尖閣諸島の国有化に伴う中国の反日デモは予想以上で、暴動、略奪は目に余るものであった。
今回の事件で明らかになったのは、資本主義国以上に貧富の差が拡大した人民の不満が溜まっていることと、日本人が考えている以上に、反日感情が残っていることである。
幸い、暴動は治まったようだが、日本政府の外交下手を露呈した。
政府は、都知事が購入して、トラブルを起こさないようにと、国有化を急いだようであるが、いつもながらのドタバタである。
「中国との間で無用なトラブルを起こさないために、国の管理を強化する。」とのメッセージを送り、根回しをしておけば、ここまでにはならなかったであろう。
中国と充分なコンタクトをせずに、APECでの野田首相と胡錦濤主席との立ち話で、「国有化しないように」との発言を無視して、2日後に発表すると云う無神経さである。
今秋の、中国共産党のトップ交代を控えて、水面下では、相当激しい権力争いが行われている筈である。
現在の指導部は、かっての周恩来や鄧小平のようなカリスマ性を持っていないので、人民の動向を睨見ながらの判断になるが、あれだけの暴動が、政府の態度で、一変して収束するのも不思議ではある。
世界には、歴史を見ても、微妙な均衡のもとで平衡が保たれていることは良くあることで、それは人類の生活の知恵でもある。
石原、安倍といったそれなりの立場にある人間が、自分の都合だけで不用意な発言をすることは、一般の国民には、全く迷惑である。
オスプレイの配備の為には、中国とのトラブルが必要で、尖閣諸島の購入話を出したとのうがった話もあるが、暴発の恐れがないはいえないことを忘れてはならない。
世界の中での中国の比重が増大する割に、中国については判らないことが多い。
理解するには、もっと相手の立場で考えることが必要なのだろう。
これ以上にトラブルが続くことは、世界経済にもマイナスである。