極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

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孝、忠、義、智,勇を大切にしていた、中国4大美人の一人・貂蝉(ちょうせん)

2018-10-08 14:38:37 | 日中

以下文はDVD・三国演義(义)、ウィキペディア等を参考に記していますが、三国演義・第八話を主に一個人が視聴した感想です。

三国演義は中国の長編小説で、四大奇書(中国で元代から明代にかけ、俗語体で書かれた4つの長編小説の総称)の一つで羅貫中(らかんちゅう:中国の元末・明初の作家)の作と言われています。三国志に基づき、三国時代の歴史を虚構を交えて演義したもので、蜀(しょく)の劉備(りゅうび)・関羽・張飛・諸葛孔明ら英雄豪傑の活躍と運命を通俗的に描いています。日本では江戸時代に訳出されています。

この三国演義・映画(全84集)を見ると中国の意外な面を垣間見ることが出来ます。特に「第8話」に登場する中国4大美人の一人・貂蝉(ちょうせん)は日本の武士道にも出てくる「考」、「忠」、「義」、「智」、「勇」等を有しており、現代の多くの中国の人達も視聴者数等々からしても考、忠、義、智、勇を理想としているようです。

「義」・・・人道に従うこと、道理にかなうこと。
「智」・・・物事を知り、弁えていること。
「忠」・・・心の中に偽りがないこと、主君に専心尽くそうとする真心。
「考」・・・おもいはかること、工夫をめぐらすこと。親孝行すること。
「勇」・・・勇気

余談になりますが、これらは中国の儒教の中の一つのようですが、新渡戸稲造(にとべ・いなぞう)の武士道を読むと日本の武士道が中国の儒教に大きな影響を受けていたかと言うと影響は受けていないと思います。

そもそも、武士道は鎌倉時代位に武士が発生(当時は貴族等を守る人達・・・)、生死の隣り合わせて生きた生活倫理から生じているようです。武士道は日本特有の倫理観であり、千年位の歴史を有しています。中国儒教が武士間に普及したのは江戸時代で、徳川家康が戦乱のない平和な時代、武士の内面を儒教思想で理念化するために広めたように思います。武士道は「葉隠れ」のように江戸時代に文書として表しています。武士道は現代の多くの日本人の内面にも間違いなく受け継がれていると思います。

 

本題の第八話!

後漢朝廷の高官・王允(おういん)との約束を守り、使命を全うする「智」と「勇」の女性、王允の国を憂うる心を知って、なんとかこれを助けたいと思う「孝」と「忠」と「義」の女性、中国4大美女の一人、貂蝉(ちょうせん)・・・美人、儒教的道徳観から見ても、現代の多くの中国国民は女性の理想像を見ているようです。

中国での原題は三国演义で羅貫中作の通俗歴史小説・・・三国志演義を題材とした中国中央テレビ製作のテレビ・ドラマシリーズです。

日本ではテレビ放送、ソフト化された際の邦題は三国演義等です。1991年7月に中国が国家的事業として製作開始し、製作費は当時の日本円で100億円以上、動員中国軍のエキストラは延べ10万人以上で中国映像史上空前の規模で行われています。

現実感と迫力の追求のため、CG、ミニチュアは用いず、曹操が建築した銅雀台や赤壁の戦いの陣営のセットは全て原寸大で再現、赤壁の戦いの撮影はそのセットや船舶を実際に燃やして行われています。武将の一騎討ちの場面も、武将役の俳優が代役のスタントマン無しで行っています。韓国歴史映画と比較した場合、物・心ともスケールが違い、凄いの一言です。レンタル・DVD、ユー・チューブでも無料で見れます。日本では、過去NHK衛星第2テレビジョンで1995年4月~9月までに日本語吹き替えで放送、再放送もされています。

中国では3年の収録後、1994年旧正月に第1話が放映されると大反響をとなり、放送時間になると中国の繁華街から人が消えたと言われ、如何に関心が高かったが分かります。

この三国演義では、第八話で一人の美人女性が出てきますが、この女性は中国4大美女の一人と言われる「架空」の美女、貂蝉(ちょうせん)です。中国4大美人は、春秋時代の「西施」、漢代の「王昭君」、唐の「楊貴妃」、後漢末の「貂蝉」です。この中で三人は実在女性ですが、貂蝉だけは小説・三国演義の中で作り出された架空の人物です。貂蝉(ちょうせん)と変な名前に思えますが、貂は動物のテンのことで、蝉はセミです。もとは武将のかぶり物、冠、帽子のようです。南北朝時代では、このかぶり物で貴人に仕えた女性を貂蝉と呼ぶようになったようです。

 

後漢の王朝は2世紀の終わりごろから外戚(皇后の親族)と宦官による権力争いが続いて混乱し政治的な空白ができるのですが、そこにもぐり込んだのが董卓(とうたく)という軍人です。

彼は後漢の宮廷に入り込んで専横を極めるのですが、それに対して曹操の呼びかけで反董卓連合が出来ますが、この中には三国時代の英雄・劉備、関羽、張飛もいます。

董卓には呂布という義理の息子がいて、この呂布は兵(つわもの)で強く、劉備、関羽、張飛の三人が力を合わせても完全には打ち負かすことが出来なかったほどです。

反董卓連合軍は董卓を追いつめますが分裂し、やがて崩壊します。

董卓は幼い献帝(後漢最後の皇帝)を連れて洛陽から長安に移ると更に横暴になり、機嫌を損ねると命を奪われるかわからないので誰も何も言えません。そこで以前も董卓を亡き者にしようと謀った後漢朝廷の高官・王允(おういん)が連環の計を企てます、その連環の計とは、美女を使った策略です。

董卓の義理の息子・呂布は三国演義最強の武将と言われます。もともとは并州刺史の丁原の養子でした。名馬・赤兎馬(せきとば)に心奪われて養父を裏切って亡き者にし、董卓の義理の息子となります。

ある夜、王允は董卓の横暴ぶりに国の前途を憂えて眠れず、庭を散歩しているとこの家の歌妓・貂蝉が月を眺めながら深いため息をついています。彼女はこの年16才、子供の頃から屋敷内で我が子同然に可愛がっていた少女です。王允が心配し、声をかけると貂蝉は自分の心配事を打ち明けます。

近頃ご主人様はお国のことで悩んでいらっしゃるご様子、どうにかしてさしあげたいが、か弱い女の身で何もして差し上げられず、こうしてため息をついていたところです。

王允はこの話を聞いて驚き、彼女の顔をじっと見つめ、はたとあることを思いつきます。

そこで貂蝉を画閣と呼ばれる美しい部屋に連れていき、彼女に向かって何度も拝礼し涙を流して、董卓と呂布の父子を美女連環の計で滅ぼそうと思う。ついてはその任を引き受けてはくれまいかと頼みます。

貂蝉はこれを引き受けます。王允は再び頭を下げ、この話はくれぐれも漏らさぬようと念を押します。

こうして王允は貂蝉を娘として呂布に引き合わせますが、呂布は彼女の美しさに心奪われ、すでに正室があるゆえに側室として彼女をもらい受ける約束をします。

側室として嫁がせるためには良い日取りを選ばなくてはなりません。それに手間取っている間に、王允は貂蝉を董卓にも会わせ、彼もまた彼女の美貌に心奪われます。その様子を見てとった王允は即座に「この娘を董卓様に献上したいと思いますが如何?」と聞きますと董卓は大喜び。

こうして貂蝉は呂布に心惹かれながらも二人の間で双方に良い顔を見せ、時には涙を流したり自ら命を絶つ真似をしてみたりして迫真の演技を繰り広げ、呂布の董卓への憎悪をかき立てていきます。やがて呂布は王允に打倒董卓をそそのかされてその気になり、登城の途中で董卓を倒します。

その後呂布は貂蝉を側室として迎え入れ、下邳の戦いでは正妻とともに呂布の出陣を引き留めていますが、貂蝉をめぐる記述はここで終わりますが、中国人にとって考、忠、義、智、勇を有している彼女の生き様は、心の中に強烈に焼きついているようです。現代も中国人の女性の理想として生き続けていると思います。貂蝉が三国演義に出てくるのは上記の場面だけなのですが、素晴らしい中国美人の演技を見ることが出来ます。

 

何故、彼女は四大美女とされるまで中国の民衆の心をとらえたのでしょうか?

まずは、三国演義が中国人からとても愛された物語だということがあるようです。皆が知っている、ほとんど男ばかりの中の物語に出てくる美しく、しかも男顔負けの度胸を持った少女が貂蝉です。彼女は美しい人です。

さらには秘密が漏れれば命を奪われる可能性があるのに、最後まで王允との約束を守り、自分の感情に流されず使命をまっとうする智と勇の人でした。

彼女は父でもあり主人でもある王允の国を憂うる心を知って、なんとかこれを助けたいと思う孝と忠と義の人でもありました。

このように美人であるとともに、儒教的道徳観からいって人としてもすぐれていたところに、中国の多くの民は、おそらく女性の理想像を見ていたでしょう。

貂蝉がこの物語の中で活躍した時の年令は16才、中国古典で16才はよく年方二八と書かれますが、これは28才ではなく、2×8で16才のことだそうです。昔の中国美女とは一般に15才~20才の女性で、これ以上の年令の女性は美女の範疇に入れなかったそうです。

古来から現代まで中国の人達が持つ、美人、女性像・・・この映画第八話で、多くの中国民の女性の理想像を知ることが出来ました。この理想像が男女問わず具現化できれば日中の諸問題も和らぐようにも思う昨今です。

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