、夏前の再稼働を描くものの、最悪の場合は稼働する原発ゼロの状態で
夏を迎え、昨夏の東京電力管内の様に、電力使用制限に踏み切る可能性も残る
としています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120406-00000006-fsi-bus_all
1)最も早いシナリオ 12年/5月連休前後
政府は連休前後に、夏の電力需給見通しを公表するが、関電管内は原発の
全基停止で昨夏以上の需給逼迫が想定されます。現実的な危機を前に福井県が
同意し、北海道電力泊3号機が停止する5月5日までに、大飯原発が再稼働
すれば「原発ゼロ」は回避されます。
大飯原発が先陣を切れば、ストレステスト(耐性検査)の1次評価の保安院
での手続きを既に終えた四国電力伊方3号機など他の原発でも、再稼働に向
けた心理的な抵抗感が、弱まる波及効果も見込まれます。
ただ、このシナリオは実現の可能性が低い。再稼働に当り、政府は中長期的
な安全対策の工程表の提出を関電に要求。提出後に関係閣僚会合で精査した
上で、ようやく再稼働の判断に移るからだ。地元の説得も難しい。 同意が
「法律で義務付けられているわけではない」(藤村修官房長官)ものの、枝野
経産相は福井県に加えて隣接する京都府、滋賀県にも理解を求める意向です。
京都府の山田啓二知事は、暫定基準よりも厳しい「ストレステスト2次評価を
含めた総合対策」を求めており、枝野経産相は「(説得には)一定の時間が、
かかる」とみています。
2)次のシナリオ 12年/6~7月
昨年11月時点の政府の試算では、原発ゼロで猛暑となった場合、今年8月に
全国で一昨年比9.2%の供給不足が発生。原発依存度が高い関電管内では
ピーク需要の3138万キロワットに対し、供給力は2533万キロワットに
落ち込み、最大19%の不足が生じる。
大飯3、4号機が稼働すれば、計236万キロワットの供給力が積み増され、
不足は10%程度に抑えられる。ただ、最も早い大飯で6~7月の再稼働だと
「他の原発はとても夏に間に合わない」(資源エネルギー庁幹部)。
節電を迫られるとはいえ「『夏の電力不足』が地元に対する一番の説得材料」
(同)なのは間違いない。現時点では最も可能性の高いシナリオだ。
安全確認の手法や手続きをめぐって地元の理解が得られなかったり、政府が
「火力発電の増強や節電だけで乗り切れる」と判断した場合、原発ゼロで夏を
迎えることになる。そうなれば、一時的に需給は保っても、昨夏の東電管内の
ように電力使用制限令が発動されるリスクを常に抱える。電力供給が不安定だ
と企業の生産計画が大きく狂い、経済の足を引っ張る事態となりかねない。
また、原発を火力で代替し続ければ燃料コストがかさみ、電気料金の値上げに
つながる。燃料輸入の増大で貿易収支の赤字が定着化し、日本の経済力衰退は
免れられない。
3)稼働する原発がゼロの状態で、電力使用の制限に踏み切る可能性!?
原発は、いずれ稼動しなければ、ならないだろうが、日程ありきの稼動でなく
ストレステストや安全・安心をしっかり確認した上、日程を決めればいい話。
また、需要電力に対する供給電力(潜在電力)の精査やピークを除き、平準化
検討など、しっかり舵取りをしてもらいたいところ。
日本経済を安定成長させるために、ベストミックスのエネルギー政策が必要
なのは、言うまでもありません。
それでは、また。