仮題「心なき身にもあわれは知られけり」(5)のつづき

2022-03-04 02:36:21 | 「死ぬことは文化である」

  仮題「心なき身にもあわれは知られけり」

 

          (5)のつづき


 絶対的な存在である神の子孫として降臨した天皇は代を繋ぐごと

に世俗化することは避けられない。皇室は絶対的な神の血統を穢さ

ないために近親婚を繰り返すほかなく、しかしそれは生物進化論に

逆行した退化ではないだろうか。神へと繋がる皇国史観の下では時

代を経るごとに神から遠ざかることになる。神なき後の世界はひた

すら相対化された穢れた世界にほかならない。「真の世界」は古(い

にしえ)にしかない。こうしてわれわれは絶対者が君臨する伝統文化

へ回帰しようとするが、決して理想を将来に求めようとはしない。

ところが、サルから始まった人類進化は、サルへと回帰するわけに

はいかないので、未来にしか人類の理想を求めない。

                     酔ったので(つづく)


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