ジョニー・カム・レイトリー / デューク・エリントン楽団
東京国際映画祭が開催されている。第24回というから、カンヌやベルリンにはかなわないが、大分定着してきたようだ。
上映作品を観ると、娯楽的作品もあり、昔の映画祭に比べると、ハードルは低くなっているようだ。
以前から観たいと思っていた映画「馬」を見た。昭和16年公開の映画で、東北の農村を舞台に、馬と少女の交流を描いたもので、監督は山本嘉次郎、黒澤明が助監督を務め、実質的に、彼の処女作品ともいえる作品である。
主演の高峰秀子が素晴らしい。彼女の映画と云えば、「二十四の瞳」が浮かぶが、子役として注目された彼女が女優に成長して行く将来を暗示し、好演している。
また、日本の農村の原風景や風俗も見ることができ、記録映像としても貴重である。
地平線、空、雲の映像は、ジョン・フォード監督作品を思わせるものがある。
冒頭に東條陸軍大臣の推薦文が出るなど、既に厳しい時期に入っていた中で作られたにもかかわらず秀作である。
昨年末に亡くなったことで、彼女の主演作品の特集があり、「浮雲」、「流れる」、「雁」、「妻の心」等の作品を鑑賞した。
成瀬、木下両監督の出演作品が多いが、丸顔の童顔で、あまり表情が豊かでないのが、逆に、内に秘めた感情をいろいろと想像させる。やはり、日本映画を代表する女優の一人なのだろう。
私の映画歴は長いが、黒澤作品以外は、洋画ほどには観ていない。日本映画の場合、時代背景が、自分が生きてきた時代であり、この年になって、観てみると、若い時に観たよりも味わい深い。
じっくりと、聴き直してみて、これぞジャズといえるのが、デューク・エリントンである。
今日のレコードは、彼が、多くの名演を残したビクター盤から、エリントン楽団の黄金時代ともいえる1942年~45年の演奏である。