「世界限界論」―③
アメリカ大統領選挙のことから日本経済へと話が逸れてしまったが、
そもそもアメリカ経済が行き詰って日本経済がその影響を免れることな
どないはずで、先ごろアメリカでは奴隷の子孫でも大統領になれると発
言して非難された議員は、それは参議院憲法審査会の場で日本がアメリ
カの51番目の州になった場合に如何なる憲法上の問題が生じるのかを参
考人に質問した時の発言だが、それにしても日本がアメリカに併合され
た場合を国会議員が口にしたことに驚かされたが、つまりそれほどまで
に日本は政治も経済もアメリカに依存していて、アメリカ経済を脇に置
いて日本経済やさらには世界経済を語ったところで意味がない。さて、
その資本主義経済の総本山アメリカでは格差社会が極限まで達し、「ア
メリカン・ドリーム」から目が覚めた若者たちは「均しからずを患」い
て民主社会主義者バーニー・サンダースを支持している。グローバル経
済によって近代文明が世界を覆い尽くし「成長の限界」に達した世界経
済の中で、その優位性が失われ始めたアメリカは果たして自由主義経済
を改めるのだろうか。「世界限界論」とはグローバル経済がもたらした
近代文明の限界であり、ゼロサム社会の下で更なる豊かさを求める者は
他者と奪い合うか、そうでなければ等しく分け合うしかない。「世界限
界論」の下で他者と争って「成長の余地」を奪い合うことが認められな
いとすれば、つまり争いは避けなければならないとすれば、社会秩序を
維持するためには民主的な社会主義社会へ向かわざるを得ないと思う。
そして上述の国会議員の言を借りて言えば、アメリカは「奴隷が大統領に
なれるほどのダイナミックな変革をする国」であるなら、「世界限界論」の
下で宗旨替えをして、資本主義経済をあさっり棄てて社会主義国家へと
変貌することだってありうるのかもしれない。
(おわり)
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