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極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

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仰げば尊し

2017-03-19 17:38:44 | 日本文化等

小、中、高の卒業式はもう終わったようです。昨今の卒業式で「仰げば尊し」を歌うのは稀のようです。
仰げば尊しは、日本古来の教育の理念等々が凝縮されているように思います。
明治17年に発表された唱歌(小学校で歌を教える授業の教科目名、明治5年の学制発布から1941年に「音楽」に改められるまで用いられました。)で、「卒業生が、教師に感謝し学校生活を振り返る内容」の歌です。
戦前の明治から昭和にかけては、学校の卒業式で広く歌われ親しまれてきました。平成19年に日本の歌百選の1曲に選ばれています。

仰げば尊し
1 仰げば 尊し 我が師の恩
教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)
思えば いと疾(と)し この年月(としつき)
今こそ 別れめ いざさらば

2 互(たがい)に睦(むつみ)し 日ごろの恩
別(わか)るる後(のち)にも やよ 忘るな
身を立て 名をあげ やよ 励めよ
今こそ 別れめ いざさらば

3 朝夕 馴(な)れにし 学びの窓
蛍の灯火(ともしび) 積む白雪(しらゆき)
忘るる 間(ま)ぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば

訳文(私訳で、誤訳があるかも知れません。)
1 仰げば尊し・我が師の恩
(上げ見るほど尊きは・わけ隔てがなかった先生への恩)
教えの庭にも・はや幾年
(この校舎にきて・もう幾年もたった)

思えばいと疾し・この年月
(思い起こせばとても早く感じた・この年月よ)

今こそ別れめ・いざさらば
(今、お別れの時です・さようなら)

2 互いに睦し・日頃の恩
(互いに仲の良かった友への・日ごろの恩)

別るる後にも・やよ忘るな
(別れたあとも・わすれてはいけない)

身を立て名をあげ・やよ励めよ
(日々、一生懸命努力し、社会に出て立派な人になって下さい。)

今こそ別れめ・いざさらば
(今、お別れの時です・さようなら)

3 朝夕馴れにし・学びの窓
(朝、夕ともにし慣れ親しんだ・校舎)

蛍のともしび・積む白雪
(蛍のともしび「小さな光が」・積む白雪「白雪のように積もってゆく」)

忘るる間ぞなき・ゆく年月
(忘れることなどないだろう・過ぎた日々)

今こそ別れめ・いざさらば
(今、お別れの時です・さようなら)

明治以降の日本古来の良き教育・・・仰げば尊しは、教師と生徒の在るべき姿を歌詞として語っているように思います。

多感な子供達もいろんな事情を抱え、教師はすべてを分け隔てなく、子供を学校の中で平等に慈しみ、育んできました。
戦後の荒廃した可笑しな教育を比較した場合、仰げば尊しの歌詞のような、先生と生徒の関係は程遠いと思います。

歌詞の内容が難しい等々、戦前、中復帰になる等々、反対する人が多いと言われていますが、この歌詞からして何故反対するか理由が分りません。
仰げば尊しの使用が減った理由としては、歌詞が「いと」「やよ」のような古語を多く含む文語調であるため児童、生徒には分かりにくいと言うことが指摘されています。
2番の、身を立て名をあげの部分が立身出世を呼びかけていて民主主義的ではないという見方から、仰げば尊しを歌う学校の中には本来の2番を省略して3番を2番として歌うこともあるようです。
歌詞が難しいようであれば、子供達に内容を分かり易く説明すれば事足りるように思います。こんな素晴らしい曲が卒業式から消えていくのは寂しい限りです。

平成に入ってからは、大都市の公立学校(特に小学校)を中心に卒業式の合唱曲を仰げば尊しから、「旅立ちの日」、「贈る言葉」、「さくら」と言った、その時々の流行曲に変更する学校が多くなっていると言われています。

特筆すべきは、台湾では現在も卒業式の定番曲として、仰げば尊しが広く使用されています。
台湾映画、「冬冬の夏休み」では冒頭からこの曲が使われています。
(冬の夏休み「ントンのなつやすみ」1984年製作の台湾映画で、侯孝賢が自らの少年時代の体験をモチーフにしています。原作・脚本の朱天文の母方の祖父の家で、実際に医院だった日本家屋がロケ地として使われた。外省人の父親と本省人(客家系)の母親を持つ朱天文の体験が元になっています。)

台湾の日本統治時代の教育は分け隔てが無かったようです。日本国内同様に歌われ、終戦以降も引き続き中国語の歌詞によって使用され、卒業生達は卒業式で歌った、仰げば尊しを「志」に家族、地域、台湾等の発展に尽くしていると言われています。

こんな素晴らしい内容の歌詞、曲が歌われずに埋もれている現実に残念でなりません。今後多くの学校の卒業式で歌われることを願ってやみません。

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