[鉄人の部]
(1stバイク:40.6km-登山:10.0km-2ndバイク:19.5km-ラン:18.7km)
4゜40'59" 13位/117完走
1゜14'47"(55)-1'15'55"(18)-43'53"(58)-1゜26'24"(6)
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金曜の夜 帰省,準備
土曜 移動,前日受付
22:00 就寝
4:30 起床,朝食
5:45 小松ドーム着
6:00 当日受付,スポーツマッサージ
■UPjog 10~15'程度
体操
準備
7:30 スタート
他の選手から見れば、舐めている、舐めきっている行為かもしれないが、トレーニング無しで挑む。せめて手を抜かず、今の力を尽くすことがやるべきこと。
ランは7/21の県選以降、トレーニング目的で走っていない。正確に言えば盆休みに走っているが、あれはトレーニングという意識ではなかった。実質、トレーニング目的で走ったのは一週間前の平日の夜+朝+夜のランニングと、高尾山だけ。バイクに関していえば丸1年乗っていない。
県選で落選した時点で、次に繋がるわけでもないので小松に出る必要性は無かったが、それでいちばん心残りなのは何も告げずに欠場してしまうこと。年1回この場所でしか会うことができないレース仲間がいる。事前に連絡を取る手段もない。(出場が今回で最後になるかもしれないので)ちゃんと会って話した上で来年以降休止することを選んだ。今回は参加してもトレーニングはしないと割り切った。
前夜、宿の夕食が食べきれない。量が多いというのもあるが、食べ切れないくらい落ちた自分の消化能力に気付く。
スタート準備。バイクの感覚が鈍っているので例年より控えめの3.5列目付近に位置する。
号砲の前に片足をクリートでセットしておいたので大きく出遅れずにスタート。
出足早々、スタートしてまだ3kmも行かないようなところでフラスクを一つ、ケースごと落とす。安全ピンでロックしていたはずなのに外れていた。外れていることに気付いた直後に触る間もなく落ちた。集団走なので直後の選手に怖い思いをさせてしまう。すみません、と思うものの声を出す余裕もなかった。
昨年までにも、チェーンを外して,フラスクを落として,パンクして,シューズを落として,またフラスクを落として。9回目なのに毎回毎回やらかしている。念には念を重ねて、という反省ができていない。安全ピンの付いている側が落ちなかったこと、後続で転倒が起きなかったことは不幸中の幸い。
フラスクを落としたことでカーボショッツ6袋分のうち3袋を未使用で捨てる状態となった。更に登山時に使う1袋も一緒に失った。スタート前に2袋分は摂っているが、2ndバイク終了までに残り3袋分だけで乗り切らないといけない。あとはボトル2本のクエン酸ドリンクでどこまで乗り切れるか。
やはりスピード感覚が鈍っており、第一集団のペースに付いて行けない。序盤は体力のロスと余計な精神的なロスを控えて、第二集団で進むことにする。が、どうもしっくりこない。姿勢の維持が難しいのもあるが、軽めにしているギアでも回転が遅れ気味。
右コーナーを抜けて尾小屋の折り返しまでは一本道、第二集団からも離される。序盤の平地で110くらいだったケイデンスが80近くまで落ちている。こんなふうにサイクリングしている場合じゃない。
原田さんだったらここでどうするだろうか。初出場から数年、原田さんの位置取りをマークしながら走っていた時のことを思い出してみる。が、思い出しても付いて行けない。ひと漕ぎするのにいつもより抵抗が大きい。滑らかさが無く、力のロスがある。金曜の夜に帰省してから自分なりにメンテナンスしたが、それでは足りなかった。前回乗ったのが一年前のこの小松。その前は更に一年前の小松。丸2年は小松以外でバイクに乗っていない。最後に小山の大将に整備していただいてから3年経つか?それでも、山本先生のバイクと同じ様に、小山の大将に作っていただいた勝てるバイク。何よりも、このバイク自体が優勝を経験しているバイク。走れないわけがない。乗る人間の出来次第だ。
徐々に勾配が付いてきた坂道を単独走行していると追い付かれてしまった。ここからは山本正さん、林さんの引く第三集団に乗っかる。これによって尾小屋の折り返し前に、もう一度第二集団に合流できた。
下る。集団の前方でかなり飛ばす選手がいる。これに付き損なうとまた集団からこぼれてしまう。なんとか特急電車に乗っていきたい。鈍行に乗ってしまったら離れるばかりだ。スピード感に慣れていないが恐れず付いていくしかない。数km進み、勾配が緩やかになったところで前方の選手のペースがやや落ち付く。また第二集団形成。ここでチンタラ走行してどうする!?
まだ下り坂区間だ。これじゃ第一集団からますます離されるばかり。
前に出る。しばらくは誰も付いてこようとしない。構わず単独走で回していく。
江指の鋭角コーナーの手前で追いつかれる。そのあとしばらく行ったところのクランク、コーナーからの立ち上がりで出遅れる。乗り慣らしていないせいか、特に右コーナーに弱い。これで第二集団の最後尾に落ちる。それだけでは済まなかった。これをキッカケに疲労を感じ始める。力が入らず回せない。スッと離れてしまう。あっという間に500mも離されていて、コーナー続きの山道ではあっという間に見えなくなった。単独走で登る。ママチャリを漕ぐようなペース。
赤瀬ダムが近づいてくるところで、ようやく前方から一人脱落してきた選手が視界に入り、やっとの思いで追いついたが、ゼッケンを着けていない。?。大会参加選手ではなかった。再度、見えない第二集団を追いかける。手元の時計は1時間をゆうに超え、1時間10分。先頭は55分くらいで登山に入っているはず。
1stバイク終了時点で10分以上の差。
登山に入り、舗装路で順位を上げたが、バイクで大きく遅れているので第二集団の前に出るのがやっと。山道に入って間もなく、右足裏に水ぶくれができたことに気付く。まさかバイクシューズで水ぶくれができるわけないし、となると高々4kmほどのロードのランでできたのか?足のツラまで弱くなったか。
山道に入ってからも前方にはバイクを第一集団で行った選手がズラリと見える。やはり予想通り、抜くのに時間のロス。単純にロスもあるが、トレーニングしていない自分の体力不足もあり、一気に詰め寄って抜くことができない。脚が止まる。
選手の列に連なって登ることに甘んじ、抜くことができない。途中、無理やり抜きに行ったが、そのあとの消耗が激しくて大きくペースダウンした。それを境に、登りの後半は歩く時間帯が長くなった。
Do my best. Do your best. Do our best. そうだ。トップグループの皆だって今は必死ににげてるんだ、俺も必死に追わないと。ペースダウンしたい誘惑と自分を鼓舞するフレーズが頭の中で交互に現れる。
フラフラし始めたところで提供された塩を一つまみ舐める。が塩分が強すぎた。水が欲しいが、次の給水ポイントまでは長かった。ある意味、いい刺激にはなった。
頂上通過で先頭から15分遅れ。広がった。やっぱり。
下りへ。無理はできないので確実に下る以外方法は無い。石本さんたち数人に抜かれる。
その直後にまたフラっとした。やはり汗のかき方が上手くない、肌からスッと蒸気が抜けていかない。足を着けないような急斜面ならともかく、終盤の緩くなった下り坂でさえペースが上がらない。
山道を下りたところで18分差。舗装路に戻ってもペースは上がらない。半ば諦めモード。
20分差。20分ともなると、もう越えられない壁。序盤を抑えたとしてもランでひっくり返す余力もない。序盤を抑えたか?といってもそれなりに消耗している。先週の高尾山で走った感覚から判断しても、このあとペースは上がらないはず。昨年のランでさえラップ2位の選手とほとんど差が無かった。となれば、今年は先頭グループの選手に対してランでも負ける可能性が高い。
2ndバイク。路上に出たところで走路員からの声援を受けて加速。独りで追う。追い越し禁止区間で前方に見えてきたロングの選手の横に並び、区間終了と同時に加速。見えない遥か前方の選手に喰らいついていく。
それでもバイクの単独走。平地になるとケイデンスが上がらず、鉄人の部の選手に抜かれていく。
いちばん嫌いなのは、力のある選手が本気を出さずに勝っていくパターン。
その次に嫌いなのは、条件が悪くなったからといって手を抜くパターン。
自分がやろうとしているのはそれ。手を抜いちゃいかん。
・・・とか、あれこれ考える前にまずペースを戻すことに集中しろ、と自分に言い聞かせる。
先頭グループでは町田君、若林さん、前口さん、小川さん、村本君が、自分が追いつくのを待っている。あんまり遅くなると2ndバイクの途中で、斉藤さんや伊藤さんたちロングの先頭グループに会えなくなる。結局会えなかった。昨年より15分以上遅くなれば当然の結果。
昨年からコース変更した急坂でも想定通り失速し、なかなかペースアップできない。
こんなんでも、山本先生、原田さん、北方さんたちと同じように優勝経験者の一人。下手なレースをすると歴代優勝者のイメージも落としてしまう。
やっとのことでトランジッションへ。
予備で1袋用意しておいたので、計3袋、カーボショッツを持ってランへ。
思っていたよりも陽射しが強く、既にかなりの水分を摂ってしまった。走り出してみると胃の中で水が揺れている。この状態で、まともに飲んでも水で薄まってしまい即効性が無くなる。
できるだけ舌の下に貯め込んで転がしてそこから直接吸収することを考えた。ランは約18km、単純に4等分して4.5km,9km,13.5kmくらいで摂ることに決める。
4km付近のアップダウンにさしかかる。原田さんと並走して引き離されてしまった数年前を思い出す、が当時のようなペースで走れる力もない。現状のペースで歩を進めるだけ。原田さんや大形さん、小川さんのようなランの強い歴代の愛知県勢の選手に劣らないように走りたい。
今回で9回目の小松。大学を出て半年、陸上から完全に離れたつもりだったが小松に出たことで変わった。小松で得たものが、陸上をもう一度伸ばした。たった数年のうちに、800mからマラソンまで、全中長距離種目でベストを更新できるだなんて、当初は期待する余地すらなかった。
・・・って、感傷に浸ってる場合じゃなくて、前へ進め。
トレーニングしないで臨むと決めたのは自分だ。今の自分にとっての優先順位を貫いた。そう決めた以上は、今日、今の力をセーブせずに出し切るだけ。それが出来なければ、他の選手に対して失礼に当たる。小松は普通のトライアスロンとは違って変則的な分、遊びだと思われてしまう部分がある。でもそれに真剣に向かっている選手もいる。特に地元石川県、地元小松市の選手は思い入れが強い。一年をこのためだけに賭けてきている。自分だって勝つために必死になったことのある一人だからわかる。大きく遅れてしまったとはいえ、まだ勝負は続いている。ここで手を抜いてしまったら皆がっかりする。
なんとか6位以内へ。入賞常連者さんたちと同じ表彰席に座りたい。町田君、若林さん、前口さん、小川さん、斉藤さんや伊藤さんたちと同じ席に座って、あの場で話をする時間がいちばんの楽しみ。
今回はその小松に少しでも還元したい。還元というと大袈裟だが、抜くときに全選手に「頑張りましょう」と声をかけて行く。一部の選手からは"なんだコイツ?"という目で見られてしまったが、ほとんどの選手からは声を返してもらえた。これがお互いの力になる。沿道からの声援にも手を振って「ありがとうございます」と笑顔で返す。これも自分の次の一歩に繋がっていく。
先頭から離されても、6位までに入れなくても、少しでも食い下がりたい。
トップグループの皆は、追い付くのを首を長くして待ってくれている(はず)。期待を裏切る行為はしたくない。
全てのエイドで水を取って頭からかぶり、前を目指す。
カーボショッツ4袋分を失った割には、まだここでも体は動いている。トレーニング不足ではあるが、2ヶ月前の県選時の55kg台から60kgまで蓄えたエネルギーが役に立ったのか!?
木場潟公園内の新コースが長く感じる。ペースダウンしていることもあるが、いつまで経っても公園から外に出るような気配がない。
スタートして4時間10分を経過。もうトップはフィニッシュしただろう。
まだここから4kmは残っている。大きく離れてしまった。
ロングの選手を抜きながら、ようやく木場潟公園の外に出た。
残り2kmあたりで前方に緑のゼッケンが見えた、鉄人の部の選手。しかし離れている。これだけの差は抜けない。既に手元のウォッチで4時間半をオーバー。トレーニング無しでも4時間半以内では行けるだろうと予測していたが、甘かった。残り1km、ロングの選手を抜きながら少しずつ詰めてはいるが、もう一つ順位を上げるのは無理。ここまで抜いてきた選手は知らない方がほとんど。まだ6位入賞圏内には入ってないのだろう。6位入賞は無理でも、結構抜いてきたから、ヒトケタ順位くらいには上がれたか?
力を残さないように、最後だけでもペースを上げて、今回ばかりはドームに入ってからはゆっくりと噛み締めるようにフィニッシュしようと考えていた。
ドーム前の道路に斉藤さんの姿を発見。走り終えたそのままの格好で。鉄人のトップからは30分くらい遅れているのに、ずっと待っていていただいたのか? ゆっくりフィニッシュしよう、なんて考えは吹き飛び、一気にスパートがかかる。その後50m程度の間、ドームに入る前に一人抜いてしまう。最終コーナーを抜けて、フィニッシュテープの前だけは緩めてゆっくり入る。
4時間40分。
然るべき記録。あとで若林さんや前口さんから、ランでいつ井上が来るか気にしていた、と言っていただけたのは素直に嬉しかったが、今回ばかりは追い付くのはちょっと、というかかなり無理な話だった。ただ、トレーニングせずに出場すると自分で決めたことなので、後悔もないし気持ちはいい。それでもレースをなめるようなことは絶対したくなかった、今日の状態で出せる限りの力は後方で出し切るつもりで走った。
来年どころか次はいつ出場するかも未定だが、ちゃんとバイクトレーニングして来い、と若林さんから喝を入れられてしまったのでいつか復帰しないと・・・。
これで、今後のレース予定は全くなくなった。休止期間の一時中断は終了。
トラックレースも、中山道駅伝・愛知駅伝・駅伝カーニバル・西濃駅伝、ハーフ・フルもエントリーする予定はなく、完全に無期限休止状態。
レースに出る時間くらいはあるが、まだ遊びで出るというふうには割り切れない。しっかりトレーニングを積むことができずに出るくらいなら、初めから出ないことを選ぶ。優先順位を考えると、今はトレーニングに割く時間があるなら他のことに充てたい。